続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『ゴルコンダ』②

2019-03-12 06:59:47 | 美術ノート

 よく見ると、建物には建物の遠近が、人物には人物の遠近が図られている。散在ではなく、出来るかぎり厳密に計られていることに気づく。
 可視と不可視、形あるものと形のない物の差別化(あるいは現象)と換言してもいいかもしれない。

 要するに空中、空気の層・形を点描(人物の配置)で計測したのである。
 空中の形を同じ大きさの人物(群衆)を配置し、高さ・奥行き・拡がりを三層に簡略化して表現している。

「人間は空にもいますよね?」というマグリットのコメント。
 空、空間なくして心象は描けない。見えるものは見えないものを隠しているに過ぎず、見えないものを具象化すると鑑賞者は意表を衝かれ戸惑いを隠せない。
 心のどこかで(この景色は違う)と、否定してしまう。
 単に、精神的な交換、《位相》であると位置づければ、大いなる(総合的な)肯定が生じる。
 したがって、この驚異は肯定されるべき光景である。


(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図より)


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