思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

清瀬保二の音楽は、西洋音楽の後塵を拝するものでは全くない独自の宇宙だ

2008-08-31 | 日記
花岡千春さんの弾く「清瀬保二ピアノ独奏曲全集」http://www.hmv.co.jp/product/detail/2731334を何十回も繰り返し聴き、いまわたしは断言できる。

清瀬保二の音楽は、西洋音楽の後塵を拝するものではなく、天才ドビュッシーやバルトークに完全に匹敵し、その透明な抒情は彼らにはない独創的な宇宙であることを。

これほどの作曲家が我が国にはいたのだ!

清瀬保二の音楽の明瞭で強い主張は、しかし、まったく濁らない。どこまでも澄み切ったままだ。自我主義とは完全に無縁な純粋意識が音になっている。西欧とは異なる日本的な個人、透明なままあらゆる悲惨を乗り越える最良の日本人がここにいる。

哀しみや苦難や悲惨も精神の健全さを削ぐことがない。明るく透明なままだ。この澄み切った強靭さは、西欧の個人主義にはない深い普遍性を持つように思う。自我ではなく純粋意識の力だ。

音楽の教科書でも清瀬保二の音楽を大きく取り上げてほしいものだ。『白樺教育館』では休み時間や時には勉強中にも清瀬保二の音楽を流すことがあるが、この透明な抒情はほんとうに貴重であり、我が国最高の文化遺産であることは間違いない。

武田康弘

☆写真は、1977年。亡くなる3年前の清瀬保二さん。柳兼子さんと楽屋で。写真は提供は、松橋桂子さん。
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