人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

隠れた神

2017-02-11 00:01:27 | 日本的霊性
古来より我が国に伝わる神道は、ノンデュアリティだという観方があります。
縄文人の心性もそれに根ざしていたのだ、とか…ホンマでっか?
じゃ、何で神社で神を祀ったり、拝んだりするの?…何で数えきれないくらい沢山の神サマが存在するの?
縄文時代には、こういう事とは少し趣の異なる信仰形態が有り、縄文人の意識構造も我々とはかなり違っていたのかもしれません。
ホントのところは縄文人に聞かなけりゃ分からないでしょうが…
私は今まで”神道とはこういうものだ…”という合点のいく言辞というものに接したことがありません。
というより神道には、一神教だとか多神教、汎神教、非二元、二元…どんな括り方も出来得ないものだという事を強く感じさせられます。
ある観方からすれば、それ自体あらゆるものを包み容れたホールネス(ワンネスとはちと違うニュアンス)なものを感じさせます。
だが、その各位相に目を向ければ、実に相対的なものが入り混じり、混沌、俗信、迷信、お伊勢さんも神道、怪しげな拝み屋さんも神道…何でもありのイイカゲンさが知らされます。まるで世界の縮図のようですね。
それでいて、これまでの歴史で宗教間の争いというものがほとんど無かった、というところがこの国の不思議サなのです。
この要因として、我々の心象にはずっと見えざる一者というものが根付いているという事が思わされます。
この一者は本来名付けられないものなのですが、古事記で天之御中主(アメノミナカヌシ)として出ている神がそれに想定されます。
この神の次元には始まりも終わりも無く…隠り身におわす…根源神というか、決して表に顕れないのです。
この神が仮現して、世に顕れる段階を広くアマテラス大神として表したり、出口王仁三郎師などは、国常立之尊(クニトコタチノミコト)として表したのでしょう。
日本神話はこの無始無終の根源的一なるものからイザナギ、イザナミ…と分かれていく様を天地の創造に見立てて展開し、生成流転の妙を伝えているのです。
分かれる、といってもそれは単純な分離でなく、新たな創造、産み成しです。産むという…この霊妙なるハタラキを産霊(ムスヒ)といいます。
ここにはどんなに千変万化し、際限なく枝分かれしようとも、根源的霊とつながっている、というヒビキが伝わってきます。
そして、そこには見た目は相対し、分離したように見えても、その多様世界を産み成したムスヒのハタラキは、ある節には再び各々を結び合わせる方向にハタラク、という思念も隠されているのです。つまり、ムスヒとはムスビにつながるのです。
古来から伝わる言葉にはこのように実に両義、多義に解せるものが多いのです。
命(ミコト)とは他からの、上からの命でもあり、それは自己本来の命でもある。使命、天命とはそういうものでしょう。
こうしたことからも、物事は単純に別々のものとして切り離すことの出来ない、相即性というものが隠れていることが示されているのでしょう。
見たままの表れた世界(うつしよ)、見えない隠れた世界(かくりよ)…分かれている、異なっているようで、それは二重写しのように重合されているのです。
一元、二元…どっちかが真実で、どっちかが幻想なのではないのです。どっちかに偏ることが、幻想なのです!…個的に分離させているのもハタラキによるものだし、ハタラキによらずば、再び一つにはならないでしょう。そこにはどんな”さかしら”も要りません。カムナガラです。

”神道はノンデュアリティ”という観方と同じように、現実とそぐわない観方に”神道は八百万の神への信仰”というものが有ります。
神社でお参りする崇敬者で「私は八百万の神を信じてます」なんて人居るんですか? 彼らはいちいちこの神社には何の神が祀られているか、などに心を留めているのでしょうか? 古代史マニアならいざ知らず…
如何なる祭神だろうと、如何に多様に分かれていようと、そこには隠れた一なる神への思念があるのではないでしょうか? 分かれとしてのその神は根源的な神とつながっている…そして又肉身をもって表れている自己と本と末の関係で一連につながっている、という思念が知らず知らず伝わっているのではないでしょうか?
我が国の寛容な精神とは、このような心性によって育まれてきたのでしょう。
神は顕現してくる、という側面もあるが、根源的な一者、神は身を隠したもうことによって、一神教に見られる相克がもたらされることが無かったのでしょう。
真のノンデュアリティはずっと隠れていて、見る事も、表すことも出来ないものなのです…。





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