雨風の強い晩、もう夜も更けたという頃になってドアがきしむ音がした。
(なんだろう)誰?という間もなく階段を上がっていく中年と思しき女。果して見覚えがない・・・誰だろう、身内だからこそ黙って家に入ってきたのだし、二階へ行こうとしている。
一瞬横顔が・・・従姉の・・・と、思う間もなく、階下の和室に座っている男に気づいた。座っているのでわたしの目線からは表情はまるで見えない、けれど明らかにこちらは父である。
「おじいさん、どうして?」(どうして、死んだはずじゃなかったの!)
声にならない声、胸は塞がれたまま眼が覚めた。(夢だったのか)
ではあの女の人は母だったのか・・・。
《なんで?なんで?》まさか、わたしを迎えに来たの?
わたしの死期が近づいているのかしら。
わたしの何が心配でこうして戻ってきたのだろう。
眼が覚めてからも今もずっと、父の座り込んだ姿や病弱だったはずの母が階段を一気呵成に上る足の感じが離れない。
わたしの何を叱りに来たのだろう、それとも何か不憫を思って甦って来たのだろうか。
倹しい暮らしだけれど、無事人生の終盤を全うする覚悟の日々を過ごしています。
「お父さん、お母さん、わたしを生んでくれてありがとう。」一瞬のことで挨拶もできなかったけど・・・。
(なんだろう)誰?という間もなく階段を上がっていく中年と思しき女。果して見覚えがない・・・誰だろう、身内だからこそ黙って家に入ってきたのだし、二階へ行こうとしている。
一瞬横顔が・・・従姉の・・・と、思う間もなく、階下の和室に座っている男に気づいた。座っているのでわたしの目線からは表情はまるで見えない、けれど明らかにこちらは父である。
「おじいさん、どうして?」(どうして、死んだはずじゃなかったの!)
声にならない声、胸は塞がれたまま眼が覚めた。(夢だったのか)
ではあの女の人は母だったのか・・・。
《なんで?なんで?》まさか、わたしを迎えに来たの?
わたしの死期が近づいているのかしら。
わたしの何が心配でこうして戻ってきたのだろう。
眼が覚めてからも今もずっと、父の座り込んだ姿や病弱だったはずの母が階段を一気呵成に上る足の感じが離れない。
わたしの何を叱りに来たのだろう、それとも何か不憫を思って甦って来たのだろうか。
倹しい暮らしだけれど、無事人生の終盤を全うする覚悟の日々を過ごしています。
「お父さん、お母さん、わたしを生んでくれてありがとう。」一瞬のことで挨拶もできなかったけど・・・。