雀の手箱

折々の記録と墨彩画

世田谷美術館

2009年10月15日 | 雀の足跡
 体調がいまひとつすぐれない夫に合わせて、乗り物を乗り継いでの遠出はやめて、午後から、小田急線1本で行ける近いところというので、娘が選んだのが世田谷美術館の「オルセー美術館展」パリのアール・ヌーヴオー(19世紀末の華麗な技と工芸)でした。


 初めての世田谷美術館は、タクシーを降りたところから既に木立の雰囲気もしっとりと落ちついて、都会の喧騒とは別世界です。

 アール・ヌーヴオー様式の家具調度を並べたダイニングルームや書斎、貴婦人の部屋からはじまって、そこに飾られていた装飾品が、ギマールたちのブロンズ彫金にガラスを加えた照明具、ラリックの工芸品、七宝細工や装身具と、まさに豪華絢爛。
 さらには、ガレ制作の寄木象嵌の洗練された家具が、デザイン下図などとともに展示されていました。
 グラッセやミュシャのサラのためのポスターにいたるまで、19世紀のパリの香りを華やかにに漂わせていました。
異質の文化の持つ迫力と蛇行する曲線の氾濫に圧倒され酔っ多様な感覚を味わいました。上記の「オルセー美術館展」のリンクから、惜しげもない大判の美しい写真でその豪華な貴族文化を想像ください。

 チラシに使われているエクトル・ギマールの天井灯はブロンズに彫金を施したものとガラスの組み合わせです。(高さ41センチ)下のシャンデリアも同一作家のもの。
 モーリス・ブヴァルのインク壺は睡蓮の大きな葉が台になっていて、目を閉じたオフェリアが水中から現れてインク壺の睡蓮の花を抱いています。インク壺の蓋のつまみは大きな蝿になっていました。


”さくらんぼ”のボンボン入れ。金に透かし彫り、彫金、七宝を施したもの(高さ2,2径4,8㎝)繊細なデザインは精巧そのもの。日本の香合がヒントのようです。





 2階で開催中の「和のいろ・かたち」のポスターに興味を持って、休んでいるからという夫を置いて上がってみました。

 この美術館は北大路魯山人の蒐集で知られていますが、おなじみの作品が並ぶ中で、季節のものとしての展示でしょう、紅葉の色絵”雲錦大鉢(22,5x46,8x33,6)が目を惹きました。引き返して展示内容を伝えると、重い腰をあげて二階へ上がった人は、学芸員の人と話が弾んだようでなかなか戻ってきませんでした。

 お茶にしようというので、砧公園を見渡す雰囲気のよいレストランでゆっくり優雅の余韻を楽しんで夕暮れが近づいた美術館を後にしました。

 
美術館入り口の前に広がる庭
 
レストランへのエントランス