93歳の精神科医が教える「楽に生きる」ヒントを厳選!「自分と人を比べて疲れる」「生きがいが見つからない」そんなしんどい時に思い出して
未来への漠然とした不安や、ままならない現実に心が疲れていませんか。著書が累計30万部突破のベストセラーとなっている中村恒子医師の人生観は、そんなあなたの参考になるはず。恒子先生の言葉の中から、「楽に生きる」ヒントを厳選しました。毎日の生活の中で役立ててください(構成=上田恵子 イラスト=関口ユートピア)
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◆欲をそぎ落として心穏やかに生きる
・『「幸せでなければいけない」と思わないほうが幸せ』
「※※な状態でなければ幸せではない」と、メディアやSNSに煽られがちな昨今。恒子先生を見ていると、そんな外からの刷り込みに振り回されるのは愚かなことだと気づかされます。
若い頃は欲求不満をバネにして「もっと、もっと」と頑張るのもいいけれど、歳をとったら「欲をそぎ落としていくこと」が心穏やかでいる秘訣。
家族に対する要求や、享楽を求め続ける気持ちなど、こだわりを一つずつ捨てていきましょう。
・『「お金のために働く」でええやない』
仕事で「自己実現をしたい」とか「生きがいを見出したい」と思えば思うほど、現状に不満が出てくるもの。
恒子先生は「働くのは自分や家族が食べていくお金を稼ぐため」と割り切っていましたが、それこそが人が働く原点です。
「自分や家族が生活できているならそれで十分」と考えると、肩の力が抜けてきませんか?
◆自分は自分、人は人の精神で生きよう
・『他人さんを変えることにエネルギーを使わない』
「なぜあの人はああなんだろう」「こうしてくれたらいいのに」。人間関係の悩みは尽きることはありません。100%満足できる環境を手に入れるのはまず不可能。
大事なのは、相手を変えることではなく、どうしたら自分が快適に過ごせるかを考えることです。
自分の行動にフォーカスしましょう。恒子先生いわく、「自分は自分、人は人」の精神です
・『老いることは、当たり前で、自然なことなんや』
最新の医療や技術を使っても、老化を止めることはできません。過度に抗うことは、自ら苦しみを生み出すことに。
恒子先生は、「鏡の中の自分はシワクチャだけど、普通だと思っているから悲しくない」と言います。
歳を重ねることへの不安や恐れを手放して、心の平穏を手に入れていきましょう。
◆他人と比べることをやめる
・『夜に疲れた頭でいくら考えても、ええ考えは浮かんでこない』
恒子先生は、たとえ心配事があっても「明日考えよう」と、さっさと眠ることにしているそうです。眠りは睡眠医学的にも重要で、しっかり寝て脳の疲れを取ることで、人は再び前向きな気持ちになれます。
悩みがある時こそ「考えるのはストップ! 」と自分に号令をかけ、大好きな音楽やドラマを楽しみ、リラックスしてベッドに入りましょう。
・『自分と人とを比べて落ち込んでも意味がない。まったくムダですわ』
恒子先生は「『人というのはついつい比べてしまうもの』という前提のうえで、自分の中で『これは比べなくていいこと』と線引きすることが重要」と言っていました。
どんなに恵まれた立場でも悩みのない人はいません。
「自分の人生と他人の人生は違って当たり前」と腹を決め、他人と比べて悩むことにエネルギーをついやすのはもったいないと自覚して、ほかのことに向けましょう。
・『「孤独はいいもの」と受け入れると楽になる』
恒子先生は息子さん一家と同じ敷地内に住んでいましたが、一切干渉しない独立した生活を貫いていました。友達付き合いも最小限で、誘われたら会う程度。
恒子先生は「人間とは基本的に一人であり孤独なもの」と言いきります。
一所懸命他人とつながろうとした結果、本意ではない付き合いに振り回されて疲れたことはありませんか? 一度「孤独はいいもの」と受け入れてみてください。
(構成=上田恵子)