■ 地獄で、ほとけ ■
インドのホテルは予約なしで泊まるもの、と「地球の歩き方」には書いてある。
私は、観光バスでホテルに乗り付けた。バスターミナルの前のホテルに決めていた。
その方がエローラやアジャンターへ行きやすいからだ。
激しい雨の中ホテルに着くと、停電しているのか真っ暗だった。
雨宿りしているのだろう、ロビーには大勢の人がいた。
ろうそくの灯りの中、私は言った。「部屋はあるか?」
しかし、答えは無常にも・・・「満室」だった。
「そんな、バカな?」 だって「私の辞書には、満室はない。」なのだ。
「このあたりで、他にいいホテルはあるか?」気を取り直して、私は聞いた。
「隣へ行ってみな。」フロントの男は言った。
言われるがまま、隣のホテルへ行った。
またも、ろうそくの灯りの中、私は言った。「部屋はあるか?」
しかし、答えは再び「満室」だった。「真剣?」(と書いて、マジと読む。)
外は激しい雨・・・・。夜も更けていく・・・・。おまけに停電ときている。
「ヘー・ラーム!(ヒンディー語で、おお神よ!)天は、私を見放したか・・・?」
すると、暗がりの中から男が声をかけてきた。「オレが連れてってやるよ。」
ここが、運命の分かれ道である・・・。この男について行くべきか?行かざるべきか?
私には「危険だよ。」と言う声と「でも、他に手はないよ。」と言う声が交互に聞こえていた。
外は激しい雨・・・・。夜は、ますます更けていく・・・・。おまけに停電・・・。
行く宛てもないときている。
私は、運命をインドの神様に任せることにした。他に方法はないのだから仕方ない。
私 : 「ここから近いのか?」
男 : 「そうさな、10分ってとこだ。」
私 : 「予算は1泊150ルピーくらいだ。」 (高級ホテルに連れて行かれないように。)
男 : 「ノー・プロブレム。」
私 : 「あんたの手数料はいくらだ?」 (後で、お金をくれって言われないように。)
男 : 「いらないよ。」
私 : 「本当か?」
男 : 「本当さ。タダでいいよ。」
外に出るとアンバサダー(インドの国産車で、主にタクシー。)が止めてあった。
男はタクシーの運転手だった。
お客を連れて行くとコミッションが入るホテルを知ってるのだろう。
乗り込むと、助手席に警官が乗り込んできた。「コイツもグルか?」用心にこした事はない。
私はいつでも飛び降りられる様に、バックパックを肩に担いだままにしていた。
これが、北インドだったら、危険がいっぱいである。身ぐるみはがされてポイだろう。
まだ、命があれば、めっけものだ。 手数料はいらない、そして助手席に警官。
(私はそう思わないけど、インドの警官は信用出来ないらしい。)
ヤバイよ、ヤバイよ・・ヤバすぎる。
10分後、ホテルに着いた。運転手は私に「待っているように。」と言ってホテルの中へ入って行った。
出てくると手には、料金表を持っていた。(写真:見えるかなぁ?)
そこには、一番安い部屋で1泊75ルピー(約225円)と書いてあった。
この旅で一番安い部屋だった。しかし、もうなんでもいい。泊まれればいい。
私はこのホテルに決めた。場所がどこなのかは、サッパリわからなかったけれど・・。
運転手は私を降ろすと、いい事をしたと言う様な満足気な笑顔を浮かべて、
タクシー代すら要求せずに去って行った。
どこの誰かは知らないけれど、なんていい人なんだろう。
「ヘー・ラーム!」
インドのホテルは予約なしで泊まるもの、と「地球の歩き方」には書いてある。
私は、観光バスでホテルに乗り付けた。バスターミナルの前のホテルに決めていた。
その方がエローラやアジャンターへ行きやすいからだ。
激しい雨の中ホテルに着くと、停電しているのか真っ暗だった。
雨宿りしているのだろう、ロビーには大勢の人がいた。
ろうそくの灯りの中、私は言った。「部屋はあるか?」
しかし、答えは無常にも・・・「満室」だった。
「そんな、バカな?」 だって「私の辞書には、満室はない。」なのだ。
「このあたりで、他にいいホテルはあるか?」気を取り直して、私は聞いた。
「隣へ行ってみな。」フロントの男は言った。
言われるがまま、隣のホテルへ行った。
またも、ろうそくの灯りの中、私は言った。「部屋はあるか?」
しかし、答えは再び「満室」だった。「真剣?」(と書いて、マジと読む。)
外は激しい雨・・・・。夜も更けていく・・・・。おまけに停電ときている。
「ヘー・ラーム!(ヒンディー語で、おお神よ!)天は、私を見放したか・・・?」
すると、暗がりの中から男が声をかけてきた。「オレが連れてってやるよ。」
ここが、運命の分かれ道である・・・。この男について行くべきか?行かざるべきか?
私には「危険だよ。」と言う声と「でも、他に手はないよ。」と言う声が交互に聞こえていた。
外は激しい雨・・・・。夜は、ますます更けていく・・・・。おまけに停電・・・。
行く宛てもないときている。
私は、運命をインドの神様に任せることにした。他に方法はないのだから仕方ない。
私 : 「ここから近いのか?」
男 : 「そうさな、10分ってとこだ。」
私 : 「予算は1泊150ルピーくらいだ。」 (高級ホテルに連れて行かれないように。)
男 : 「ノー・プロブレム。」
私 : 「あんたの手数料はいくらだ?」 (後で、お金をくれって言われないように。)
男 : 「いらないよ。」
私 : 「本当か?」
男 : 「本当さ。タダでいいよ。」
外に出るとアンバサダー(インドの国産車で、主にタクシー。)が止めてあった。
男はタクシーの運転手だった。
お客を連れて行くとコミッションが入るホテルを知ってるのだろう。
乗り込むと、助手席に警官が乗り込んできた。「コイツもグルか?」用心にこした事はない。
私はいつでも飛び降りられる様に、バックパックを肩に担いだままにしていた。
これが、北インドだったら、危険がいっぱいである。身ぐるみはがされてポイだろう。
まだ、命があれば、めっけものだ。 手数料はいらない、そして助手席に警官。
(私はそう思わないけど、インドの警官は信用出来ないらしい。)
ヤバイよ、ヤバイよ・・ヤバすぎる。
10分後、ホテルに着いた。運転手は私に「待っているように。」と言ってホテルの中へ入って行った。
出てくると手には、料金表を持っていた。(写真:見えるかなぁ?)
そこには、一番安い部屋で1泊75ルピー(約225円)と書いてあった。
この旅で一番安い部屋だった。しかし、もうなんでもいい。泊まれればいい。
私はこのホテルに決めた。場所がどこなのかは、サッパリわからなかったけれど・・。
運転手は私を降ろすと、いい事をしたと言う様な満足気な笑顔を浮かべて、
タクシー代すら要求せずに去って行った。
どこの誰かは知らないけれど、なんていい人なんだろう。
「ヘー・ラーム!」