『発見』
形、性質を変えて別のものになる・・・生きているものが死へと移行していく。
婦人の裸身、皮膚が木目模様に変化しつつある。なぜ木目なのか、は作家自身に刻まれた記憶に因していると思う。想像の範疇ではあるが、昨日まで健在であった母親が今日は棺の中に姿を納めているという衝撃的な体験によるものではないか。
生きていると信じているものが、すでに死んだのだと知らされ、しかも棺の中に安置されているという驚くべき事実を実体験しているマグリットの鮮明な記憶。
生々しい肉体、母の感触・・・死!この落差を埋めるもの。棺の木目模様は鮮烈な視覚として残ったに違いない。残酷であり一種グロテスクな残像である。
「誰もわたしの作品を解釈してくれるな」というマグリットの怒りにも似た悲痛な思いがわたしの胸をかすめていく。
写真は『マグリット』展・図録
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