この子メインクーンだ!
頼子さんの言葉に、あたしは男爵と並ぶジャガイモの種類を思い浮かべた。
「メインクーン?」
メークインと発音せんかっただけ偉いねんけど、留美ちゃんもメインクーンは分かれへんみたい。
「一見トラ猫なんだけどね、胸の毛とかが違うの。アメリカのメイン州のネコでね、クーンって言うアライグマに似てるから付いた名前なんだよ」
「アライグマって言ったら、ちょっと大きいんじゃないですか?」
「うん、まだ子ネコだけど、大人になると10キロ近くなるわよ」
「「10キロ!」」
「ほら……こんな感じ」
頼子さんはパソコン検索して写真を出してくれた。
これは、もう猫の範疇に入る生き物やない!
あたしらが助けた子ネコは、ゲンコツ二つ分くらいの大きさしかない子で、ジャージのお腹の中でも余裕で入るサイズ。
お目めがクリクリしてて、三角の耳がピンとかっこよく立ってる。もし、トラ猫の子どもを連れてきてコンテストをやったら、一等賞間違いなしいう感じ。
あたしの横で留美ちゃんがしょぼくれてる。
察するに、留美ちゃんは子ネコに一目ぼれしたんや。できたら自分とこで飼うつもりにさえなってた。そやけど、この写真を見たら二の足を踏むやろなあ。
頼子さんは、頬杖付いて子ネコを見てるけど、やっぱしょぼくれてる。ネコ、嫌いなんかなあ?
「家族にネコアレルギーがいるからねえ……」
そういう理由か。
「それに、たぶん飼い猫だよ。いくらするんだろう……」
検索する頼子さん。子ネコをモフモフしながらパソコンの画面を見つめる留美ちゃん。
「アヒョーー」
頼子さんがケッタイな声を出す。画面にはスゴイ値段が出てた。
10万~20万…………アヒョー、あたしも言うてしもた。
「メインクーンの血が入った雑種かもしれませんねえ」
「うん、子ネコのうちは分からないし、きちんとしたことはブリーダーとかでなきゃ分からないでしょうねえ……にしても、学校で預かるわけにもいかないだろうし」
あたしの気持ちは、ほとんど決まりかけてた。
「ちょっと、家に電話してみます!」
それだけで、意味が分かったみたいで、留美ちゃんも頼子さんも、スマホを構えるあたしに注目。心なしか子ネコも縋りつくような目ぇで見てるやんか(^_^;)
「うん……うん……うんうん、そうします!」
「「どうだった!?」」
電話にはテイ兄ちゃんが出て、檀家周りから帰って来た伯父さんに聞いてくれて、とりあえずのOKをもろた。
「お寺の前に『迷子ネコ』の張り紙して、飼い主が見つかるまでは預かってもええいうことのなりました!」
「「よかったあああ!」」
とりあえず、子ネコは、うちに来ることになった(o^―^o)!