思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

「集団的自衛権」とはなんだろう? 日本の防衛とは全く無関係です。

2012-12-11 | 社会批評


集団的自衛権を認めるとは、

北朝鮮や中国やロシアの脅威に対して、アメリカ軍と共同で日本の防衛を進めること、と勘違いしている方や、そのようなムードを醸す報道がされていますが、これは「ああ、勘違い」で100パーセントの間違いです。

集団的自衛権とは、アメリカ軍が日本の防衛に協力するという話ではなく(それを日本の法律でつくることは不可能です)、アメリカ軍を助けるために日本の自衛隊が協力できるようにするという話です。

日本の国土の防衛にはまったく無関係な話なのです。

これは、アメリカ政府や軍がベトナム戦争のころからずっと日本に要求し続けてきたことですが、歴代の政府(ほとんどが自民党政府でした)は、『日本国憲法』を盾にして拒否してきました。

そのかわり、ずっと日本は巨額のアメリカ軍への資金提供(思いやり予算と呼ばれています)をしてきました。いまの5カ年計画では、毎年1900億円の資金提供です(計1兆円弱)。3.11の大震災の時にアメリカは「お友達作戦」として助力してくれましたが、その総額は60億円ですので、その1500倍以上の金額です。

ところで、アメリカ軍が攻撃された時にそれを助けるという法律(もちろん『日本国憲法』に反しますが)をつくることに何のメリットがあるのでしょうか?アメリカ軍は他国で戦闘をするから攻撃を受けるわけですが、それに加勢して自衛隊も闘うというのは、ふつうに考えればデメリットばかりでメリットはありません。しかし、実は、裏があります。対米追随をするといいことがあるのは、日本の政治権力者なのです。ふつうの市民・国民に利益があるわけではありません。これを具体的に知るには、外務省情報局のトップを務め、その後は防衛大学教授であった孫崎享(まごさきうける)さんの著書(「戦後史の正体」)を見てください。すでに大ベストセラーですが、読まれると「目から鱗」でしょう。

集団的自衛権というのは、わが日本にとってメリットがない、どころか、世界から非難を浴び、予算も喰い、危険性が増す(アメリカの戦争に巻き込まれる)だけなのです。集団的自衛権は、政治権力者たちが自分の身を守るには役立ちますが(アメリカ政府の保護を受けられ、検察庁特捜部から身を守れる)、わたしたちふつうの国民には、有害で損な話しでしかないのです。

いまの憲法では、主権者はわたしたちふつうの市民です。知性・理性を働かせて、よい社会・国をつくりましょう。騙されては損です。

武田康弘

 

 

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