大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・095『海老煎餅と要介護3』

2019-11-20 11:33:21 | ノベル

せやさかい・095

『海老煎餅と要介護3』 

 

 

 要介護3か……

 

 二枚目の海老煎餅に手を伸ばしながらお祖父ちゃんが呟く。

 マクドで菅ちゃんの兄妹喧嘩を聞いてしもた。

 お母さんが要介護3になって、菅ちゃん一人では手が回らんようになった。菅ちゃんは、午後から休みを取って妹さんと相談してたんや。

 菅ちゃんが泣きごと言うてるようにも、妹さんが薄情なようにも聞こえた。

 人が感情的に言い合いしてるのは嫌いや。そばで聞いてるだけでも心がささくれ立ってしまう。

 うちの両親もたいがいやと思う。なんせ父親が失踪して、お母さんの実家に転がり込んでるんやさかい。

 けども、ここに至るまでお父さんとお母さんがケンカしてるとこなんか見たことない。せやさかい、お祖父ちゃんがお母さんをたしなめてるとこを見ただけで足がすくんでしもた……て、言うたよね。

「要介護3言うたら、二十四時間の介護が必要な状態で、特養の入所を考えるレベルやなあ」

「とくよう?」

「特別養護老人ホーム、ベッドから起きたりトイレに行ったり食事をしたり風呂に入ったり、日常生活全てに介護が必要なレベルや。言うても、特養なんて、すごい順番待ちや……菅井先生も大変なんやろなあ」

 菅ちゃんはポカと休みの多い先生や。大事な連絡忘れたり、いらんこと言うてしもたり、言わなあかんこと言わへんかったり。

 せやけど、お母さんの介護があったことを知ると、ちょっと可哀そう。

 

「特養のアキもなかなかないし、妹さんに助けを求めて逆ギレされてしまいはったんかもなあ……檀家さんにも、そういうお家があるで」

「みんな、どないしてはるのん?」

「いろいろや、市役所に相談したり、家族でもめたり、金策に走りはったり……介護には時間とお金がかかるよってなあ」

「そうなんや……」

 あたしも、しんみりしてしもて、海老煎餅のおかわりに手ぇ出そ思たら、お煎餅入れた菓子皿が空になってた。

 ああ……。

 よっぽど残念そうな顔してたんやろね、「ああ、すまん、好物やから、つい食べてしもた」 お祖父ちゃんが申し訳なさそうに頭を掻いた。

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乃木坂学院高校演劇部物語・41『竜頭蛇尾』

2019-11-20 06:33:59 | はるか 真田山学院高校演劇部物語
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・41   

『竜頭蛇尾』 

 
 竜頭蛇尾という言葉がある。

 小学校六年の時に覚えた言葉。
 最初は、やる気十分なんだけど、後の方で腰砕けになっちゃって、目的を果たせない時なんかに使う言葉。
 担任のシマッタンこと島田先生が、三学期の国語の時間に教科書全部やり終えちゃって、苦し紛れのプリント授業。その中の数ある四文字熟語の一つがこれだった。
「意味分かんな~い」
 クラスで一番カワユイ(でもパープリン)のユッコが投げ出す。
「……いいか、先生はな、野球選手になりたかった。それも阪神タイガースの選手になりたかった。そのためには、高校野球の名門校聖徳学園に入学しなければならなかった。ところが受験に失敗して、Y高校に行かざるを得なかった。ところがY高校の野球部は、八人しかいない。入れば即レギュラー。でもなあ、Y高の野球部って三十年連続の一回戦敗退。それで悩んでたらさ、バレー部のマネージャーのかわいい子に誘われっちまってさ……」
 島田先生は、これで自分が野球選手になり損ねたことをもって『竜頭蛇尾』の説明をしようとした。
 でも、これで言葉の意味は分かったけど、大失敗。『お里が知れる』という言葉も同時に子ども達に教えることになった。
 それまで、先生は――維新この方五代続いた、チャキチャキの江戸っ子よ!――というのが売りだった。実際住所は神田のど真ん中だった。
 でも聖徳学園高校もY高校も大阪の学校。神田生まれで阪神ファンなんて、もんじゃ焼きが得意料理ですってフランス人を捜すよりむつかしいし、東京の人間の九十パーセントを敵に回すのと同じこと。それに自分自身がデモシカ教師であると言ったのといっしょ。野球の腕だって、PTAの親睦野球でショ-トフライを顔面で受けたことでおおよその見当はついていた。
 五代続いた江戸っ子だってことが怪しいのも、わたしは早くから気づいていたんだ。
 島田先生は、五年生の時からの持ち上がり。
「先生は、神田の生まれで、五代続いた江戸っ子なんだぜ」
 と、カマしたもんだから、家に帰って言ったのよ。
「ね、今度の担任の島田先生は神田生まれの五代続いた江戸っ子なんだよ!」
 すると、おじいちゃんが前の年に亡くなったひい祖父ちゃんを片手拝みにして言ったのよね。
「ほんとの江戸っ子は、そんなにひけらかすもんじゃねえんだぜ」
「だって、先生そう言ったもん」
 すると、おじいちゃんは紙に二つの言葉を書いた。
――山手線と朝日新聞が書いてあった。
 純真だった(今だってそうだけど)まどかは、その紙を先生に見せて読んでもらった。
「ん、これ?」
「はい、読んでください」
「ヤマテセン、アサヒシンブン」
 と……発音した。ショックだった!
「ヤマノテセン、アサシシンブン」
 と……わたしの家族は発音する。

 前置きが長い……これは、わたしがいかに『竜頭蛇尾』という言葉に悩んでいるかということと、シマッタン先生を始め小学校生活に愛着を持っていたかということを示している。
 ちなみに、はるかちゃんは体育だけこのシマッタン先生に習っていたけど嫌い。
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ファルコンZ:17『友愛の三天使』

2019-11-20 06:25:58 | 小説6
ファルコンZ 17
『友愛の三天使』        

 
 
☆……三丁目の星・5
 
 ミーシャが狙撃されてしまった……!
 
 ミーシャは、ソ連のスナイパーによって心臓近くの動脈を撃たれ、即死状態だ。
「コスモス、ナノリペア! バルスはスナイパーを追え! ただし殺したらあかんど……」
 マーク船長は河内弁で怒鳴った。
 
 即死でも、脳は数分間は生きている。マーク船長は、ミーシャの胸に直接電子注射でナノリペアを注入した。それも周りの人間には気づかれずに。
「……マーク船長、ミーシャの鼓動が戻ってきた!」
「オレの処置は内緒にな。この三丁目星の医療技術じゃ治されへん傷やったからな」
 
 ミーシャは病院に搬送され、奇跡的に命を取り留めた……ということになった。
 スナイパーの方は、ロイド犬のポチが先導し、バルスが人間離れした能力で(もともとアンドロイドである)追いつめ、腕をへし折り、奥歯に仕掛けた自殺用の毒薬を奥歯ごと抜いて掴まえた。
「殺されるより、痛い!」
 スナイパーは泣き言を言った。
「モロゾフ君。君の仲間は何人ぐらい日本に潜伏してんねん?」
「……!?」
「名前当てたんで、びっくりしてるんか。おれはな、顔見ただけで、お見通しなんや……メンバーは……分かった」
 マーク船長は、アナライザーで、スナイパーの心を読み取ると、コスモスのCPUを通して日本中にいるアンドロイド、ガイノイドに指令した。
 
――全ての工作員を確保し、後楽園の会場まで連行せよ――
――腕の一本ぐらい、へし折ってもいいか?――
――あかん、無傷で連れてこい――
 
 そして、十時間をかけて(なんせ、新幹線も無い時代である)米ソ中の工作員三百名あまりが後楽園に集められた。所持しているピストルはモデルガンに、ナイフはゴムに変えられていた。むろん歯に仕込んだ毒薬は龍角散に、所持している毒薬はグラニュー糖に変えてある。
 では、ミーシャを狙撃したモロゾフが、なぜ、腕をへし折られたか?
 バルスは「緊急を要したので」とシラっと言ったが、バルスがミーシャをオシメンにしていることは明らかだった。
 
 そうして、連行された工作員と、米ソの大使(なぜか、その日のスケジュールをSJK観覧に変えられていた。中国は、まだ国交がないので工作員のボス)同席の中、SJKのコンサートが行われた。
 むろん一般席も一人百円という格安で、一般客に開放され、数万人がひしめいた。
 その日は、特別に米ソ中の国歌から始まり、それぞれの民族音楽を含め、二十曲余りの曲を歌いあげた。
「ほら、みなさん、こんなに良い笑顔をなさっています。わたしたちは、難しい政治のことは分かりません。でもみなさんは音楽を通じて、こんなに一つになりました。ステキです。ありがとうございました!」
 後楽園球場は満場の拍手になった……。
 
 それからJポップは世界中に広がり、派生系を生んだ。ロック風、コサック風、京劇風、さまざまなものが生まれ、人々の心は、世界的規模で多様化しながら一つになった。
 そして、二年後には核兵器が廃絶され、冷戦は終わり、銀河連邦でもまれに見る平和な惑星になった。
 
「ほんなら、あとは、あんたらで上手にやりぃや」
 そう言残し、ファルコン・Zのメンバーは三丁目星を後にした。
 むろん、ミナコとミナホの卒業公演は世界中三十カ所で盛大に行われ、数千万の人々が直接に、数十億人の人がラジオやテレビ、レコードで、それを聞いた。
「あとは、陽子。あなたに頼んだよ!」
 陽子とミナコ、ミナホが抱き合う像はお台場に高さ三十メートルの像になってつくられ、『友愛の三天使』の名を付けられた。
 除幕式は、元内閣総理大臣鳩山一郎がテープを切った。
「まあ、鳩ぽっぽで幕がしめられたんや。ちょっと緩いけど、めでたいこっちゃ」
 
 ファルコン・Zは、次の星をめざした。
 
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永遠女子高生・4《久美の変化》

2019-11-20 06:15:30 | 時かける少女
永遠女子高生・4
《久美の変化》        





 久美は律儀に教育実習をこなしていた。

 S高校の男子生徒たちに絡まれたのはショックだったが、立ち直りは早かった。
「あたりまえだ」と、小百合は思った。
 明くる日、二の丸高校に来てみれば、お行儀のいい生徒ばかり。自分の出身校も乃木坂で、都内でも有数の名門校。S高などは、久美の視界には入っていない。ちょっと怖い思いをしたけど、自分が勤めるのは、二の丸や乃木坂のような学校と決めてかかっている。

 しかし、久美が教師になって、そんな学校で教師を続けられるのは可能性として低く、また、一生をアマちゃんのお嬢ちゃん先生でいることは、小百合になった結(ゆい)には、いけないことに思えた。

「先生、ちょっといいですか?」

 若干ギクっとしたが、久美は、声を掛けた小百合に笑顔を返した。
「なあに、藍本さん?」
 そう応えたとたん、意識はS高校に飛んだ。

「びっくりしないで、飛んでるのは意識だけだから、先生の姿も、わたしの姿も、ここでは見えないわ」

 そこは、学校の玄関だった。メガネをかけたベテランらしい先生が二階の職員室から降りてきた。玄関には、先日久美の襟元を掴もうとしたアンチャンがふてくされ、その横に恐縮しきった母親とおぼしきオバチャンが立っていた。

「どうも、田中君のお母さん、わざわざお越し頂いて恐縮です。どうぞ、このスリッパにお履き替えください」
 メガネ先生は、旅館の番頭さんのようにスリッパを揃えた。
「岸本先生、応接へ……そう、先生も同席してください。あ、お母さん、お履き物はお持ちになってください。ときどき無くなることがありますので。良樹、先生すぐに行くから、お母さんと応接にな」
「……おう」
「おう……はないだろう。良樹にとっても大事な日なんだ。ほんの二十分ほどだ。ちゃんとしろ」
「うん」
「うんじゃない。はい、だろう」
「はい……」
 岸本という若い教師が田中親子を応接に案内しているうちに、メガネ先生は、事務室にお茶をくみに行った」

「ちょっと、早回しにするわね」

 まるでビデオが編集されたように、泣きはらしたオバチャンと、フテった良樹が応接から出てきた。
「退学届けはいただきましたが、こうやって担任をさせていただいたのも縁です。良樹の人生は、まだまだこれからです。ご心配なことがありましたら、いつでもお電話ください。とりあえずは、明日、城南のハローワークで、良樹を待っております」
「オレ、んなダリーとこいかねえし」
「来なくても、時間までは待ってる。先生ってのはな、無駄足踏んでナンボなんだよ。しつこくフォローするからな」
「ちぇ……」
「そんな顔すんな。最後だ、ちゃんと挨拶!」
「ありがとうございました……これ、良樹!」
 良樹は、コクリと頭を下げた。
「よし、じゃあ、先生、明日待ってるからな」
「では、先生、失礼いたします」

 親子は玄関を出て行った。若い岸本は踵を返して職員室に向かおうとした。

「岸本、親子が校門を出るまで見送るんだ」
「え、だって……」
「言われた通りにしろ」

 田中親子は、校門のところで、どちらともなく振り返った。メガネ先生は深々と頭を下げ、岸本先生も、それに倣った。

「辞めてく親子の半分以上は、ああやって振り返るんだ。そのときオレたちが見送っていなきゃ、寂しいだろ。最後まで見届けるのが教師だ」

 そこまで見て、久美はため息をついた。
「いい先生だわね……」
「もう少し見ていよう」
 校長が出てきた。迎えのタクシーが来て、どうやら出張のようだ。
「ご苦労様です、行ってらっしゃいませ」
 メガネ先生は、校長にも慇懃に頭を下げた。岸本先生は、ちょっとバカにしたような顔になった。
「オレは、あの校長個人に頭を下げたんじゃない。S高の校長職に頭を下げたんだ」
「いっしょじゃないですか。あいつ、ここ面倒だから、一年残して早期退職するってもっぱらの評判ですよ」
「評判じゃない……事実だ。しかし、あの男が校長である限り礼は尽くさなきゃならん。学校で大事なのは秩序だ。教師が否定したら、もう仕舞だ」

 久美は、ますます感心した。

「でも、あの先生の本心は、こうなんだよ」
 久美の頭に、メガネ先生の思念がダウンロードされるように入ってきた。

――これで15人目だ。あと3人というところか。240人入って、卒業するのは100人足らず。オレたち一年生の担任は、無事に首を切るのが仕事。明日良樹はハローワークには来ない。そこまで不義理をさせれば、学校の評判を落とさずに、良樹との腐れ縁が切れる。さあ、指導記録の作文にかかるか……この岸本は、こういう機微が分からん。苦労するだろうが、もう大人だ。オレの知ったこっちゃない。新任指導の実績はつくった。あとは自分で地獄を見るんだな――

 久美はショックだった。これがメガネ先生の心……。

「そう、こういう学校が大半なんだよ。久美先生、やっていける?」

 教育実習が終わるころ、久美は先生になることを、とりあえず断念した。
 小百合の中の結は思った。久美のことは、取りあえずここまで。
 
 まだまだ手の掛かるのが残ってる……。
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小悪魔マユの魔法日記・100『オモクロヒットの裏側・5』

2019-11-20 06:03:42 | 小説5
小悪魔マユの魔法日記・100
『オモクロヒットの裏側・5』     



「センター外されたからか?」

 上杉は直球で聞いてきた。

「それもあります。やっぱアイドルだったら、センター狙いたいのは当然じゃないですか」

 加奈子も、直球で答えた。

「でも、吉良ルリ子のセンターなんて、かわりっこないぞ。加奈子だって分かってるだろう」
「ええ、今のオモクロじゃね」
「今のオモクロが気にいらんのか」
「これはこれでいいと思う。でも、わたしは、わたしたちのオモクロがやりたいんです。想色クロ-バーじゃなくて、おもしろクローバーが」
「そりゃあ、加奈子、ただの嫉妬だ」
「違うわ。ルリちゃんたちは、力もあるし、オモクロにも愛情もってくれてます。だから美紀ちゃんだって、体はって香奈ちゃん護ってくれたわ」
「だったら、加奈子もがんばってセンター奪い返してみろよ」
「おもしろと、想色じゃ、もんじゃ焼きとフランス料理。けして一緒にはならない。上杉さんだって、そこんとこ分かって、もんじゃ焼きにフランス料理の真似させてるんでしょ」
「フランス料理じゃ、いやか?」

「いや」

「はっきり言うなあ。お互い、ロケバスで寝泊まりしながら這い上がってきた者同士だから、はっきり言うけど、もう、うちはフランス料理に変わっちまったんだ。いまさら、もんじゃ焼きにはもどれん」
「だから、別のユニットで出して欲しいの。フランス料理の手伝いもちゃんとするから」
「いま、うちの事務所に、別のユニット作る余裕はない。やっとAKRの背中が見えてきたところなんだ」
「……じゃ、わたしオモクロ辞める」
「それはダメだ。まるで、新しいオモクロが、古いオモクロを追い出したみたいで、スキャンダルになる!」
「迷惑はかけないわ」

 オフィスのドアが急に開いて、加奈子が飛び出してきた。その風圧で香奈(マユのアバター)は一瞬目をつぶるほどだった。

「待って、カナちゃん!」
 一瞬マユは、自分のことが呼ばれたのかと思ったが、すぐに勘違いであることが分かった。
「別所君……!?」
「ああ、見間違えたかな?」
 それは、ちょっと前まで上杉のアシスタントをやっていた別所だった。
「やっと、プロディユーサーのはしくれになった」
「おめでとう。苦労が実ったわね」
 加奈子は、素直に喜んでやった。
「カナちゃんの苦労だって実らなくっちゃ」
「……え?」
「オレが、引き受ける。新しいユニット」
「別所くんが……失敗したら、この事務所にいられなくなるよ」
「思ってないだろ、失敗するなんて」
「だけど、別所君を巻き込めないよ」
「この仕事、リスクはつきものだ。オレ、カナちゃんの思い入れは本物だと思っている」
「……ありがとう、別所君!」

 廊下の端で手を取り合う二人を、上杉が怖い顔で睨んでいた。

「勝手にしろ……」

 そう呟いて、上杉は廊下の反対方向に行ってしまった。

 やっぱり、オチコボレ天使がやるお節介は、どこかで歪みが出てくる。オモクロのヒットで雅部利恵は大満足だろうが、こんなことには気も付いていないだろう。

「ユニットの名前は『オモクロ・E残り組』にしよう!」
「居残り組?」
「ううん、アルファベットのEを付けて、E残り組!」
「いいね、それでいこうよ『オモクロ・E残り組』!」

「わたし、そこの研究生にしてください!」

 香奈(マユ)はクチバシッテしまった……。
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