魔法少女マヂカ・104
学校に戻るよ!
出撃とあれば混乱していられない。有無を言わせぬ勢いで出てきたばかりの校門を指さした。
なんで!? 待って! どこ行くのおおお!?
黙って付いて来て!
質問などを受けている場合じゃない、早く大塚台公園の秘密基地に三人を連れて行かなければ。
基地に入れば出撃モードになって、隊員として行動してくれるはず。
玄関から入って、転送室になっている階段横の倉庫を目指すが、早くも三人の姿が見えない。
「ちょっと、どっち行ってんのよ!」
玄関出たところまで戻ると、昇降口に駆けていく背中が見えた。
「上履きに替えなきゃ!」
「緊急事態だから、土足でいい!」
「え、あ、そなの?」
「友里、もう履き替えてる、ちょっと友里ぃーーー!!」
「あ、かばんかばん!」
一分遅れて、やっと倉庫前に揃う。
「いくよ!」
「なんで倉庫?」
「倉庫が基地への転送室なの!」
「あ、ちょっとトイレ行ってくる!」
「ちょ、ノンコ!」
「あ、あたしも!」
「家に電話いれとく……あ、お母さん? 実はね……あ、マヂカ、どこまで話していいの?」
「部活とでも言っといて!」
「一階の女子トイレ閉まってる!」
「じゃ、二階!」
「あ、やっぱ、わたしも……」
ああ、もおおおおお!
わたしが魔法少女であることを知って、おたつく三人! 基地に着けば隊員としての能力が目覚めて、力が発揮されるのだろうけど、基地に着くまでは、いつもの調理研の三人だ。どこから見ても普通の女子高生が。いきなり宇宙戦艦ヤマトの隊員になってガミラスを目指すようなもの、おたついて当たり前なんだけど、とにかく歯がゆい。
イイイイイイイイイイイッイライラする!!
五分遅れて、やっと倉庫のドアに手をかける。
「あ、サムは?」
三人に気をとられて忘れていた……しかし、事は緊急を要する。
「探そうか!?」
「いいよ、ノンコ。行くよ!」
五分三十秒遅れて転送を開始した……。