ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ブルー・ミッチェル/ステップ・ライトリー

2016-04-16 22:04:23 | ジャズ(モード~新主流派)

本日はブルー・ミッチェルがブルーノートに残した「ステップ・ライトリー」をご紹介します。ミッチェルは50年代から活躍するトランペッターでリヴァーサイドに「アウト・オヴ・ザ・ブルー」、「ブルース・ムーズ」「カップ・ベアラーズ」等の傑作を残しています。後は黄金期のホレス・シルヴァー・クインテットでジュニア・クックと結成したフロントラインもジャズ史に名高いですね。本作はそんなミッチェルが1963年にブルーノートに移籍し、その最初の作品として録音されたものですが、なぜか当時は発表が見送られ、80年代に日本のレコード会社から発売されて日の目を見ました。でも、内容はとても素晴らしいですよ。3管編成によるセクステットでミッチェル以外のメンバーはジョー・ヘンダーソン(テナー)、レオ・ライト(アルト)、ハービー・ハンコック(ピアノ)、ジーン・テイラー(ベース)、ロイ・ブルックス(ドラム)という布陣です。



演奏ですが、リヴァーサイド時代やホレス・シルヴァーとプレイしていた頃のミッチェルはハードバップど真ん中路線でしたが、本作はジョーヘンやハーバー・ハンコックが参加していることもあり、ややモードジャズ風の仕上がりです。特に“Sweet And Lovely”や“Cry Me A River”は他のジャズメンにも多くカバーされた有名スタンダードですが、ここでは抑制されたテンポでスタイリッシュにまとめられています。ロジャー・ボイキンと言うよく知らない人が書いた“Andrea”もモーダルな佳曲ですね。その一方で、モード時代の申し子と言ってもいいジョーヘンの曲が2曲収録されていますが、これが案外モードっぽくない。まず、オープニングトラックの“Mamacita”はラテンフレイバーあふれるファンキーチューンでクラブシーンでも使えそうなノリノリの曲です。もう1曲、タイトルトラックの“Step Lightly”は曲調はスローながらも静かに燃え上がるようなファンキーな名曲。ミッチェルはよほどこの曲が気に入ったのか翌年に発表した「ザ・シング・トゥ・ドゥ」でも再演しています。ラストの“Bluesville”は本名シルヴェスター・カイナーことソニー・レッドが作曲したジャズ・ロックです。ブルー・ミッチェルと言えば、続く「ザ・シング・トゥ・ドゥ」もチック・コリアと組んだ傑作ですし、以前にUPした「ブリング・イット・ホーム・トゥ・ミー」も良いので、ブルーノート時代をもっと評価してもいいのかもしれません。

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