いろはにほへとちりぬるを わがよたれそつねならむ・・・。
色は匂えど散りぬるを 我世誰そ常ならむ・・・。
三十年前に転居して来たころには近隣はみな並べて血気盛ん、子育てや仕事に追われていた。けれど、今・・・何人もの方が亡くなり、つい先だっても十年も施設にいたAさんが亡くなられた。子供たちの多くはこの地を離れ年を重ねた親の世代が残っている現実の欠落感を拭うことは難しい。
Bさんは癌がリンパに転移しているとの事でほとんど見かけなくなり、Cさんは施設に入所、Dさんも臥したまま、Eさんは二十年も前に脳梗塞で半身不随になったけれど何とか頑張っている。
Fさんも同じ頃脳梗塞で倒れ、介護にあたっていたご主人の方が急死。今は施設に入所している。昨日近くの施設に移ったと聞いたので早速訪ねてみると、細くなった手を差し出し、わずかに口を動かしたけれど発声に至らなかった。
「わたしね、ずっと働きっぱなしだったから、年を取ったら年金が楽しみなの」そう明るく笑ったFさんに羨望を抱いたわたしだけれど、今は思い出すたびに胸が痛む。
地域全体が高齢化・・・わたしも万全ではない。「ア、痛っ。痛たた・・・」なんて言っている日常。
気を確かに持ち、こんな状況だからこそ生活の中に「美」を求め、襟を正し、老いの覚悟が豊かに輝かしいものになるように努めたい。
色は匂えど散りぬるを 我世誰そ常ならむ・・・。
三十年前に転居して来たころには近隣はみな並べて血気盛ん、子育てや仕事に追われていた。けれど、今・・・何人もの方が亡くなり、つい先だっても十年も施設にいたAさんが亡くなられた。子供たちの多くはこの地を離れ年を重ねた親の世代が残っている現実の欠落感を拭うことは難しい。
Bさんは癌がリンパに転移しているとの事でほとんど見かけなくなり、Cさんは施設に入所、Dさんも臥したまま、Eさんは二十年も前に脳梗塞で半身不随になったけれど何とか頑張っている。
Fさんも同じ頃脳梗塞で倒れ、介護にあたっていたご主人の方が急死。今は施設に入所している。昨日近くの施設に移ったと聞いたので早速訪ねてみると、細くなった手を差し出し、わずかに口を動かしたけれど発声に至らなかった。
「わたしね、ずっと働きっぱなしだったから、年を取ったら年金が楽しみなの」そう明るく笑ったFさんに羨望を抱いたわたしだけれど、今は思い出すたびに胸が痛む。
地域全体が高齢化・・・わたしも万全ではない。「ア、痛っ。痛たた・・・」なんて言っている日常。
気を確かに持ち、こんな状況だからこそ生活の中に「美」を求め、襟を正し、老いの覚悟が豊かに輝かしいものになるように努めたい。