学校で教えてくれない経済学 江嵜企画代表
今新手のウイルスが世界で大流行する気配だそうだ。
といっても携帯電話の話だと断って今朝のウオール
ストリートジャーナル・オンラインニュースが伝えていた。
このウイルスはいきなり土足で入り込んで
こないそうだ。実に礼儀正しい。必ずお伺いを立ててくる
そうだ。それでも一度目は断られる。2度目も鄭重に
了解を求めてくる。つい気を許してしまう。一端ドアを
開けるとバッテリーまでウイルスにやられて
とりかえしがつかないと書いてあった。
携帯電話は便利だ。便利だから落とし穴にはまり易い。
便利だということで気を許していると身包み剥がれて
しまうというのは相場の世界も同じである。
今朝のNY原油先物相場は9月17日以来、バレル
45.25ドルをつけた。NYのABNAmroの原油ブローカー、
McCormack氏は原油相場は40ドルを割るところまでは
簡単に下げるだろうと公言している。
変わり身の早さは日本人にはなかなか身につかない。それでいつも
やられている。農耕民族と狩猟民族とのとの差だろうと感心して
みてもはじまらない。郷に居れば郷にしがわないと生きていけない。
10月25日につけたバレル55ドル67セントは一体なんだったん
だろうと言うが、相場の世界は常にこうなる。陰極まれば陽になり、
陽極まれば陰となるとお天道様は教えていられるとおりである。
ハッカーはハンター。ウイルスを弱いところを狙って送り込んでくる。
洪水の時も堤防の弱いところをついてくる。地震でも火山の噴火でも
同じである。蟻の一穴というがご先祖様に教えられることは実に多い。
原油相場は世界的な供給不足という一穴をついてきた。
55ドル達成して血をたらふく吸い込んだ蚊がはたき
落されるまでに逃げたに過ぎない。
しかしお腹がすけば必ず戻ってくる。ハンターが獣道で
まちぶせするのも同じだという。生き物は必ず咽が渇けば
水を飲みくる。そこをズドーンと打つ。
NY為替市場は、1ユーロ=1.2999ドルで取引された。
ドル新安値の1ユーロ=1.30ドルとほぼ並びである。対円で
ドルは、1ドル=105.17円まで売られた。
Snow米財務長官は、欧州訪問旅行の初日のDuboinで
「強いドルは米国の国益である。」と発言した。その裏で、
ある財務省高官は「現在の為替相場は極めて順調に
進んでいる。」と発言したと伝えている。
腹のなかではドル安を米政権が容認している証拠である。
円をズドーンと打って来る可能性は十分ある。ブッシュさんは
あと4年間の命が確保された。気がねなく打ち込んでもおかしくない。
為替ディーラーはドルの弱点である米国の巨額の
貿易赤字一点に絞って攻撃してくるだろう。堤防の弱いところが
一端破られると少々の日本政府の口先介入では
ドル決壊はとめられないだろう。
米FRBが先週、短期の目標金利FFレートを0.25%
引き上げて年2.0%とした。追加利上げがあるかどうか。
エコノミストの80%近くは再利上げがあると見ている。
相場の世界では裏をかくことは朝飯前である。景気の
動向を見極めるひつようがあると称して一回見送るかもしれない。
日本人に何がかけているかと問われれば一度決めたことは
変えると不道徳なように考えることである。
ハゲタカファンドに日本の金融界がやられているのも
まさかそんなことがという手にことごとくやられている。
はじめは処女のごとくことが終われば脱兎の如しである。
何食わぬ顔で表に出てくる。
ひとはひとりひとり違う。ひとりひとり違うから魅力がある。
日本人は同じでないと極端に嫌がる。嫌われないように
言いたいことも言わずじっと我慢する。
状況が変れば考えが変る。人は一人一人違うように
状況も刻々変化する。
金利、為替、原油動向には目を離すことは出来ない。(了)