「それでは主役二人の発表をいたします……」
山畑監督の声に並み居るカメラマン達がいっせいにカメラを構えた……。
「真奈子を小野寺潤、加奈子を鈴木真夏といたしま……」
監督が、最後の言葉を言う前に、フラッシュがいっせいに焚かれた。この世界に入ってからは、慣れたことなんだけど、さすがに映画の制作発表は違うんだなあ……そう思いながら、営業用の笑顔でいると、ひときわ明るいフラッシュが焚かれ、一瞬目をつぶった。
そして、目を開けると……そこは、ジーナさんの庭だった。
いつもは、テレビやパソコンの画面に「指令」が現れてからなので、戸惑ったが、納得はできていた。
――いつか、あいつの力になってもらわなきゃならなければならない時が来る。その時は、また力になってやってください――
省吾のお父さんの言葉が思い出された。多分、その時がきたんだろう……。
山畑監督の声に並み居るカメラマン達がいっせいにカメラを構えた……。
「真奈子を小野寺潤、加奈子を鈴木真夏といたしま……」
監督が、最後の言葉を言う前に、フラッシュがいっせいに焚かれた。この世界に入ってからは、慣れたことなんだけど、さすがに映画の制作発表は違うんだなあ……そう思いながら、営業用の笑顔でいると、ひときわ明るいフラッシュが焚かれ、一瞬目をつぶった。
そして、目を開けると……そこは、ジーナさんの庭だった。
いつもは、テレビやパソコンの画面に「指令」が現れてからなので、戸惑ったが、納得はできていた。
――いつか、あいつの力になってもらわなきゃならなければならない時が来る。その時は、また力になってやってください――
省吾のお父さんの言葉が思い出された。多分、その時がきたんだろう……。
「ごめんなさい、急な呼び出しで」
「いいえ、もう慣れちゃったから……ジーナさん、少し若くなってません?」
いや、若いだけじゃない。感じるオーラはジーナさんだけど、顔は、まるで別人だった。
「ハハ、やっぱ、衣装やメイクだけじゃ、ごまかせないわね……これが、わたしのほんとの姿」
「いいえ、もう慣れちゃったから……ジーナさん、少し若くなってません?」
いや、若いだけじゃない。感じるオーラはジーナさんだけど、顔は、まるで別人だった。
「ハハ、やっぱ、衣装やメイクだけじゃ、ごまかせないわね……これが、わたしのほんとの姿」
ジーナさんは、ツバ広の帽子を初めてとった。意外なロングの髪がこぼれて、肩にかかった。その顔は、どう見ても真夏と同年配のハイティーンのそれだ。
「もう、アバターを使っている余裕もないの。省吾が、最後のチャレンジをしている。サポートに行ってあげて」
「もう、原子爆弾を落としたりはしないんでしょうね」
「だいじょうぶ、省吾もあれで懲りたみたい。今度は実直にやってるわ。場所は、最初のワシントンDC、状況は、以前行ってもらったときと、ほとんどいっしょ。ただ、今度は、省吾が先に行ってる」
「分かったわ。じゃ、リープするわ」
「ちょっと待って」
「なに、必要な情報はインストールされるんでしょ?」
「もちろん。ただ、インスト-ルしただけじゃ、あなたが混乱する内容があるから、説明しておくわね」
ジーナさんは、真剣な顔をして、話を続けた。
「今度、あなたが向こうへ行っても、なにもすることはないの」
「え……?」
「ただ、省吾といっしょに居てくれるだけでいい」
「どういうことですか?」
「あなたは、省吾のバッテリーのようなものなの。省吾のタイムリープの限界は、あなたがいる2013年が限界」
「それは、知っています。だから無理に1941年なんかにリープすると老化が早くなるんでしょ」
「そう、こないだ、ニューヨークから戻ってきたときのようにね」
「……むこうで、もう老化が始まってるんですね」
「そう、それを食い止められるのは、あなたの存在だけ。だから、あなたは、省吾のバッテリーのようなものなの。そのためにリープしてもらうの」
「分かったわ」
「じゃ……」
「待って、わたしからも、一つだけ」
「なに?」
「ジーナさんて、いったい……」
「それは……このミッションが終わったら、お話するわ。多分これが最後のタイムリープになるだろうし」
目の前が真っ白になり、最後のタイムリープが始まった……。
「もう、原子爆弾を落としたりはしないんでしょうね」
「だいじょうぶ、省吾もあれで懲りたみたい。今度は実直にやってるわ。場所は、最初のワシントンDC、状況は、以前行ってもらったときと、ほとんどいっしょ。ただ、今度は、省吾が先に行ってる」
「分かったわ。じゃ、リープするわ」
「ちょっと待って」
「なに、必要な情報はインストールされるんでしょ?」
「もちろん。ただ、インスト-ルしただけじゃ、あなたが混乱する内容があるから、説明しておくわね」
ジーナさんは、真剣な顔をして、話を続けた。
「今度、あなたが向こうへ行っても、なにもすることはないの」
「え……?」
「ただ、省吾といっしょに居てくれるだけでいい」
「どういうことですか?」
「あなたは、省吾のバッテリーのようなものなの。省吾のタイムリープの限界は、あなたがいる2013年が限界」
「それは、知っています。だから無理に1941年なんかにリープすると老化が早くなるんでしょ」
「そう、こないだ、ニューヨークから戻ってきたときのようにね」
「……むこうで、もう老化が始まってるんですね」
「そう、それを食い止められるのは、あなたの存在だけ。だから、あなたは、省吾のバッテリーのようなものなの。そのためにリープしてもらうの」
「分かったわ」
「じゃ……」
「待って、わたしからも、一つだけ」
「なに?」
「ジーナさんて、いったい……」
「それは……このミッションが終わったら、お話するわ。多分これが最後のタイムリープになるだろうし」
目の前が真っ白になり、最後のタイムリープが始まった……。