為替、金利、原油は、経済の動きを観測する手短な物差しになる。しかし、日本では、海外旅行を経験すれば為替に関心を持つが、一般的には、無関心人が大部分であろう。
金利は、郵便局に預金している人が結構多いが、0.2%の定期預金金利をめぐって、つかみ合いの喧嘩になったり、いわんや暴動に発展するような気配さえ見られない。ただ、原油高騰については、ガソリンの値段が、このところ、じり高傾向を強めているため、日本でも、関心が少しは高まってきたようだ。
経済の話は難しくて分からないという人が、長年サラリーマン生活を続けていた人にも多い。株式の話でも、女房はやってるらしいが、自分はどうも苦手だと臆面もなくおっしやる御仁がおられるから、アメリカ人に限らず、外国人が聞いたら、目を白黒するであろう。
ミヤンマーで最近、起こった大規模なデモは、ガソリン急騰が引き金だった。人為的に抑えていたガソリンの値段を国際相場にサヤ寄せすることが目的で、政府が動いた結果に過ぎない。日本では幸いにも為替レートが、1ドル=115円近辺で安定しているから、ドルベースでの値上がりの国民生活に与える衝撃のクッションになっているに過ぎない。
今回のデモも、不幸にして、日本人カメラマンが犠牲になったために、日本でも大きく取り上げられたが、仮に、日本人が巻き込まれていなければ、ベトナムの橋梁事故同様、日本でも話題にさえ上らなかったと思われる。日本と言う国はそういう意味でも不思議な国だ。
10月3日、NY外国為替市場で、ドルが買われ、1ユーロ=1.4105ドル、1ドル=116.68円で取引された。ドルは対英ポンドでは、1英ポンド=2.0322ドル、対スイスフランでは、1ドル=1.11789スイスフランといずれもドルが値上がりした。
ドルがとりたてて買われる理由は見当たらないから、9月から10月に変わり、ヘッジファンドが、ドル売りに持ち高を積み上げていた分を調整した結果起こった、一時的現象であるとする一部のアナリストの見方を今朝のWSJ紙は紹介している。
ここ1ヶ月急速に進んだドル売りは、9月18日の米FRBによる0.5%の利下げにより拍車がかかった。フランスのサルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領の急激なユーロ高懸念の表明もドル買戻しの助けをしたようだ。ドル買い戻しには、日本の0.5%の金利で円を借り、6.5%の金利で運用する結果の豪州ドルの値上がりも影響したとWSJ紙は解説していた。
異常な低金利で、日本のお金が外国へ流れる。結果として、1、555兆円の個人資産が米国他外国を助けている。日本は、自分のお金が、自国で生かされない不思議な国である。(了)
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エコール・ド・パリ展:兵庫県立美術館 (2)
江嵜企画代表・Ken