![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/36/6a5f54806455954f488559b3ae56747d.jpg)
静岡県から県境を越え、長野県に入ると、その最南端に位置するのが
中井侍駅だ。「どう読むのか・・・」と、思ってしまうが、そのもので
「なかいさむらい」と読む。
狭いホームには、コンクリートで覆われた急斜面の崖が迫っている。
そんな乗客もいない山間の駅にも、列車は律儀に発停をくり返している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/48/96d3ac6262f586351229d7a086b134a2.jpg)
相変わらずのトンネルの連続で、左手に流れる天竜川が時折思い出し
たように顔を出す。やがて伊那小沢に到着し、ここで4分の停車がある。
前後をトンネルに挟まれた地であるが、ここは2面2線あり、行き違い
が出来る駅である。
ホームからは対岸の国道418号線に通じるコンクリート製の水神橋を望
むことが出来る。
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豊橋を出てここまで、凡そ3時間が経過している。
是までも幾つかの駅で、長時間の停車が有り、そのたびに一部の乗客は
ホームに出て、手足や腰を伸ばしホームを行き来する姿を見せていたが、
その頃は、誰もが他人には無関心で、己の殻にこもっている風であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/f0/555b99a41973f41b768789c7d5a2aed3.jpg)
しかし、さすがにこの辺りまで来ると停車時にホームで寛ぐ面子も限
られてくる。そうすると不思議なもので、何となく同類の仲間意識みた
いな物が芽生え、互いにその存在を意識し合い、何時しか距離が狭まり、
顔を合わせ、ごく自然に馴染んで行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/8f/692e57cf5e0bdacb6594e3582de1b1d0.jpg)
向かい側を見ると、道路の白いガードレールも見え隠れしている。
近くには、僅かながら人家も見えるが、人の気配は感じられない。
目の前は山並みをぬって流れる天竜川だ。
そんな秘境とは言われぬ長閑な山里の風景を眺めながら、ホームでは
同好の見知らぬ士との会話が生まれ始めている。(続)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/f1/0238741b9b37144cc92e3076d8c5e3f6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/c5/608a98fcd1340cbecac4921275227ec4.jpg)
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