吉川二郎フラメンコギター演奏会
江嵜企画代表・Ken
吉川二郎さんのフラメンコギターの演奏会が神戸、下山手7丁目にある
ギャラリーオスカーで11日午後3時から開かれ、大阪日本橋での猪熊佳子
日本画教室を中座して開演前ギリギリに会場に着いた。
この日は「ニューアートZERO会受賞展に寄せて」とタイトルにあるように
入賞作品がギャラリーに展示されていた。演奏会のあと画廊二階で参加者
入れてのパーティ―があり先のZERO展で洋画部門で二位の大賞を受賞され
た武田和子さんとテーブルがたまたま同じで、当方は日本画の実習生の身で
はあるが、プロの洋画家と絵画談義が出来たのは幸いだった。
武田さんは日本画で使う膠(にかわ)に関心をお持ちで色々と専門的な
質問を受けた。洋画家、藤田嗣治が、日本画の画材である胡粉を使って
「乳白色の肌」と呼ばれた裸婦を描いてフランス人を驚かせたという
エピソードも出て楽しかった。武田さんが絹布を使ってみないかと
インド人のバイヤーに勧められたというエピソードも面白かった。
武田さんはアクリル絵の具を使っておられる。臭いもしない。すぐに乾く。
その代わり早く描かないと絵の具が固まって使えない。日本画は膠を溶く。
胡粉を膠でラムネの球のように時間をかけて丹念に丸める。これだけでも
相当時間がかかる。まだまだだが日本画のお陰で多少がさつなところが
改善されたかもしれない。
吉川二郎さんの演奏会に話を戻す。第一部はギター独奏で、吉川二郎さん
が30年以上通い続けたというスペインの匂いまでが伝わってくる
「思いめぐらせ:Soleares)から演奏が始まった。「フラミンゴの湖:
Buleria」も良かった。フラミンゴが一斉に湖から飛び立つ情景をしば
しば体験したと昨日の出来ごとのように吉川さんは話された。
吉川さんはギター奏者のプロであるが、氏の語りは甲乙つけがたい味が
あると最初の演奏会から感じている。「スペインではフラミンゴをフラ
メンコと発音します」と何気なく話された。
「フラメンコはスペインの音楽ではありません。ジプシーの音楽をフラ
メンコと言います」という吉川さんの言葉も印象的だった。吉川さんは
きっとジプシーの気持ちになりきってギター演奏しておられるに違いな
いと思う。
野口久子さんとのギター二重奏も楽しかった。特に吉川二郎さんが編曲
された「ボルガの旋律」、「A Cantiga do Campo(田舎の歌)」という
歌が良かった。
パーティーは宴たけなわだったが、午後6時前に会場を出た。徒歩約15分
のところにあるJR元町駅で乗車、帰路についた。収穫の多い一日だった
と自画自賛している次第である。(了)