『夢の小筥』

再び廻り来る事のない、この刻(いま)を、そっと筥に納めてみました。

”ヒヨドリ”が、ただ一羽で訪れてきました…淋しげに!

2014-02-09 13:10:34 | Weblog

 

                                       

       あなた

 来ましたきました!ヒヨドリです。

 どういう訳かたった一羽で…

 何時もなら二羽揃って仲良く来るのに…

 一羽でリンゴを貪ってる(むさぼる)姿が何処か自分に似て…身につまされる…

 「キミもひとりになったの?」

 でも、「そんな同情はいらない」って…美しい姿で飛んで行った。

 かと、思うと30分もしないうちにまたやってくる。

 あの鋭い「キキッ」って甲高い声で鳴きながら…

 「呼んでも・呼んでも」二羽になることことなく、ただ、美しい姿で悠々と消えていった…

 いくら、優雅に振る舞う鳥だって淋しいんだよね…

 

    中原中也 の詩集より~ 

 冬の日の記憶

 

 昼、寒い風の中で雀を手にとつて愛してゐた子供が、
 夜になつて、急に死んだ。

 

 次の朝は霜が降つた。
 その子の兄が電報打ちに行つた。

 

 夜になつても、母親は泣いた。
 父親は、遠洋航海してゐた。

 

 雀はどうなつたか、誰も知らなかつた。
 北風は往還を白くしてゐた。

 

 つるべの音が偶々(たまたま)した時、
 父親からの、返電が来た。

 

 毎日々々霜が降つた。
 遠洋航海からはまだ帰れまい。

 

 その後母親がどうしてゐるか……
 電報打つた兄は、今日学校で叱られた。

 

 今わたしは「中原中也」の世界にどっぷり、浸かっています。

 今日は寒い日です。