大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

銀河太平記・003『修学旅行・3・羽田宇宙港・2』

2020-08-16 14:52:06 | 小説4

003

『修学旅行・3・羽田宇宙港・2』    

 

 

 羽田宇宙港は大騒ぎになった。

 

 セキュリティー厳重なエプロンにアナログ車で突っ込んで、危うくトランスポーターに衝突というところで停車したのだ。ただちに保安部のロボット隊が駆けつけてきて、テルは車ごと包囲された。

「手を挙げて出てきなさい」

 フェーザーを構えた小隊長が車に向かって声をかけ、部下のロボットたちも一斉にフェーザーを構えレーザーポイントをアナログ車の運転席に……当てようとしたが、赤い照準ポイントは無人の運転席のあたりを彷徨う。

「アナログ車だろ?」

「車籍はコトブキレンタカー、ニ十分前に貸し出されたトヨタです。借主は火星の高校生……」

 瞬時に車籍から履歴を検索し、検索情報は宇宙港保安部と警視庁で共有された。

「それなら、運転席に……フェイクかもしれん! 下がれ!」

 警備小隊のロボットたちは一斉に十メートルの距離をとって身を伏せた。

 第三級アンノウンの警戒情報は日本中の警察、国防省、内閣情報局と共有の範囲が広げられ、国防相とリンクしている米軍とイギリス軍にも同時に送られ、二秒後には、いずれも該当事項無しのアンサーが返されてきた。

 カチャリ

 ドアが開く気配がして、警備小隊は蟹のような匍匐で後退してさらに十メートルの距離をとった。

「両手を頭の上に置いて出てこい!」

 カチャカチャ

「R4パルス核の起動音に近似!」

 R4パルス核というのは東アジアのテロリストに出回っている携帯核で、爆発すれば羽田宇宙港の半分が吹き飛んでしまう。近似でなく確定ならば、小隊長は車ごと破壊を命じていただろう。

 カチャッ!

 勢いよくドアが開いて、まろび出てきたのは小学生!?

「やっと開いたわよ。ちょっと、あんたたち、物騒なものはちまってほしいのよさ!」

「こ、子どもか……?」

「しつえいね! こえでも、高校二年生なのよさ!」

 テルは手を挙げたまま頭上にインターフェースを開いた。テルの身分に関する情報がテロップのような流れる。

「星府立第三高校二年……平賀・エレキ・テル……10歳……オールマースグランプリ優勝、地球国際免許保持……」

「隊長、取りあえず連行しましょう」

「そうだな、今から身柄を拘束する。手錠をかけるから抵抗しないように」

 女性型警備ロボットが、マニュアル通りに表情を緩めてテルに近づことした。

「まちなさいよ! 拘束さえうようなファクターは、なにもないのよさ!」

「大人しく従ってちょうだい、おねえさんたち、ひどいことはしたくありませんからねえ」

「隊長、きちんと照合しやさいよ! レンタカー借りたのも合法りゃし、宇宙港のゲートも普通車(パルス車)しか進入禁止になってなかったし、アナオグ車にはナビオートちゅいてないし、ここに入ってきたのは不可抗力にゃし、ここまで分かった?」

「え、ああ、その通りだが、宇宙港に無断で侵入したら逮捕は当たり前だ」

「あんたたち、ゲートのセキュリティー抜けてゆのよさ。本来なや『道間違ってますよ』と注意があるべきれしょーが! わたし、そーゆーの聞いてないわよ、いきなり拘束って、ひよいと思うわよさ」

 小隊長は保安部のPCを通して、リンクしている警視庁のPCにも答えを求め『法令通りに手順を踏め』という回答を得て「ここは進入禁止です」と、改めて言った。

「まあ、そうにゃの!? ごめんなしゃい、直ぐにバックするわよさ」

 車に乗り込むと、静かにバックして、切り返すこともなくゲートからバックのまま出ていき、宇宙港正面のロータリーに車を着けた。

 

 

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ポナの季節・5『女子高生の感動は24時間①』

2020-08-16 06:10:23 | 小説6

季節・5
『女子高生の感動は24時間①』
        


 ポナとは:みそっかすの英訳 (Person Of No Account の頭文字をとった新子が自分で付けたあだ名)


――明日、横須賀に入港。一般公開につき来るべし、友だちも連れて来い――

 という大ニイからのメールで、あたしは支倉奈菜を連れて横須賀に行った。
 海自の最新鋭空母型護衛艦「ほうき」と、大ニイの「ひとなみ」が展示公開されている。
「ほうき」は大きくてカッコよくて人気があるけど、大ニイの「ひとなみ」は2000トンあるかないかの、旧式小型護衛艦で、あまり人気がない。

 大ニイは、この「ひとなみ」で砲雷長というのをやっている。
 砲雷長というのは、船の武器の総括責任者だそうで、いざって時は艦長の横に張りついて一切の射撃管制の指揮をとるというエライ仕事。普通は二佐か三佐の仕事なんだけど、なぜか、一個下の一尉の大ニイがやっている。

「ひとなみ」が退役寸前の二線級のせいか、大ニイが偉いのか、ポナには判断が付かない。

 ただ、大ニイが家族の多い寺沢家で一番頼りになることは確かだ。お父さんは高校教師だけど、定年を間近にして、いまだに管理職はおろか、主任とか長のつく仕事はしたことがない。
「お父さんて、どうなの?」
 たまにお母さんに聞いてみる。お母さんはお父さんが若かったころの教え子で、当たり障りなくいうと「職場結婚」。ポナはこう思う――まだ純真無垢だったお母さんを騙くらかして嫁さんにした悪徳スケベ教師――お母さんに、この質問をすると、いつも、こう答える。
「二人が結婚していなきゃ、あなたたちは存在していないのよ」

 どこか誤魔化されているような気がするが、夫婦としては上手くいっているのだろうと思って、納得はしている。愛し合っていなければ、今時五人も子どもはできたりしないだろう。

 家に関わる重要な決定は、大ニイとお母さんがやってる。他の兄姉も、いざという時は大ニイを頼りにする。

 で、今度の奈菜の件も、どうやら大ニイの差し金というか、指図であるらしかった。

「うわー、いろいろ付いてて強そー!」

 奈菜は、航空母艦型の「ほうき」よりも「ひとなみ」のほうに関心を示した。「ほうき」は最新鋭だけあって、でっかくてすっきりしている。奈菜は小さくてもゴテゴテといろいろ付いているのがカッコよく感じているのだ。
 10人中9人が「ほうき」に行ってしまったので、「ひとなみ」は急きょ予定を変えて、湾内の体験航海と射撃二級訓練を行うことになった。
「参観者の方々は、安全のため艦橋上のデッキにご集合ください」
 体育祭みたいに長閑な女性の艦内放送が流れ、一クラス分ほどの観覧者は「ひとなみ」の全貌が見渡せる艦橋上のデッキに集まった。
――本艦は30ノットまで出せますが、湾内ですので15ノットで進みます。ただいま10ノット――
「速いね!」
 奈菜は錯覚している。「ひとなみ」は小さな船で、湾内では10ノット以下の微速で走っている船が多いので速く感じるのだ。
――15ノットに達しました。総員戦闘配置!――
 艦内のあちこちから完全装備の乗組員たちが駆け足で持ち場に付いていく。一分足らずで総員配置が終わると、ポナでも分からない戦闘指示の放送が流れ、三インチ速射砲や、アスロックのランチャーや短魚雷、CIWS(多連装自動機銃)などが、勇ましく動き出した。
 さすがに、射撃はしなかったが、各ウェポンにはスピーカーが仕掛けられており、実戦さながらの音と動きが見られた。

「あたし、考えがかわっちゃったかも!」

 船から降りて、しばらくして奈菜が興奮気味に言った。
「どういうふうに?」
「みんな命令された通りにやってるんだけど、イキイキしてた……」

 そのとき、大ニイからメールが入った。

――乗艦感謝! 奈菜ちゃん元気か? ポチもがんばれ!――

 船乗りらしく簡潔な文面だ。

「お兄さん、あたしのこと知ってたんだ!」
「男ばっかの船だから、あたしたちみたいな女子高生でも、目の保養になるんでしょ」
「まさか、ポチはポナの打ち間違い?」
「ううん、うちのワンコ。あたしが生まれた時に大ニイが拾ってきたの。どうも大ニイのやることは分からないよ」
「そうかなあ」

 遅れて画像が送られてきた。

「うわー、いつの間に!?」
 画像は、美少女然として海を見つめる奈菜と、大口開けて笑っているポナが同時にフレームに収まっていた。
「うーん……タイトルは『完璧に目標を補足』か」

 大ニイには、かなわないと思うポナだった。

 

※ ポナの家族構成と主な知り合い

父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

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かの世界この世界:42『ゲペックカステン』

2020-08-16 05:54:26 | 小説5

かの世界この世界:42     

『ゲペックカステン』   

 

 

 

 北門は正門ほどの大きさではないが賑わいは比べ物にならない。

 

 ムヘンブルグ城塞都市の日常生活をまかなう物資を積んだ大小さまざまのトラックが行き来し、商売や仕事で出入りする人々がバスや車、あるいはバイク、あるいは荷車や自転車、近隣の者は大荷物を背負って行き来している。

 道の左側二車線は軍用に空けられていて、軍用のハーフトラックや装甲車、戦車が通る。中でも快速で軽快な二号戦車が半分近くを占めていて、我々の二号戦車も、その中に混じっている。

「なるほど、これなら目立たないな」

 そう呟くと、グリがクスリと笑う。

「目立たないもなにも、われわれ四人は正規の警備兵として登録されています。遊撃警備隊に属しているので、どこをどう通ろうと怪しまれませんよ」

「でも、こんな子供みたいなの連れていたんじゃ、いくら警備隊のコスを着ていてもダメだろう」

「めずらしくありませんよ、ほら、前からやって来る部隊……」

 グリが示したペリスコープを覗くと、警備任務から帰還してくる二号の車列が見える。数えて五両の二号は乗員たちが車外に出て、砲塔に腰掛けたり、道具入れの上に腰掛けたりしてくつろいでいる。

 そのくつろいでいる兵士の半分は女性であったり少年少女であったりする。

「外に出て手を振ってやるといいですよ」

「「え、いいのか!?」」

 ブリとケイトの声が弾む。グリがハッタリをかまして「人目についてはいけません」と言っていたので、北門を出るまでは二号の狭い車内で辛抱していたのだ。

 グリの意地悪にはには訳がある。

 リュック山盛り二つ分のお八つを諦めきれないブリとケイトが「ゲペックカステンの中に入れればいい!」と、主張したのだ。

 二号の履帯ガードの上には左右共に大きなゲペックカステンという道具入れが付いている。ゲペックカステンは飾りではなく、戦車のメンテに必要な道具や野営の道具などが入っていて、余計なものをが入る余裕はない。

 そこに無理やり詰め込んだもので、一部の道具は下ろしてしまった。それで、グリは意地悪を言ったのだ。

「プハー! やっぱ、外の空気はおいしいぞ!」

 砲塔に腰かけて伸びをするブリに、すれ違う二号の乗員たちが手を振る。

「任務ごくろうさま!」

「あんたら、これからか、ごくろうさん!」

 元気よくエールの交換。だれも、ブリがブリュンヒルデ姫だとは気づかない。やっぱ、トール元帥がュンヒルデを取ってしまった効果は大きいようだ。

 

 しばらく行くと、一両の二号戦車が路肩に停まっていた。

 

「すまん、ちょっとツールを貸してくれんか」

 腕まくりして油まみれになった車長の軍曹が声をかけてきた。

「ここにきてエンコかい?」

「ああ、だましだまし来たんだが、北門の目前でこれだ」

「レッカーを呼べばあ」

 ブリが、なにごとかを予感してアドバイス。

「それは最後の手段だ、レッカー呼んだら、報告とか始末書が大変だからな」

 

 ブリは汗が出てきた。メンテツールは下ろしてしまっている。

 ケペックカステンを開けてしまえば大量のお八つがバレてしまう!

 

 ヤ、ヤバイ……ブリの心の声が聞こえてくるようだった。

 

☆ ステータス

 HP:500 MP:500 属性:剣士=テル 弓兵=ケイト

 持ち物:ポーション・15 マップ:2 金の針:5 所持金:5000ギル

 装備:剣士の装備レベル5(トールソード) 弓兵の装備レベル5(トールボウ)

 

☆ 主な登場人物

  テル(寺井光子)   二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリ         ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘

 タングリス      トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 二宮冴子  二年生  不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生  セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生  ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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