雀の手箱

折々の記録と墨彩画

皇室の名宝

2009年10月09日 | 雀の足跡

「皇室の名宝」展初日の開門10分前


 3日出発、8日帰着の予定で、上京しましたが、台風18号の接近のニュースで、急遽予定を変更して繰り上げ、7日に帰ってきました。
 用件を済まし、娘の家族と一緒にあるじの85歳の誕生日もお祝いできたので十分でした。
 私は6日展覧会の初日に、心ひそかに第一目標にして出かけてきた若冲の「動植綵絵」を堪能できたことで満足しました。
 御即位20年記念特別展「皇室の名宝」展の一期の目玉が、この伊藤若冲の動植綵絵三十幅の全展示です。

 今回の特別展は、何処にも巡回することなく、東京国立博物館だけで開催されます。1期と2期に分けられた展示は総てが入れ替えられるようす。
     1期:永徳、若冲から大観、松園まで。
     2期:正倉院宝物と書・絵巻の名品  となっています。
 皇居、三の丸尚蔵館に所蔵される作品の特別展です。いくら若冲好きでも、雲井の奥、滅多にお目にかかる機会に恵まれることのない三十幅すべてに会えることに、胸を膨らませていました。
 初日は混むからと止められるのを押し切って、朝一番で入場するからと独り上野をめざしました。9時10分到着、すでに30人ほどの行列ができていましたが、雨だからと、25分には入門させてくれました。

 東京国立博物館、平成館の二階に上がるや、人だかりのしている狩野永徳の四季草花図屏風、源氏物語図屏風や、かの唐獅子図屏風の前にも足を止めることなく、目当ての若冲の部屋へと進みました。広々とした会場の壁面一杯にコの字型に若冲畢生の作品「動植綵絵」の大幅が並んでいます。監視員のほかは誰もいない会場に一番のりです。部屋の中央に立って、一人占めの若冲。その感動のほどは涙が出そうなほどで、ゆっくり目に焼き付けてきました。
 興奮も静まって一点ずつ丹念に存問を交してゆきました。意外だったのは図録で見るのと違って、絵の具が総て薄塗りだったことです。絵絹の布目がわかるほどです。小だこのしがみ付いたユーモラスな絵や、雀の大群、余白のない群鶏や、花鳥、刺繍を思わせる鳥の羽の表現と、変化と意外性は尽きない興味でひきつけます。パネルの説明で、赤の絵の具が裏挿し(裏彩色)されていることや、舶載の高価なプルシアンブルーの絵の具も使われていることなどを知りました。
 予定した3時間のうち、この部屋に1時間、あとはおまけのつもりでしたが、流石に、天皇家の所蔵品。総てが桁違いです。狩野永徳は勿論のこと、丸山応挙、岩佐又兵衛、長澤芦雪、谷文晁、そして酒井抱一の花鳥十二ヶ月図もこれは初めて観る格調の高い十二ヶ月図でした。永徳の唐獅子図屏風は九国博開館の記念展でも見ていますが、左隻と揃ってゆったりと広い壁面に納まるとさすがに堂々としていました。葛飾北斎の西瓜もここに所蔵されていたのを知りました。

 ミュージアム・ショップを挟んで次の会場は近代を代表する絵画、工芸の名立たる方々の作品が展示されていました。

   東京国立博物館の特別展のリンクから多くの作品画像をご覧になれます。

 
  若冲 動植綵絵より、群鶏図と、蓮池遊魚図