雀の手箱

折々の記録と墨彩画

折尾駅 駅舎改築

2012年10月14日 | できごと

  さまざまな経緯はあったものの、新駅舎が建設されることになり、、木造立体交差では日本最古とされる、珍しい2階建の駅舎が今月6日で96年の歴史を閉じました。すでに仮駅舎での営業がはじまって、正面の扉が全部閉じられた姿を初めて見ました。夫の誕生日の食事を予約していたので、お酒がはいることだしと、車は置いて名残を惜しんで駅を利用して出かけました。

 既に人影もまばらな待合室には、木の支柱が、裾が広がった円形スカートのような腰かけを持って静かに最後の時を見守っていました。数えきれない人の別離を見てきた腰かけです。

 出征する兵士を送り、生き延びて故国へ辿り着いた復員兵士をむかえ、進駐軍の兵隊を、また炭鉱の閉山で生活支援の募金を訴える列をと、その時々を時代の証人として見てきた駅舎です。通勤に通学にと、この駅を通過していった多数の人々の折々の悲喜交々の想いが漂っていました。

 12日が前夜祭、13,14日と盛り沢山のイベントが企画されていました。カメラを構えて記念撮影をする人も多く、夕食後の散歩を兼ねて名残を惜しんできました。

 

最終日の迫った早朝の折尾駅とイベント


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2 コメント

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想いでの駅舎 (ふくら雀)
2012-10-16 15:33:09
人の作ったものはいつかは消える宿命の下にあるのでしょう。保存運動も盛んでしたが、利便性の効率に屈しての改造です。

年寄には確かに不便な継ぎ足しが明治以来繰り返された駅舎でしたし、エスカレーターはなく、エレベーターも上りだけにしかない駅舎でしたが、荒々しい造りながら、木のぬくもりがありました。
現在活躍中の作家平野敬一郎さんや、、高倉健さんも十文字に交差する1階の筑豊線で高校に通学した乗降駅だったはずです。
県内3番目の乗降客がある駅であってみれば、合理的な設計で乗り換えもスムースにと考えられるのも致し方がないでしょう。

かつて西鉄電車もこの駅が始発で、門司まで延びていました。今は”ねじりまんぼう”の煉瓦積みにすぐれた職人の技だけを残して姿を消しました。
車を利用することが多いので、私は長距離の旅の折にしか利用しませんが、それでも、女学生のころから人を送る別れの場所だった思い出は山ほどあります。

身内と別れるような一抹の寂しさを感じています。
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歴史的建造物 ()
2012-10-15 21:58:42
 「日本最古の立体交差」 「時代の証人として見てきた駅舎」 貴重でなつかしい佇まいを居ながら拝見できました。 ありがとうございます。
 もとは二つの鉄道が、ひとつになったのですね。
 検索すると 赤レンガのアーチなど youTubeでも 
 http://www.youtube.com/watch?v=q7m2ZBGBiS4 拝見できたりして。 また 九州を旅した気分になりました。ふくら雀さんのいらっしゃるところ、どことなく懐かしい。 待合室の腰掛けさえも…
 

  
 

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