自公圧勝か敗北か<本澤二郎の「日本の風景」(4496)

<豊富な資金力―コロナ被害者903万人X3+日銀の物価高政策>

2022年の日本は、危急存亡の年と言える内外情勢下に置かれている。その行く末決める国民審査が、近く実施される。大勢は「自公圧勝」である。アベノミクスは、いうなれば1%の財閥を肥え太らせた。500兆円の内部留保が証明している。目下の急激円安の黒田日銀の金融政策でも、トヨタなどはすごい利益を上げている。自公スポンサーの懐は、カネで膨れ上がっている。

 やりたい放題の選挙戦が見て取れる。公明党にもその恩恵が流れている。常識的に見て自公圧勝であろう。

 他方で、それは違う、自公は敗北する、とわめく政治の専門家もいる。毎日のように電話をかけてくる御仁は、二度も総選挙に出た経験者だ。彼はカネのことを言わない。最近では「安倍が清和会で君臨することはない」と力説していたが、事態は逆になった。

 

<円暴落で日本企業は外資に買収+岸田NATO訪問=サハリン沈没>

 確かに岸田・自民党に評価する材料はない。「黒田のアベノミクス金融政策で、円は大暴落、1970年代の日本に落ち込んでしまっている。それでも黒田は、安倍の意向を体して財閥向けの政策を強行している。その結果、庶民の懐は底なし沼、自殺者も少なくない」「原材料の値上げで中小企業は倒産に追い込まれている。ここに外資が買収に目をつけ始めた。日本買いだ。大変な事態に追い込まれる」と日本SOSを発するプロだ。

 この指摘は正しい。さらに「岸田がヨーロッパの軍事同盟であるNATO首脳会議に出席した。怒ったロシアのプーチンは、日本も出資し、輸入しているサハリン2とサハリン1のLNGなどエネルギーを排除した。この経済損失は大きすぎる。岸田外交の大失敗だ。しかも、憲法が許さない武器弾薬を2倍も増やすといって、米国のバイデンにゴマスリしてきた。カネがないのに大軍拡、したがって消費税を廃止できない。廃止すれば、年金を3割削ると自民党幹事長の茂木がわめいている。年金生活者は、いま年金から高額すぎる介護保険と、健康保険を2倍にして、それを強奪されている。庶民は踏んだり蹴ったり。まだある、コロナ感染者903万人は棄民扱い。家族3人を掛けると、2700万人もいる。彼らは自公に投票するだろうか。自公は負ける」などと叫んでいる。

 正論である。しかし、日本の有権者や新聞テレビは、以上の正論を正しく報道しているだろうか。ここが問題である。

 

<新聞テレビ・野党の「ゆでガエル」に変化なし=受け皿無しの野党>

 有権者の質が問われる参院選であるのだが、果たして正論に従う有権者はどれほどいるのか。ここが決め手となる。

 ズバリ言わせてもらうと、日本の有権者は以前から「ゆでガエル」になっている。政府・自治体から何をされても、怒りを行動に移すことをしない。街頭に出て、声を上げることをしない。60年安保を連想さえも出来ない。

 まことにほほえましい有権者なのだ。自公は、そのことを熟知しているのだろう。黒田斬りを公約しない。安倍に遠慮しているのだ。

 肝心の攻め手である野党が、まるで存在していないかのようだ。いても結束して受け皿を用意しない。現在も反共主義に染まってる議員族に呆れるばかりだ。野党指導者の無能・無責任が、この期に及んでも続いている。

 

<86歳の介護度2の未亡人は期日前投票だった!>

 中学校の英語の先生に、時折電話することにしている。声は昔のままだ。電話でのやり取りに問題はないが、介護度2という。週2回介護施設に通い、自宅での入浴も2回サービスを受けている。心がけて庭を歩く。孫が外務省の派遣で、マケドニアで働いている。たまにそこから電話もはいる。しっかりした娘も来てくれる。まずは恵まれている元教師である。

 選挙のことについても聞いてみた。なんと「もう行ってきた」というのだ。期日前投票に違和感はないらしい。送り迎えする親切な知り合いが、毎回いるらしい。「誰に投票」と聞いたら、やはり宗教政党の名前が飛び出した。「親類筋なので」といい、自ら候補者を選ぼうとする意欲など忘れている。

 教師の年金はいい。「岸田インフレ」論は無関係なのだ。せっかくの機会なので「公明党の今は、戦争党とも呼ばれている。自衛隊が戦争できる法律を強行した」と分かりやすく解説すると、初めて驚いていた。1995年に南京・盧溝橋の平和行脚の際の一員となってくれた恩師でもある。

 

blog読者中上さん(都民)は山本太郎、棄権する妹に投票説得>

 毎日本ブログを広げてくれる70代の都内に住む中上明子さんは、電話すると、いつも激励してくれるので、暇な時に電話してよもやま話に花を咲かせる。時々早口の大阪弁が飛び出した時は、ついていけなくなるが、彼女は7月10日に投票場に行くと言った。

 僅かな年金と物価高に泣いている彼女の投票先は、消費税廃止の山本太郎である。「奈良の妹は棄権する」というモノだから「ぜひとも投票するように声をかけてほしい」と陳情すると、約束してくれた。戦争は反対という普通の婦人なので、反自公票に違いない。無党派が大挙して投票しないことには、この国の前途は怪しく落ち込むだけである。

2022年7月6日記(東芝製品・サントリー・トヨタ不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)