駅前から続く本町通り商店街を歩く。
左程賑わいも感じられない、地方都市らしい通りを500m程行ったの所
に「塩の道 ちょうじや」はある。
江戸時代宿場町として栄えた大町の庄屋で、塩問屋を営んでいた平林家
の建物を開放した有料見学施設だ。
平林家は、松本藩の藩主から直接塩問屋の免許を受け、塩の売買で利
益を得て豪商となった家柄で、屋敷の敷地面積は、300坪に余るという。
他にも東京ドーム五個分に相当する田畑を所有していたらしい。
目にする建物は、明治の大火で焼失し、明治23(1890)年に再建され、
平成29(2017)年、この母屋と蔵群が国の有形文化財に登録されている。
卯建の上がる土蔵造りの町屋の内部は薄暗い土間で、三和土が奥まで
続く細長い造りとなっている。
ここから天井を見上げると、大屋根を支える太い梁の木組みが見事だ。
天井が高いのは、火事の延焼から建物を守る工夫らしい。
土間から上がるとそこが帳場で有ろうか、囲炉裏が掘られている。
入館するとここで女性スタッフから施設の概略説明を聞くことになる。
この時期、赤々と燃える火があれば嬉しいのだが、残念ながら囲炉裏
に火は無い。
この建物が文化財のため、火を入れられないのだそうだ。
館内の要所要所にはファンヒーターを置いて、温めているらしいが、
広々とした建屋内は殊の外寒いらしい。
元々冬の寒さの厳しいところにあって、天井の高い広々とした室内は、
温もり難いものだ。
その為見学の前に、手の平大の小さな湯たんぽを手渡してくれる。
これを懐に入れて館内を巡るのだ。
女性スタッフの親切で丁寧な対応と、温かな心配りが嬉しい。(続)
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