2014年のインドのフィルム・フェアで各賞を総なめにしたノン・フィクション作品。
日本語版を観た後でエアインディアの機内上映でヒンディー語版を観た。
日本語版でカットされていた場面もあり、ストーリーがつながった。
<ストーリー>
主人公ミルカ・シン(ファルハーン・アクタル)はインドの陸上短距離選手である。
1960年ローマ・オリンピックの男子400M決勝で金メダル確実と思われていたが、
トップを快走中に何故か後ろを振り向いてしまい4位に敗れた。
映画はその理由を解明すべく生い立ちから彼の半生を回想する。
彼はパキスタンでの友好大会への参加を拒絶する。
彼にはどうしてもパキスタンへ行きたくない理由があった。
背景には1947年のインド独立と言う大きな出来事があった。
インドは東西パキスタンと分離独立したのだが、
パンジャーブ州は元々は西パキスタンとインドにまたがっており、
ミルカが生まれた村はパキスタン領であった。
しかし、イスラム教徒のパキスタンと
ヒンドゥー教徒と主とするインドに分裂を余儀なくされ、
スィク教徒であるミルカの一家はイスラム教に改宗してパキスタンに帰属するか、
命がけでインド領に逃げるかのどちらかを迫られた。
ミルカの父は生まれた場所を捨てる事は出来ないと
イスラム教徒と戦いミルカの目の前で殺されてしまった。
当時10歳位であったミルカは一人でインドへ向かう列車に乗り生き延びる。
(1929年、1935年生まれとの説もあるが不明。)
生きるために石炭泥棒などをして成長したミルカは、
ビロ(ソーナム・カプール)と相思相愛になるが、
チンピラでは結婚できないと思い軍人になる。
軍隊で行われた陸上競技で快走しインド代表となり凱旋するが・・
ビロは他の人と結婚させられてしまっていた。
1956年メルボルン・オリンピックでは、
オーストラリア女性との恋愛に溺れ惨敗(予選落ち)。
この場面、国を背負って出場したオリンピックの舞台裏で、
そんな事するかな・・・とかなり疑問であった。
またインドの女子水泳選手から言い寄られるシーン(日本語版はカット)もあるが、
まずあの時代のインドに女子の水泳選手がいたとは信じられない。
インド人は泳げない人が大半だし、
今でも水着になって身体を露出するインド人女性はほとんどいない。
また自分から言い寄るインド女性・・・・現代ならいそうだけどなぁ。
やはり納得できない。
メルボルンで惨敗したミルカはその後、心を入れ替え、
過酷な高地トレーニングなどで力をつけ、
1958年、東京で行われたアジア大会で優勝。
(
武井壮はこの場面で登場。)
世界記録を樹立するなど世界各地の大会で大活躍し、インドの英雄となる。
本人
そして満を持して参加したローマ・オリンピックで・・・
トップを走るミルカの耳に・・・生まれた村が襲撃された時、
父親が叫んだ「走れ!ミルカ!走れ!!」がこだまし、
思わず振り返ってしまったのだった。
ネルー首相に説得されパキスタンの大会へ行くミルカは、
記者会見をすっぽかし生まれた村を訪ねる。
そこで幼馴染と再会、大会でもライバルに圧勝する。
パキスタンの首相はミルカに「フライング・スィク」の称号を与え、
国民たちもスタンディング・オベーションで称える。
これは印パ関係から考えると本当かなぁ・・と思うが、
本当だったなら感動的である。
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