簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

難所、大歩危・小歩危(JR全線乗潰しの旅)

2010-09-06 | Weblog
祖谷を過ぎると列車は最大の難所、大歩危、小歩危を行く。
昔の旅人はこの川沿いの道を歩いて山越えをしていた。
「足場の石の間隔が狭く大股で歩いては危ないから“大歩危”、また、ところによっては
足場の石の間隔が広く小股で歩いては危ないことから“小歩危”」であることから名付け
られたとされるこの地は、それほど厳しい渓谷沿いの難所だ。
鉄道はそんな古の難儀を知ることも無く、川の碧い色と岩肌の白のコントラスト、岩を食
む川の流れを楽しみながら進むことになる。





長い時間電車に乗っているとトイレに困る事が有る。
大方の列車は一編制に一箇所はトイレの設備が有るが、JR四国の各路線を走る車輌には
トイレのないものが多い。
今乗っている高知に向う一両編制のキハ543にもトイレの設備が無い。

小歩危で停車すると、発車まで暫く時間が有るので、駅のトイレをご利用下さいとの
アナウンスがあり、何人かの乗客が駅舎に入って行った。
この間、乗客はホームに出て身体を伸ばしたり、小歩危の激流をカメラに収めたり、
ホームの端でたばこを吸ったりと思い思いに時を過ごし、のんびりと走る鈍行の旅を
楽しんでいる。
特急で一気に駆け抜けるよりも、こうしてゆっくりと行くのも悪くは無い。

大歩危を過ぎると4000メートル余りの大歩危トンネルに入る。
ここが徳島と高知の県境。
しばらくは登りが続き、JR四国の最高地点の駅(347m)、繁藤駅を過ぎると土佐山田
に向け急勾配を一気に下る。
明るい日差しの、広々とした高知平野をしばらく走ると終着駅高知に到着だ。(続)


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祖谷のかずら橋(JR全線乗潰しの旅)

2010-09-03 | Weblog
土讃線は、香川県の多度津から高知県の窪川まで、198.7Km、四国を縦断する路線である。
今回の旅では、阿波池田からこの線で高知に向う。

阿波池田から三つほど多度津側に戻るとスイッチバックの有る坪尻駅がある。
車では駅に行けない、また、一番駅に近い人でも歩いて30分はかかるという“秘境の駅”
として鉄道ファンの人気が高い駅だが、元々は信号所だったようだ。
今年の一月に、駅に昇格して60年を祝う「還暦祝賀会」が開かれたと新聞が報じていた。
当日は鉄道ファンが大勢集まり賑やかにイベントが繰り広げられたらしい。

阿波池田は吉野川の段丘上に開けた町だから、随分と広々とした明るい町に見える。
いつごろの事であったかもう忘れてしまったが、僅か11人の野球部員で甲子園に旋風を
巻き起こし、準優勝までしてしまった池田高校はこの駅の近くに有る。

阿波池田駅を出ると列車は直ぐに厳しい山間に入り込む。
吉野川の狭い峡谷にそそり立つ岩肌を僅かばかり切り開いた平地に、へばり付くように
うねうねと走るここは、険しい四国山脈を抜けるルートだ。

車窓から山肌を見上げると、随分と高いところに、あんなところ、こんなところと言う
ようなところに民家が建ち、そんな厳しい地勢にも人々の営みが見て取れる。
思わず「どうやって行くのだろうか・・・」と考えてしまう。







途中の祖谷口は平家の落人伝説のある秘境、祖谷渓への玄関口。
祖谷渓の有る西祖谷村は、海抜が最低170mから最高1,670mと、その高低差は大きく、
地形は極めて急峻で、そんな山岳村には有名な国指定・重要有形民俗文化財「祖谷の
かずら橋」がある。(続)



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阿波池田・うだつの家(JR全線乗潰しの旅)

2010-09-01 | Weblog
徳島から30分余りで「学」駅に到着する。
毎年受験シーズンになるとニュースで話題になる有名駅だ。

「学」駅の入場券には「入」と書かれているから、合わせて読むと「入学」。
これを5枚揃えると「ご入学」になるとかで、縁起を担ぐ受験者には受けが良い。
通信販売では、合格を願う一途な思いを入場券に込め、5枚入れたお守り袋まで用意され
ている。
普段は殆ど売れる事も無いのに、年明けと共に飛ぶように売れ始めると言うから面白い。

徳島から2時間ほどで、徳島線の終点「佃」駅に到着するが、列車はその先土讃線の阿波
池田が終着駅になる。

高知行きまで間があるので、駅前の観光案内所で「近場で見る所は?」と聞くと
「阿波池田うだつの家」が良いだろうと教えてくれた。
古くから交通の要衝として、また幕末から明治にかけてたばこの集積地として繁栄を極
めた町並みとそれを今に伝える商家が近くに有ると言う。





 【写真:うだつの家】

駅前のアーケードを抜け、本町通りを暫く歩くと、両側にうだつの上がった町並みが見
える。
その中でも一際どっしりとした風格のある商家が「阿波池田・うだつの家」だ。
たばこ製造業者の居宅として百年以上を経過したこの家は、たばこ産業に関わる各種資
料を展示する「たばこ資料館」にもなっている。

通りに面した板垣の内側に中庭を持つ造りは、松が板垣を越えて見える、所謂「見越し
の松」を形成している。
母屋を通り抜けると中庭があり、その奥に奥座敷を構える堂々たる佇まいが当時の繁栄
を物語っている。
その奥に作られているたばこ資料館は、当時の葉たばこの作付けや収穫、加工の様子を
実物やパネルで紹介しているので興味深い。(続)



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