学校で教えてくれない経済学 江嵜企画代表
11月2日のNY原油先物相場はバレル53セント下げ、
前日の3%、バレル1.63ドル下げの弱い地合いを引きずり
49.60ドルで取引を終えた。
ケリーさんが勝てば原油相場は下がり、ブッシュさんが
勝てば原油相場は上がるというのが一般的評価である。
石油のニオイがプンプンするブッシュ大統領が勝てば、
原油相場は堅調持続だが、ケリー候補は省エネ政策を
公約しているから、ケリー当選となれば、値下がりが
加速すると予測する専門家が圧倒的に多い。
しかし、原油相場が軟調なのはケリー当選の踏絵かと
いうと必ずしもそうではない。基本的な世界の原油の
需給関係は2日前と変化はない。ところが石油専門家は
このところの原油相場軟調の背景を並べて見せた。
①4週間続いたノルウエーでのストライキが収束した。
②原油在庫の見通しが不透明である。③直近の米GDP
データがエコノミストの予測を下回った。④55ドルの高値を
つけたあと投機家は調整にはいった。⑤ナイジエリアでの
ストライキの脅威は消えていないが、差し迫った原油
供給不安にはつながらないというのである。
理由はなんとでもつけられるということを胆に命じて
置かなければならない。特に相場の世界では変節は
日常茶飯に行われる。
つい昨日のことのように思われるが、55ドルまで
煽りたてておいて、手の平返した様にいま、原油先安感を
平然と流してくる。
日本人は一般的には動くものが苦手である。じっとしていて
お金儲けはしたい人が多い。昨日もある大手証券会社の
セミナーが大阪で開かれていたが会場は超満員。
多くの老人の熱気が充満していた。
昔から『隣百姓』という言葉が日本にある。回りの動静を
ひたすら窺う。他人様の様子が気になってし方がない。
常にキョロキョロしている。そして人の話を聞いて安心する。
自分で考えて行動はしない。ひとと違うことをすることを
極端に嫌う。最後は『海行かば』を粛々と歌いながら
大海のも屑となり露と消えていく。
話しを原油に戻す。中国中心に世界の原油需要が
引きつづき堅調である。OPECの生産枠も筒一杯で、
増産の余地はほとんどない。
イラク状勢も混沌としている。供給不安を払拭出きたという
環境変化はどこにもない。にもかかわらず昨日、今日の
原油相場は大きく値下がりした。
ただ、ケリーさんが勝とうが、ブッシュさんが勝とうが、
大統領選挙が終われば不透明要素が消える。
相場の世界では不透明要因の存在をいやがる。
選挙が終われば、原油相場は落ちつきを取り戻し、
40ドル台での高値安定相場が続く可能性が強い。
為替相場はどうか。昨日、今日の相場つきでは
ドル売りの流れが目立っているようだ。ケリーさんが勝てば
さらにドル売りが加速するという見方を為替専門家は流している。
しかし、ブッシュさんが勝てばドル高かというとそうでもない。
米国が巨額な財政赤字と貿易赤字を抱えた深刻な病人である
現実には何ひとつ変りはない。双子の赤字はドル安要因だ。
昨日の為替市場では対ユーロでドルがわずかに買われた。
ユーロは、1.2749ドルから1.2671ドルで取引された。
これは9月のドイツの小売り販売高が予測の0.1%増から
0.4%減との発表が材料にされたからだ。
ドルは対円でも小動きで、106.44円から106.37円へ
わずかに下げた。日本政府が1ドル=105円を越える円高には
介入してくるといううわさを流している。
いよいよ米大統領選挙の投票がはじまった。投資家は
株であれ、為替であれ、原油相場であれ、気もそぞろであろう。
今一番の相場に悪材料はあまりの接戦ですんなり米国の新しい
大統領が決まらず、裁判沙汰に発展するという危惧が
消えていないことのようだ。
ケリー候補は、先に触れた、自動車の燃費規制など
省エネルギー政策を公約している。これは原油先安
材料だ。ブッシュ大統領は戦略備蓄原油放出はしないと
公約している。これは原油堅調の材料だ。
はっきりしていることは、病気はからだの中から
治さなければならないということである。アメリカが
いま直面している病状は膏薬を張り代えるだけで
治るような生易しい状態ではない。
公約はどこまでも公約。当選すれば公約が守られた
ケースが数少ないというのが米大統領選挙の歴史である。
膏薬は簡単に剥がれる。公約もまたしかりである。
昨日、今日の原油・為替相場の動きは、
米大統領選挙結果の踏絵にならないだろう。(了)
11月2日のNY原油先物相場はバレル53セント下げ、
前日の3%、バレル1.63ドル下げの弱い地合いを引きずり
49.60ドルで取引を終えた。
ケリーさんが勝てば原油相場は下がり、ブッシュさんが
勝てば原油相場は上がるというのが一般的評価である。
石油のニオイがプンプンするブッシュ大統領が勝てば、
原油相場は堅調持続だが、ケリー候補は省エネ政策を
公約しているから、ケリー当選となれば、値下がりが
加速すると予測する専門家が圧倒的に多い。
しかし、原油相場が軟調なのはケリー当選の踏絵かと
いうと必ずしもそうではない。基本的な世界の原油の
需給関係は2日前と変化はない。ところが石油専門家は
このところの原油相場軟調の背景を並べて見せた。
①4週間続いたノルウエーでのストライキが収束した。
②原油在庫の見通しが不透明である。③直近の米GDP
データがエコノミストの予測を下回った。④55ドルの高値を
つけたあと投機家は調整にはいった。⑤ナイジエリアでの
ストライキの脅威は消えていないが、差し迫った原油
供給不安にはつながらないというのである。
理由はなんとでもつけられるということを胆に命じて
置かなければならない。特に相場の世界では変節は
日常茶飯に行われる。
つい昨日のことのように思われるが、55ドルまで
煽りたてておいて、手の平返した様にいま、原油先安感を
平然と流してくる。
日本人は一般的には動くものが苦手である。じっとしていて
お金儲けはしたい人が多い。昨日もある大手証券会社の
セミナーが大阪で開かれていたが会場は超満員。
多くの老人の熱気が充満していた。
昔から『隣百姓』という言葉が日本にある。回りの動静を
ひたすら窺う。他人様の様子が気になってし方がない。
常にキョロキョロしている。そして人の話を聞いて安心する。
自分で考えて行動はしない。ひとと違うことをすることを
極端に嫌う。最後は『海行かば』を粛々と歌いながら
大海のも屑となり露と消えていく。
話しを原油に戻す。中国中心に世界の原油需要が
引きつづき堅調である。OPECの生産枠も筒一杯で、
増産の余地はほとんどない。
イラク状勢も混沌としている。供給不安を払拭出きたという
環境変化はどこにもない。にもかかわらず昨日、今日の
原油相場は大きく値下がりした。
ただ、ケリーさんが勝とうが、ブッシュさんが勝とうが、
大統領選挙が終われば不透明要素が消える。
相場の世界では不透明要因の存在をいやがる。
選挙が終われば、原油相場は落ちつきを取り戻し、
40ドル台での高値安定相場が続く可能性が強い。
為替相場はどうか。昨日、今日の相場つきでは
ドル売りの流れが目立っているようだ。ケリーさんが勝てば
さらにドル売りが加速するという見方を為替専門家は流している。
しかし、ブッシュさんが勝てばドル高かというとそうでもない。
米国が巨額な財政赤字と貿易赤字を抱えた深刻な病人である
現実には何ひとつ変りはない。双子の赤字はドル安要因だ。
昨日の為替市場では対ユーロでドルがわずかに買われた。
ユーロは、1.2749ドルから1.2671ドルで取引された。
これは9月のドイツの小売り販売高が予測の0.1%増から
0.4%減との発表が材料にされたからだ。
ドルは対円でも小動きで、106.44円から106.37円へ
わずかに下げた。日本政府が1ドル=105円を越える円高には
介入してくるといううわさを流している。
いよいよ米大統領選挙の投票がはじまった。投資家は
株であれ、為替であれ、原油相場であれ、気もそぞろであろう。
今一番の相場に悪材料はあまりの接戦ですんなり米国の新しい
大統領が決まらず、裁判沙汰に発展するという危惧が
消えていないことのようだ。
ケリー候補は、先に触れた、自動車の燃費規制など
省エネルギー政策を公約している。これは原油先安
材料だ。ブッシュ大統領は戦略備蓄原油放出はしないと
公約している。これは原油堅調の材料だ。
はっきりしていることは、病気はからだの中から
治さなければならないということである。アメリカが
いま直面している病状は膏薬を張り代えるだけで
治るような生易しい状態ではない。
公約はどこまでも公約。当選すれば公約が守られた
ケースが数少ないというのが米大統領選挙の歴史である。
膏薬は簡単に剥がれる。公約もまたしかりである。
昨日、今日の原油・為替相場の動きは、
米大統領選挙結果の踏絵にならないだろう。(了)