世界中のデイリーなワインを紹介する企画の雑誌を見ていた。イタリア・ワインは太陽の恵みをいっぱいに浴びて完熟ブドウが出来るとか、イタリアならではの土着品種を使うのが特色だとか説明している。何やら、数十年前のワインの本の引用のような感じがする表現だ。裏返すと、イタリアは放っておいてもブドウが出来、昔ながらのワイン作りに固執している国だと云っているような気がする。
クアトロの父もイタリア・ワインとはどういうものかと聞かれると返答に困る。同じようなコメントを述べるのかもしれない。ただ、最近のクアトロの父のイタリア・ワインへの印象としては、イタリアのワイン作りは個人の個性が光る時代になった気がする。イタリアのどこどこのワインだからどうだということでなく、誰々の作ったワインだからどうだという気がしてならない。その誰々がその土地の個性を大事にするのか、新たな試みをするのか色々である。となると、イタリア・ワインの美味しいものを探すには、その作り手を知らなければならないことになってしまう。
クアトロの父のお気に入りの白ワインで、北イタリア・ピエモンテのロエロ・アルネイスなるものがある。アルネイスという土着品種を使ったワインだ。一時ブームになり、各社ロエロ・アルネイスを作っている。しかし、北イタリアは太陽の恵みを燦々と受けるわけでもないし、土着品種のアルネイスを使ったワインが全て美味しい訳ではない。そんな中でモンキエロの「チェク」なるものは特別に美味しい気がする。孫のフランチェスカが、おじいちゃんもフランチェスカというのだが、おじいちゃんに捧げるワインとして作ったのがこの「チェク」である。フランチェスカの愛称がチェクなのである。おじいちゃんの教えを現代風に引き継いで創り上げたロエロ・アルネイスということだ。ブームに乗って売ろうというのではなく、自分の納得のいくものを売ろうという姿勢が見られる。イタリア・ワインの美味しいものに、人の名前や愛称や畑の名前が付いたものが多い。