大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE滅鬼の刃・15『横並び』

2021-02-24 14:37:11 | エッセー

RE滅 エッセーノベル    

15・『横並び』       

 

 

 日本人て横並びですよね。

 

 いいか悪いかは別にして、周りの人と同じであることで精神の安定を保っていると思うんです。

 お祖父ちゃんは、1953年生まれですから、団塊の世代の尻尾の先だと思います。

 職場は公立の学校でしたから、同僚の先生たちは日教組です。

 あ、日教組という括り方をすると「それは違う」とお祖父ちゃんは言います。

 お祖父ちゃんは府の教職員組合が分裂してゼンキョウというのが出来た時に組合を辞めています。

 ゼンキョウ……全日本教職員組合? よく分かりませんが、1991年に日教組から分離した組合組織で、日教組とは一線をひいている……だそうです。

 日教組も全教も、まあ左派の組合です。高校生のわたしには、違いがよく分かりません。

 立憲民主党系と共産党系? アハハ、立憲民主と共産党の区別もついていません(*ノωノ)。

 その中で日の丸賛成! 卒業ソングは『蛍の光』と『仰げば尊し』を叫ぶんですから勇気があります。

 お祖父ちゃんも最初は組合には入っていたようです。

 最初の学校に新任で入った時、諸手続きの中に組合加盟の用紙があるし、説明してる人は一緒だし、なんか「皆さんそうなさってます」的な空気の中で入ってしまったんだそうです。

 なんで辞めたのかを面と向かって聞いたことはありません。なんか古傷っぽいですしね。

 お祖父ちゃんはFacebookをやっています。

 毎日、お友だちの投稿を見ては「ほう」とか「へえ」とか言ってます。

 友だちの友だちは、みんな友だちだ! という感覚でフレ承認していたら、いつのまにか300人ほどお友だちができたようです。

 リアルのお付き合いは、ほとんど無くなったお祖父ちゃんですので、たとえSNSでも人の繋がりがあるのはいいことだと思います。

 ただ、歳の割には左翼っぽくないお祖父ちゃんなので、お友だちの投稿が間違っていたり見当違いだったりすると、きっちりと反論を書きます。

 たとえば――総理は記者たちの呼びかけを無視して去っていきました――という書き込みがあったとします。

 お祖父ちゃんは、色々調べてファクトチェックします。確認の結果以下のようなことを知ります。

 総理は、記者たちに呼び止められて振り返りましたが呼び止めた記者は手を挙げません。それで、総理は再び去ろうとしますが、再び「総理!」と声が掛かり、再び振り返りましたが、やっぱり名乗り出る記者はいませんので、三度立ち去ろうとします。すると、三度目の「総理!」の声が上がりますが、三度目は振り返らずに、そのまま立ち去りました。

 この三度目の時だけを取り上げて――総理は記者たちの呼びかけを無視して去っていきました――と非難するのです。

 そこまで調べて反論するのですが、反論された方は、やっぱり不愉快ですよね。

 たいていの人は反論された中身が問題ではなく、反論されたということに戸惑いと反感を持つんですよね。

 もう、現役のころのしがらみも無いのですから、思い切りやればいいと思います。

 でも、健康にだけは気を付けてくださいね。このごろ血圧も血糖値も高いんですからね。

 

http://wwc:sumire:shiori○○//do.com

 Sのドクロブログ☠!

 

 開き直るんじゃねえよ。

 人生100年とかいう時代だぜ、友だちがいねえことを自慢すんじゃねえよ!

 夜中にひっくり返ったって、あたししかいないんだぞ。

 クソジジイだから長生きだと思うけどさ、死ぬまで無事でさ、なんも患うこともなしにポックリいってくれたらいいよ。

 何回もひっくり返って、救急車呼んだり、度重なる入院とかで付き添いだとか看病だとか介護とか勘弁してよ!

 あたしだって、自分の人生あるんだからね。クソジジイのことで青春台無しにしたくねえよ。

 なんか、そういう予感がするからさ、頼むよ、ちゃんと、これからのこと準備しといてくれよ( ノД`)!!

 年末の事だったよな。

「しおり、もう年賀状やめようか」

 ミカンの皮剥きながら背中で聞いたよな。

「好きにすればあ……」

 そう言ったけど、本心は――クソジジイ、とうとう来やがった――て思った。

 年賀状たって、50枚無いじゃん。

 みんな義理で出してくれてる年賀状だけどさ、それでも、やっと残ってる人間関係じゃん。

 SNSだってさ、いちち反論とかみっともないよ。適当に『いいね!』押しまくって、かわいらしくしときゃいいんだよ。ひまでYouTube観まくりなんだろうけど、安倍さんとかトランプを贔屓にすんじゃねえよ、年寄りのトレンドは『安倍政治を許さない!』だからな。世間の年寄りは、総理辞めたって安倍総理許さねえんだからな! 右に、いや、左に倣っとけよ。

 失った人間関係は、取り戻せないんだからさ。

 だいたいさ、適当に世間に合わせときゃよかったんだよ。

 学校に勤めていてさ、日の丸とか君が代とか言ってんじゃねえよ!

 はいはい言って付き合っとけば、ここまで孤立してねえと思うよ。

 あたしだって、家の外じゃイイコしてるよ。

 ご近所の人に遭ったらきちんと挨拶するしさ、ゴミ出しだってやるよ。

 回覧板回すときだって、時候の挨拶だけじゃなくってさ、「腰の具合どうですか?」とか「夕べの地震びっくりしました!」とか「つまらないものですが」とか言って年に一回くらいは出かけた時のお土産添えたり、町会の運動会にも進んで出たりとか、クソジジイに万一のことがあった場合のセーフティーネットの構築に勤しんでるよ。

 学校じゃ『着かず離れず深入りせずに』をモットーにしてさ、クラスのどのカーストからも「おはよう」とか「オッス」を言い合えるような関係保ってるよ。

 制服の改造とかはしないけど、ブラウスの第一ボタンは外してリボンはルーズを心がけてるよ。

 ローファーの踵は踏みつぶさないけど、スカートは校則よりも三センチ上にして、アクセとかはしないけど、左手のミサンガは外したことがない。

 しおりは緩め方がうまいよなって、生活指導の竜崎に言われた時はギクってしたけどさ、まあ、生活指導部長に、そう言わせるくらいには気い配ってる。

 ジイチャンも、頼むよ。

 元気でいてよ、あたしが玉の輿に乗るまではさ。

 

 

 

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やくもあやかし物語・65『二丁目の土の道』

2021-02-24 09:13:20 | ライトノベルセレクト

物語・65

『二丁目の土の道』    

 

 

 最寄りのコンビニは一丁目の端と二丁目の真ん中にある。

 

 二丁目のは学校と家の間なんで、学校への行き帰りにかならず目にする。

 だけども、利用率の高いのは一丁目のコンビニ。

 だってさ、制服のまんまコンビニに入るのは気が進まない。

 近所の中学校だって丸わかりでしょ。近所の人だったらネクタイの色で学年まで分かってしまうし、ボーっとしてるわたしは名札を仕舞っておくのを忘れたり(校外ではポケットの表に付けた名札はポケットに仕舞うように言われてるんだけど、よく忘れて歩いている)するからね。

 そのわたしが、わざわざ一丁目のコンビニを目指している。

 それも自転車に乗ってさ!

 二丁目から学校の方に向かって自転車の乗るのは億劫なんだ。

 だって、坂道があるでしょ。

 下りはいいのよ、下りは漕がなくてもいいしね。でも、帰りは坂道を漕いで上がらなくちゃいけないからね。

 それを、いったん家に帰って、それもわざわざ自転車で出かけたのには、こんな事情があるんだよ。

 

「崖下の一つ西の道、土の道になっちゃったよ、年度末事業みたいだ」

 お爺ちゃんが言った。

 自治会の用事で二丁目に出かけたら、百メートルくらいの舗装が剝がされて土の道が露出してるって言うのよ。年度末に使い残した予算を使うために、お役所が舗装のやり直しを始めたらしいんだけど、舗装を剥がしたところで、一時的にストップしているらしい。

「いやあ、昔は、ここいら舗装道路なんて無かったから、土の感触が懐かしくってさ、コンビニに寄って来るの忘れてしまった」

 お爺ちゃんは胡桃の食パンが好きで、胡桃の食パンは二丁目のコンビニしか売ってない。

「あたし、行ってくる!」

 それで、自転車をかっ飛ばしているというわけ。

 お爺ちゃんの役に立ちたいという気持ちも無くはないんだけど、ビビっときたのは百メートルの土の道。

 土の道を自転車で走ってみたいわけです!

 たまにね、下水工事なんかで土が露出してることってあるけどさ、ほんの何メートルかでしょ。

 百メートルもの土の道って、そうそうあるもんじゃない。

 だから、コンビニで胡桃の食パン買った後、わざわざ回り道してみたわけですよ。

 

 ワシャワシャ シャリシャリシャリ

 

 陽気な土やら砂の感触を楽しんでいると、あっという間の百メートル。

 そのまま舗装道路に進んで回り込めば崖下の道に出るんだけど、もう一回走ってみたくって回れ右。

 三十メートルも走っただろうか、急に自転車のペダルが重くなってきた。

 え、土の道だから? さっきは普通だったのに?

 置いてけ……置いてけ……

 変な声がしたかと思うと、完全に自転車が停まってしまった!

 恐るおそる振り返ると、いま通った三十メートルあまりに黒い影が三つ浮かび上がっている。

 黒い影は、地面から湧き出た煙みたいなものが人の形になった感じで、足の先が地面と同化している。

 何を置いてけか、最初は分からなかったけど、影の視線が自転車の前カゴに突き刺さっている感じで、胡桃の食パンを狙っているんだと分かる。

「ダ、ダメよ、これはお爺ちゃんのなんだから」

 影たちは、聞こえないと言うよりは無視して、置いてけを繰り返す。

 どうしようと思っているうちに、置いてけは後ろの方からも聞こえだして、前後を固められてしまう。

 や、やばいよこれは……(;゚Д゚)

 お地蔵さんの勾玉を思い出す……制服のポケットの中だ。で、今は私服だ……。

 ジワジワと黒い影は前後から迫って来る。

 もうお終い! 

 そう絶望しかけた時に、勾玉は紐を付けて首からぶら下げていることを思いだす。

――おねがい、勾玉!――

 そう思って、フリースの上から勾玉を掴む。

 ギュウウウウ……

 すると、胸の所が暖かくなってきたかと思うと、勾玉はラピュタの飛行石みたいに光り出し、前後の黒い影たちは『ヒョオオオオ』と悲鳴なのか歓声なのか分からない声をあげたかと思うと、わたしの近くの奴から消滅し始め、離れている影たちは、地面に潜って消えて行った。

 勾玉のお蔭だし、わたしもあやかし慣れしたのか、家に帰るころは平気になっていて、無事にお使いを果たすことができた。

 どうも、お地蔵さんが依頼してきた妖退治は一度や二度ではお仕舞になりそうにない。

 今年の春は、まだやっと梅が綻び始めたばかりです。

 

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け
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らいと古典・わたしの徒然草・14 『第三十四段 甲香は、ほら貝のようなるが……』

2021-02-24 06:41:06 | 自己紹介

わたしの徒然草・14

『第三十四段 甲香は、ほら貝のようなるが……』   



 たった二行の短い段です。

 金沢文庫の近くの入り江に甲香(かひこう)という小さな貝が転がっていて、地元の者は、その蓋のとこを「へなだり」というんだって。

 それだけのウンチクとも言えないメモのようなものです。

「へなだり」というのは小型のホラ貝みたいで、広島の一部で食用になっているようですが、全国的にはあまり知られておらず。どうということのない貝です。
 しかし、よくよく調べると、この「へなだり」というのは香の原料になるんですねえ。
 昔は「聞き香」という遊びがあって、いろんな香を焚きしめては、その香りを言い当てる遊び……というか、貴族や上流武家にとっては「たしなみ」の一つであったようです。
 織田信長が、皇室の持ち物で、正倉院に所蔵されていた蘭奢待(らんじゃたい)という香木を削って楽しんだことは有名で、信長が出てくる大河ドラマに、信長のエピソードとして出てくることが多いですね。

 日本人の風呂好きは、わたしの知識では江戸時代に入ってからで、それまではあまり入浴の習慣がなかったように思います。

 江戸期でも女性が髪を洗うのは大変なので、今のご時世のように、朝シャンなどという習慣はありません。当然臭いが気になり、香でごまかしていました。また身分の高い貴族などは自分の香りというものを持っており、外出の折りなどは、衣に香を焚きしめたりしました。『源氏物語』などには、夜に忍んできた男が、この香でだれであるか分かる仕組みになっていたりします。

 ひるがえって、今のご時世はどうでしょう。

 分けて二種類あるように思えます。洗剤などに香りの粒が含まれていて、軽く、服をポンと叩くとホワーンといい香りがするもの、という積極派。
 なにかにつけて臭いを消してしまう、消臭派。
 両極に見えるこの臭い(匂い)に対する対応は同根であるように思うのですが、いかがでしょう。

 わたしが幼かったころ、街も人もニオイで満ちていました。

 トイレが汲み取り式であったっため、どこの街も、そこはかとなくカグワシイ香りがしました。田舎にいくと、これを熟成させて肥料にしていたので、なんとも弥生の昔から、わが遺伝子に組み込まれた魂の奥底が平らかになっていくような心地がしたものです。

 もっとも都会育ちのわたしは、田舎の便所(トイレなどというヤワなものではありません)に、戦時中の米機の大編隊に囲まれた、戦艦大和のような心境でありました。ハエやカの数が半端ではなく、用を足したあとは、露出した身体のあちこちに銃爆撃の跡がのこったものです。

 また、子供たちは(わたしもそうでしたが)日向くさい匂いがしたものです。街のお母ちゃんたちは、洗剤やら、お総菜やらの入り交じった匂いが、じいちゃん、ばあちゃん達は、なんというか番茶に通じるような匂いがしました。あのころは加齢臭などという言語明瞭、意味明瞭、人間性皆無な言い方は無かったように思います。

 匂いには、もう一つ意味があります。


「らしさ」を例えた匂いです。たとえば「学生服に、染みついたオトコの匂いがやってくる~♪」と歌にあるようなラシサ。

 以前、タクシーなどに乗ると「学校の先生だっしゃろ」と、言われて慌てることがありました。タクシーに乗る時は、終電の後とか、よんどころなく時間に間に合わせる時で、やっと掴まえたタクシーに乗り込んだ時は『ああ、ヤレヤレ……』と気の抜けた顔をしていますからね。
 今でも街で「ああ、こいつは学校の教師(先生ではない)やろなあ」という人を見かけることがあります。演劇部の指導員をやっていたころは「この人は組合のバリバリやねんやろなあ」というところまで分かりました。
 昔の先生はコンセントの多い顔をした人が、わりといたように思います。コンセントとは生徒とのコンセントのことです。
 今の教師にはあまりコンセントを感じません。USB端子とでも言おうか、マウスでもコントローラーでも大容量記憶装置でも接続できそうな……何を象徴しているかは、読者のみなさんのご想像におまかせします。

 

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真凡プレジデント・3《とてもキュート》

2021-02-24 06:17:11 | 小説3

プレジデント・3

とてもキュート》       

 

 

 お好み焼き『たちばな』は少し広い。

 

 四人掛けのテーブルが四つに最大十人が掛けられるカウンター、そして奥に小座敷がある。

 三時から五時までがアイドルタイムなので、小座敷で試作品を頂く。

 

 オーーーーー!

 

 遠慮のない歓声を上げるわたし。

 二口目でコンニャクに行きついて、その意外な食感と味に驚いた。

「こんどのコンニャクは違いますね!」

「でしょ、去年はただのコンニャクだったけど、今度のは刻みを入れてマル秘の下味が付いてんの」

「これ、絶対売れますよ(^▽^)/」

「うん、真凡ちゃんのお墨付きなら間違いないわね」

 おばさんは自信たっぷりだが娘のなつきは苦笑い。

「美味しいけど、下ごしらえ……」

「慣れたら半分の時間でできるから大丈夫」

 

 お店はおばさんとパートのおばちゃんとで切り盛りしているが、ピークになるとちょっとキビシイ。

 しかし、根っから楽天家のおばさんは意にも介さず、やる気満々。

 

「ここに行きつくまでにはね……」

 おばさんの苦労話は、いつも面白い。喜怒哀楽をうまく表せず「興味の薄い奴」とお姉ちゃんには言われる、意識すれば、それなりのリアクションもできるんだけど、それは気疲れのする演技なんだ。おばさんの話にはいつも気楽にケラケラ笑える。なつきにこの半分もあればと思うんだけど、言って身に付くもんでもないから言わない。

「おかみさん、時間ですよ!」

 パートの篠田さんがエプロンを掛けながら声を掛ける。

「あ、あらやだ、いつの間に!?」

「真凡、二階いこ」

「うん、急ご」

 当たり前だけど、勉強はなつきの部屋でやる。立ち上がった拍子に口の開いたままのカバンを蹴飛ばして中身をぶちまけてしまった!

「アチャーー」

 オッサンみたいな声が出て、拾おうとしたら、おばさんが機先を制する。

「あら、生徒会長に立候補!?」

 おばさんは目ざとく会長候補用とスタンプの押された『立候補者心得』の書類を発見したのだ。

「それはお祝いしなくっちゃ!」

 篠田さんまでハッチャケそうになるが「当選したわけじゃありませんから」と固辞して二階への階段を上がる。

 

「応援するからね真凡!」

 

 階段を上がりながら頬を染めてなつきが拳を握る。

 なつきのガッツポーズ、とてもキュートだ。

 このキュートさは自覚が無くって、気心の知れた人にしか見せない。意識してやったら、ちょっと嫌味になるから、本人にも言わない。たまに出た時に――オオ( ゚Д゚)!――と、わたし一人、密かに喜んでいる。

 いつか偶然にでも写真に撮れればいいくらいに思っている。

 と言いながら、バシャバシャ写真を撮るような趣味はないんだけどね。

 スマホの写真を撮る時って、無神経な感じになる人が多いと思うんだ。

 たまに撮ったりすると「なんだか鑑識のオジサンが証拠写真撮ってるみたい」と姉に言われてしまうしね

 

☆ 主な登場人物

  •   田中 真凡    ブスでも美人でもなく、人の印象に残らないことを密かに気にしている高校二年生
  •   田中 美樹    真凡の姉、東大卒で美人の誉れも高き女子アナだったが三月で退職、家でゴロゴロしている。
  •   橘 なつき    入学以来の友だち、勉強は苦手だが真凡のことは大好き
  •   藤田先生     定年間近の生徒会顧問
  •   中谷先生     若い生徒会顧問
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