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人物の肖像である、しかし、そこに《座った人物》という注意書きがあることで、《立っている人物》であることを再認識する。否定による肯定の再認識である。
《座つた人物》という添え書きは鑑賞者のストレスになる。
しかし、否定に対する排除と共に座る可能性も無くはないという人物の行動範囲の許容も否定できない。むしろ自然な動向であり、画(立っている人物)と文字(座った人物という表記)の運動、巡回を肯定せざるをえない。
山高帽を被りネクタイ、コート、傘、カバンを身につけた文明人、発展した社会人であるならばこの思考回路は順当ではないか。
社会あるいは哲学的思考の成熟を見るならば、この総合的な判断を以て、この画を『模範例』と回答するに値するのではないか。否定・肯定・大いなる肯定である。
(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)
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