ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ジェローム・リチャードソン/ローミン

2024-12-12 19:10:20 | ジャズ(ハードバップ)

本日はジェローム・リチャードソンです。主に50年代から60年代にかけて活躍したマルチリード奏者で、テナーサックスだけでなくフルートも良く吹きます。プレスティッジのジャムセッション「オール・ナイト・ロング」やナット・アダレイの「ザッツ・ナット」でのプレイが印象深いですね。オスカー・ペティフォードの「アナザー・ワン」にも参加していました。ただ、普段は脇役でのプレイが中心で、リーダー作となると数えるほどしかありません。本作「ローミン」は1959年10月にプレスティッジ傘下のニュージャズに吹き込まれた彼の代表作です。ニュージャズにはもう1枚「ミッドナイト・オイル」を前年の1958年に残していますが、内容的には本作の方が上ですね。

ワンホーン・カルテットでメンバーはリチャード・ワイアンズ(ピアノ)、ジョージ・タッカー(ベース)、チャーリー・パーシップ(ドラム)。リーダー同様に地味なメンツを集めたなあという感じですが、全員活動歴は豊富で力量的にも申し分なしです。ある意味、実力派の脇役達を集めた玄人好みのセッションと言えますね。

全6曲、スタンダードとオリジナルが半々ずつと言う構成です。1曲目”Friar Tuck"はジョージ・タッカー作のシンプルなリフのブルース。リチャードソンはここではテナーを吹いていますが、なかなかソウルフルなプレイぶりです。2曲目はリチャードソン自作の”Up At Teddy's Hill"でここでのリチャードソンはバリトンサックスをブリブリ吹き鳴らします。彼がサイドマンで参加している作品はテナーまたはフルートの印象が強く、バリトンを吹いていた記憶はないのですが、意外とこれがハマっています。曲自体も力強いハードバップで本作でもハイライトと呼べる内容です。続く”Warm Valley"はデューク・エリントンの美しいバラードですが、リチャードソンはここでもバリトンでダンディズム溢れるプレイを聴かせてくれます。

4曲目は歌モノの”Poinciana"で、ここで初めてフルートが登場。何となくエキゾチックなアレンジがなされており、リチャードソンのフルートも中東かどこかの笛っぽい響きです。5曲目”I Never Knew"も歌モノですが、ここでも再びバリトンの登場。本作でのリチャードソンはバリトンサックス奏者としての新たな一面を開拓したようですね。ラストの”Candied Sweets"は本作でも見事なプレイを披露している名脇役リチャード・ワイアンズのオリジナルで、彼のソウルフルなピアノソロに続きリチャードソンが力強いテナーを披露して演奏を締めくくります。

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