魔法少女マヂカ・250
英語が喋られへんから、どうなるのかってビビった。
あたしは魔法少女と言うても、準がつく。
元々は、ポリコウ(日暮里高校)のふつうの女生徒。
いや……ちょっと劣等生(^_^;)
こないだのテストでは調理研のみんなに助けてもろて、なんとか落第せんで済んだとこ。
マヂカがポリコウに来て(気が付いたら同級生)、いつのまにか染まってしもて、準魔法少女になってしまった!
自衛隊の特務師団というのに入れられて、身分的には特別職の公務員? よう分からへんけど。
何の因果か、ほとんど百年前の大正時代で冒険の真っ最中。
ここでは、京都の神社の娘という設定になってて、いつの間にか言葉も京都弁になってしもて直らへん(^_^;)。
どないしょ(^_^;)
まあ、暗示にかかりやすいというか、影響を受けやすい。
それで、今回の任務ではイギリスの巡洋艦の水兵になって、対水上監視の接眼鏡に齧りついてる。
首からぶら下げたメガホン、これは翻訳機になってて、日本語で「長門発見!」と叫ぶと、英語に変換される。
―― ノンコ、あと一分! ――
マヂカから思念通信が入る。
―― 了解 ――
返事して右舷一時の方向に遊園地の据え付け望遠鏡みたいな接眼鏡を向ける。あらかじめ出現の方角が分かってるからラクチン。
―― ハイドボール用意 ――
―― 了解 ――
おお、霧子の思念が入ってきた。
いよいよや。
―― テー! ――
頭の中にブリンダの号令がして、それに応える霧子の息遣いを感じると、右舷二時の方角にカスミがたなびく。
霧子がハイドボールを破裂させたんや!
さすが魔法少女のマジックアイテム。
まるで、自然現象みたいなカスミが右舷方向に広がっていく。
―― ガサゴソ ガサゴソ ――
今度は衣擦れの音がする。
いよいよ、ブリンダとマヂカが二人で戦艦長門に化けて、本物の戦艦長門を最大戦速で日本に向かわせる。
―― ヘーンシン! ――
号令が響く。
この瞬間、カスミの中に本物と偽物二隻の長門。カスミの外にあたしの巡洋艦。
うっかりしてると、二隻の長門が見えてしまうかもしれへん。
打ち合わせでは、本物の長門は少し東に進路をとるんで、グズグズしてるとカスミの中から出てしもて、見つかってしまう。
大丈夫やろか……
み、見えた!
カスミの中に、小さく、でも黒々としたガチ長門の姿が浮かんできた。
「ナガト ハッケン!」
メガホンに日本語で叫んだら、これがうちの声か?
でもはっきりと英語になってて、ブリッジの艦長やら航海長やらが一斉に双眼鏡を向ける。
ああ、なんとか無事に任務終了や!
え?
問題が一つ。
あたしは、この先どないしたらええのん?
どないしょ、どうやって巡洋艦から撤収すんのんか、ぜんぜん決めてへんかったやんか(;'∀')!
※ 主な登場人物
- 渡辺真智香(マヂカ) 魔法少女 2年B組 調理研 特務師団隊員
- 要海友里(ユリ) 魔法少女候補生 2年B組 調理研 特務師団隊員
- 藤本清美(キヨミ) 魔法少女候補生 2年B組 調理研 特務師団隊員
- 野々村典子(ノンコ) 魔法少女候補生 2年B組 調理研 特務師団隊員
- 安倍晴美 日暮里高校講師 担任代行 調理研顧問 特務師団隊長
- 来栖種次 陸上自衛隊特務師団司令
- 渡辺綾香(ケルベロス) 魔王の秘書 東池袋に真智香の姉として済むようになって綾香を名乗る
- ブリンダ・マクギャバン 魔法少女(アメリカ) 千駄木女学院2年 特務師団隊員
- ガーゴイル ブリンダの使い魔
※ この章の登場人物
- 高坂霧子 原宿にある高坂侯爵家の娘
- 春日 高坂家のメイド長
- 田中 高坂家の執事長
- 虎沢クマ 霧子お付きのメイド
- 松本 高坂家の運転手
- 新畑 インバネスの男
- 箕作健人 請願巡査