「脳を知って脳を活かす」池谷裕二先生
江嵜企画代表・Ken
「脳を知って脳を活かす」という演題で、池谷裕二という先生の講演会が、
西宮神社会館である。時間があれば出て来ないかと友達のTさんが声をか
けてくれた。不思議なもので脳ということばを聞くとピクッと反応する。
先日もアルツハイマーの話を母校の同窓会で聞き、身につまされる話が
多く、興味深く聞いたばかりである。
講演の中で、池谷先生は、近々作家のうさぎさんと共著出版されるそうで
是非読んでみたい。海馬の研究を通じて脳の健康や老化について研究して
おられると会場入り口でもらったパンフレットに書いてあった。日本に
時実利彦(ときざねとしひこ)(1909~1973)さんという希代の大脳生理
学者がおられる。学生時代、氏の著書を夢中で読んだ頃が懐かしい。
講演は質問も入れて約1時間だった。専門の脳の話も多く出た。しかし、
経験が直感を生むというくだりが一番面白かった。人間の脳には直感を
司る「線条体」という個所があるとプロジェクターに写して説明して
くれた。「線条体」は鳥、爬虫類、サンマにもあると説明が進む。
ははぁーん、動物が生きるために欠かせないのは直感だということが
だんだん分かって来る。
直感(Intuition)とひらめき(inspiration)は違う。直観は理由がわか
らない。ひらめきは理由がわかる。直観は理由がわかるというひとが
いるが、そういうのを屁理屈といいます、という池谷先生の説明のとき
会場がどっと沸いた。ひらめきは大脳皮質というところが司る。司る
場所が違う。
時実利彦さんの本のなかに、人間は余りにも大脳皮質が発達しす
ぎたと書いてあった記憶がある。身の回りにも理屈から入る人が結構
多い。その方の責任ではなくその方の大脳皮質の責任なのだろうが
説明から入る人は信用できないと常々感じている次第である。
経験が直観を育てる。目からうろこだった。池谷先生の講演会がある
と声を掛けてくれたTさんに感謝である。ちなみに今回の講演会は兵
庫県保険医協会、芦屋支部の主催である。素晴らしい機会を用意いた
だいた兵庫県保険医協会にも感謝である。
会場の様子をいつものようにスケッチした。ほぼ満席だった。大部分
が筆者も含めてであるが、お年を召した方が多かった。男女ほぼ半々。
脳に対する関心の高さを裏付けた。(了)