魔法少女マヂカ・098
8時に職員室に来て
緊急の知らせを受けたのは、7時50分。
角を曲がったら、公園の角で待っている友里が視界に入るというところだ。
―― ごめん、急ぎの用事で、もう学校に着いてるの。ほんとごめんね ――
友里にラインのメッセを送って緊急のテレポ。
テレポはめったに使わない。どこで誰が見ているか分からない、人が居なくても監視カメラとか車載カメラとかね。でも、緊急なんだから仕方ない。
友里も不審に思うだろう。何十分も前なら『急ぎの用事』で納得するだろうけど、『もう学校に着いている』はひどいと思うよね。もっと早く知らせろよと思うだろう。
でも、仕方がない。あとで時間のつじつまが合うようにしておかないと。それにしても、なんだろう? ㋪ラインで送って来るということは特務の用事に違いない。
A定食奢るくらいですんだらいいんだけど。
「失礼します」
職員室のドアを開けたのは7時52分。
階段横の倉庫(学校のテレポポイント)からなら、こんなものになる。
「B組の渡辺さんだね、安倍先生なら、応接室に来てくれって」
電話をとりながらパソコンをチェックして、書類二枚に目を通している教頭先生が教えてくれる。どこの世界も中間管理職というのは大変だ。
「ありがとうございます」
感謝に若干のシンパシーを足してお礼を言う。
応接室へは三十秒ももかからない。
でも、廊下から見える中庭を初秋の空ごと愛でる。
M資金を巡って、もう二月以上も戦ってきたが、全て亜空間で起こっていることだ。
リアルの世界では三日しかたっていない。
そう思うと、リアルの風景が愛おしく思えて来たりする。もう少し秋めいてきたら、調理研のみんなとお弁当こさえて、お出かけしたいものよね……と、思ってみたりする。
応接室のドアの前に立ったのは八時ちょうどになった。
「失礼します、B組の渡辺です」
『どうぞ』
あれ、この声は?
引っかかりながらもドアを開ける。
ブルネットと言うんだろうか、栗色セミロングの女の子が新品らしい制服を着て座っていた。
「あ、えと……」
「安倍先生は、野暮用作って席を外してもらってる。わたし、交換留学生のサマンサ・レーガンです。よろしく渡辺真智香さん…………いえ、魔法少女のマヂカさん」
!!
脊髄反射で風切丸を実体化させて構えてしまった!