育毛鍼の練習です
「育毛鍼」と言うと、多くが頭部への刺鍼を考えるようです。
しかし、頭部への鍼と同様に四肢体幹への鍼も重要です。
何故かと言うと、頭部だけだと「部分」になるからで、鍼灸では常に「全体」を考える必要があるからです。
たとえば、鍼灸には「八会穴」というのがあります。
八会穴とは、
「八つの会合の穴」という意味があり、体内の特定の臓器や機能に深く関連するツボを集めたもので、それぞれの穴が特定の「臓腑」「気血」「筋骨」などに影響を与えるとされています。
八会穴は、以下の8つのツボから構成されています。
1. 膻中(だんちゅう)
- 位置: 胸の中央、左右の乳頭を結んだ線の中央。
- 作用: 気の流れを調整する「気会」として知られ、呼吸器系や心臓、感情のバランスに影響を与えます。気虚(エネルギーの不足)やストレスによる胸の圧迫感、咳、息切れなどに使用されます。
2. 章門(しょうもん)
- 位置: 第11肋骨の端にあるツボ(側腹部)。
- 作用: 「臓会」のツボで、特に肝臓に関連しています。消化器系の不調や肝臓の機能改善、腹部の張りや痛みに対して効果があるとされています。
3. 太淵(たいえん)
- 位置: 手首の内側、橈骨(とうこつ)動脈の脈拍が触れられるところ。
- 作用: 「脈会」のツボで、肺経に属します。呼吸器系の健康や、血液循環を改善するのに役立ちます。咳や喘息、息苦しさに使用されます。
4. 大杼(だいじょ)
- 位置: 背中、第一胸椎と第二胸椎の間、背骨の両脇。
- 作用: 「骨会」とされ、骨や関節の健康に関与します。関節炎や骨の弱さ、骨粗鬆症の治療に役立つとされています。
5. 懸鍾(けんしょう)
- 位置: 外くるぶしの上方3寸(約9cm)、足首の外側。
- 作用: 「髄会」のツボで、髄液や脳、神経系に影響を与えるとされます。神経痛や足腰の痛み、さらには精神的な不調に対しても効果があります。
6. 陽陵泉(ようりょうせん)
- 位置: 膝の外側、腓骨頭の下。
- 作用: 「筋会」のツボで、筋肉の健康や柔軟性をサポートします。筋肉痛やけいれん、脚の疲れやこわばりに使用されます。
7. 血海(けっかい)
- 位置: 膝の内側、膝蓋骨の上の内側にある。
- 作用: 「血会」のツボで、血液の循環を改善し、月経不順や血行不良によるトラブル(例えば貧血や冷え性)に効果があります。
8. 中脘(ちゅうかん)
- 位置: みぞおちとおへその間の中央。
- 作用: 「腑会」のツボで、消化器系の健康を保つために使われます。胃の不調や消化不良、胃炎などに対して効果があります。
八会穴の主な役割
八会穴は、それぞれが異なる体の部位やシステムに対応しており、次のような目的で使用されます。
- 気の流れ: 気会である膻中は、体内の気(エネルギー)を整える。
- 血液循環: 血海や太淵は血液の流れを促進し、血行不良を改善。
- 筋骨の健康: 陽陵泉や大杼は筋肉や骨の健康をサポート。
- 消化器系: 中脘や章門は消化系の働きを助ける。
- 神経系: 懸鍾は髄や神経系の健康に寄与。
これらのツボは、鍼灸や指圧で刺激することにより、特定の健康問題を改善し、全体的なバランスを取ることが期待されています。
治療は個々の体調や症状に合わせて行われるため、専門家による指導のもとで行うことが望ましいです。
これら八会穴の一部も「育毛鍼」の取穴に含めてあります。
育毛鍼は10何年前にだいぶ実績をのこしましたが、現在のSNSでのコマーシャルを見ていますと、再び「育毛」に関心が高まっているようです。
そこで、スタッフに相談したら「やりたい」との希望がありましたので、「やってみよう」ということになったのです。(^o^)