学校で教えてくれない経済学・・・江嵜企画代表
11月22日、NY外国為替市場で、米ドルは対ユーロで
1ユーロ=1.3039、対円で1ドル=103.20円と
先週末のドル急落の地合いを受け継いだまま
小動きに終始した。
ただ対カナダドルでは、1ドル=1.1863ドルと
米ドルは12年来の安値をつけて取引を終了した。
カナダドルは、國際商品相場上昇を背景にじり高を続けて
きたが、ここへきての米ドル急落、一次産品相場堅調の
地合いを受けて新高値を更新した。
ベルリンで開かれたG20,チリ-、サンチャゴで開かれた
APEC総会においても、ドル急落に対する具体的な取り決め、
要人発言も出ず、米政権のドル安容認の姿勢をむしろ鮮明に
させる結果に終わったようだ。
11月23日、日本は勤労感謝の日で休日、一日遅れで
米国はThanksgiving Day〔感謝祭〕での休日を控えて、
為替市場は、当面の利益確定を狙ってのドル売りで
一息入れて当然であろう。
投機家は獲物〔米ドル〕を獣道(けものみち)に追い込んだ。
しかし、獲物を獣道に追いこんでも、相場の世界では、
取り逃がすことがよくあるようだ。市場関係者はそのため
相次ぎ開かれたG20、APEC総会を半ば楽観
半ば心配相半ばする心境で要人の発言を注目していた。
そこへ突如飛び出したのが米FRBグリーンスパンの
米国の双子の赤字に対する警告発言である。
得たりやおうと彼らは獲物めがけて引きがねを引いた。
一気にドル安が進んだ。
ブッシュ米大統領は型どおり米国は強いドルを堅持すると
演説した。スノー米財務長官は、赤字にはなんらかの対応をすると
発言した。
中国の要人は、人民元の弾力化について沈黙を通した。
日本と欧州はドル安の危険性と更なるドル安には対応すると
発言した。
なにひとつドル安を食いとめる内容のある成果が得られなかった。
投機家の思う壺でゲームが展開している。投機家の結論は、
ドル安阻止のためのなんらかの具体的対策、例えば、
米国政府も仲間に入れた、実質的な為替協調介入がない限り
現在のドル安の基調は変らずと読んで、感謝祭を控えて
一息いれたに違いない。
外電は小泉首相の為替発言を、「強いドルは望むところであるが、
マーケットが如何様に反応するか予測できない。」と発言したと
一行で紹介している。
アナリストは、この小泉発言を、日本政府はドル安阻止の
介入の意思なしと読んだが、これだけでは日本政府の
腹の底はまだ読めないと話した、と同じく外電は伝えている。
この日、このところのドル急落を受けて韓国政府が10億ドルの
ドル買い・ウオン売り介入を実施したと報じられた。アジア市場で
1ドル=1,065ウオンで取引を終了した。韓国が昨今のドル安に
ピリピリしていることを裏付けた。
同じ日NY原油先物相場は、バレル48.50ドルで取引を
終了した。一時原油相場は45ドル台まで急落していた。
昨日のNY相場は、原油相場が「死に体」になっていないことを
教えてくれた一つの証拠であろう。
11月22日のNY株式相場は、前日の急落の後をうけて
取引開始早々は売り物におされていたようだ。ただ、あと盛り返して
32ドル高で取引を終了した。なにやら自信無げに写る。
腰が入らない相場というのはこういう相場つきのことを
言うのだろう。
相場は人一人一人の心の鏡である。投資家心理として
原油高が付きまとっている限りどうしても高値を追う心境に
ならないのであろう。2005年の世界景気は減速すると
いうコンセンサスがすっかり投資家の間に定着して
しまったからだと思われる。
IMF専務理事、Rudrigo Rato氏は、先に開かれたG20の会合で
2005年の世界景気見通しを当初の年率4.3%増を4.0%増へ
下方修正すると発表した。
同専務理事は、原油相場の高値安定を懸念したあとで、
①米国の膨大な双子の赤字、②日米景気の減速
を理由に挙げたと報道された。
原油相場の動向が世界景気を占う2005年のキーワード
として相変わらず健在であることを十分予見した発言であろう。
ドル安はどこまで進むのか。NY株安は今後も続くのか。
一息入れた投機家がまたいつ動くのか。
手を変え品を変えての為替相場を巡る当局との
つばぜり合いが当面続きそうだ。(了)
11月22日、NY外国為替市場で、米ドルは対ユーロで
1ユーロ=1.3039、対円で1ドル=103.20円と
先週末のドル急落の地合いを受け継いだまま
小動きに終始した。
ただ対カナダドルでは、1ドル=1.1863ドルと
米ドルは12年来の安値をつけて取引を終了した。
カナダドルは、國際商品相場上昇を背景にじり高を続けて
きたが、ここへきての米ドル急落、一次産品相場堅調の
地合いを受けて新高値を更新した。
ベルリンで開かれたG20,チリ-、サンチャゴで開かれた
APEC総会においても、ドル急落に対する具体的な取り決め、
要人発言も出ず、米政権のドル安容認の姿勢をむしろ鮮明に
させる結果に終わったようだ。
11月23日、日本は勤労感謝の日で休日、一日遅れで
米国はThanksgiving Day〔感謝祭〕での休日を控えて、
為替市場は、当面の利益確定を狙ってのドル売りで
一息入れて当然であろう。
投機家は獲物〔米ドル〕を獣道(けものみち)に追い込んだ。
しかし、獲物を獣道に追いこんでも、相場の世界では、
取り逃がすことがよくあるようだ。市場関係者はそのため
相次ぎ開かれたG20、APEC総会を半ば楽観
半ば心配相半ばする心境で要人の発言を注目していた。
そこへ突如飛び出したのが米FRBグリーンスパンの
米国の双子の赤字に対する警告発言である。
得たりやおうと彼らは獲物めがけて引きがねを引いた。
一気にドル安が進んだ。
ブッシュ米大統領は型どおり米国は強いドルを堅持すると
演説した。スノー米財務長官は、赤字にはなんらかの対応をすると
発言した。
中国の要人は、人民元の弾力化について沈黙を通した。
日本と欧州はドル安の危険性と更なるドル安には対応すると
発言した。
なにひとつドル安を食いとめる内容のある成果が得られなかった。
投機家の思う壺でゲームが展開している。投機家の結論は、
ドル安阻止のためのなんらかの具体的対策、例えば、
米国政府も仲間に入れた、実質的な為替協調介入がない限り
現在のドル安の基調は変らずと読んで、感謝祭を控えて
一息いれたに違いない。
外電は小泉首相の為替発言を、「強いドルは望むところであるが、
マーケットが如何様に反応するか予測できない。」と発言したと
一行で紹介している。
アナリストは、この小泉発言を、日本政府はドル安阻止の
介入の意思なしと読んだが、これだけでは日本政府の
腹の底はまだ読めないと話した、と同じく外電は伝えている。
この日、このところのドル急落を受けて韓国政府が10億ドルの
ドル買い・ウオン売り介入を実施したと報じられた。アジア市場で
1ドル=1,065ウオンで取引を終了した。韓国が昨今のドル安に
ピリピリしていることを裏付けた。
同じ日NY原油先物相場は、バレル48.50ドルで取引を
終了した。一時原油相場は45ドル台まで急落していた。
昨日のNY相場は、原油相場が「死に体」になっていないことを
教えてくれた一つの証拠であろう。
11月22日のNY株式相場は、前日の急落の後をうけて
取引開始早々は売り物におされていたようだ。ただ、あと盛り返して
32ドル高で取引を終了した。なにやら自信無げに写る。
腰が入らない相場というのはこういう相場つきのことを
言うのだろう。
相場は人一人一人の心の鏡である。投資家心理として
原油高が付きまとっている限りどうしても高値を追う心境に
ならないのであろう。2005年の世界景気は減速すると
いうコンセンサスがすっかり投資家の間に定着して
しまったからだと思われる。
IMF専務理事、Rudrigo Rato氏は、先に開かれたG20の会合で
2005年の世界景気見通しを当初の年率4.3%増を4.0%増へ
下方修正すると発表した。
同専務理事は、原油相場の高値安定を懸念したあとで、
①米国の膨大な双子の赤字、②日米景気の減速
を理由に挙げたと報道された。
原油相場の動向が世界景気を占う2005年のキーワード
として相変わらず健在であることを十分予見した発言であろう。
ドル安はどこまで進むのか。NY株安は今後も続くのか。
一息入れた投機家がまたいつ動くのか。
手を変え品を変えての為替相場を巡る当局との
つばぜり合いが当面続きそうだ。(了)