『室内ー開いた扉、ストランゲーゼ30番地』
明暗の対比、直線の荘厳な深いリズム、ドアノブの飾り金具には閉じられた秘密が垣間見える。(そう思わせる沈黙の重さが介在している)
部屋を隔てたずっと奥には解放めく光彩が覗く。
荘重な古い造りには歴史、時間の蓄積があり、幾多の物語が隠れている。
人の姿はないが、人の行き交う息遣いが其処此処に染みついている。
建物全体を描いてないのに、全体の様子、古い町の景まで想像できるのである。 この空気感の中には、秘められた恋、悲惨な傷痕…歓喜や憂愁の浮き沈みがあるが、並べてこの空気感の中に融解させられている。
多くを孕むこの室内の景は《開かれている》、しかし縷々流れた時間は《閉じられたまま》である。
写真は日経『デンマーク 室内の豊かさ(下)』より(1920年9月20日)
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