
この弥彦の町は門前町であると同時に、嘗ての北国街道の宿場町として栄えた
ところでもあり、特別にこの辺りの道筋は、弥彦街道とも呼ばれ、大そうな賑わいを
見せていたと言われている。

その街道筋には民家と混じり土産店や老舗の旅館が立ち並び、門前町・宿場町、
そして近年では温泉町としても知られ、往時の繁栄には及ばないまでも、観光地
として今も昔も生き続けている。


外苑坂通りの左手に広がる弥彦公園の一角に「湯神社温泉源泉」がある。
『狩りで歩き疲れた一人の猟師が、仕留めそこなった山鳥の後を追って、林中を彷徨
っている時に、偶然鳥獣たちが湯浴みをしている池を見つけ、自身も浸かってみたら
不思議なことに疲れが癒されたことから、「弥彦の霊泉」と呼ばれるようになった』の
が起源とされている。

外苑坂通りを右折すると神社通りに出る。
文字通り越後の国の一宮・彌彦神社の門前に行き当たる通りで、参道の両側には、
おでんや田楽、温泉まんじゅうの看板を掲げたお店が軒を連ねている。
神社の霊験に纏わる伝説のある、弥彦の銘菓「玉兎」の看板も多く目にする。

街並みの喧騒を遮る一の鳥居を潜ると社域に入る。
参道両側には多くの献灯が飾られていて、祭り気分を盛り上げている。



638mの弥彦山を背後に控えた、越後平野の中央に鎮座する神社は、鬱蒼とした杉や
欅の老木に覆われた広大な社域に、多くの社殿が点在し荘厳な気を漲らせている。(続)


