ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ケニー・バレル/ソウル・コール

2024-12-13 19:35:42 | ジャズ(ハードバップ)

本日は私のフェイバリット・ギタリストであるケニー・バレルを取り上げます。ジャズギタリストと言えば一般的にウェス・モンゴメリーが一番人気なのでしょうが、私にとってはバレルこそが最も偉大なギタリストです。それどころか全てのジャズマンの中でもトップ5に入るぐらい好きですね。彼の50~60年代の作品はどれも傑作揃いで、有名なブルーノート盤の「ブルー・ライツ」や「ミッドナイト・ブルー」、プレスティッジ盤の「ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン」ももちろん素晴らしいですが、今日ご紹介するのはそれらに比べてかなりマイナーな「ソウル・コール」と言う作品です。

1964年4月にプレスティッジに吹き込まれた作品で、ホーン奏者はおらず、コンガを加えた変則的クインテット。メンバーはウィル・デイヴィス(ピアノ)、マーティン・リヴェラ(ベース)、ビル・イングリッシュ(ドラム)、レイ・バレト(コンガ)と言う顔ぶれ。正直マイナーなジャズマンばかりで、あえて言うならコンガのレイ・バレトが一番よく見る名前かもしれません。特にウィル・デイヴィスは他ではとんと聞いたことがないですが、何でもシカゴ出身のピアニストで1940年代にハワード・マギーやミルト・ジャクソンの録音に参加しているベテランらしいです。

メンバーだけ見れば大丈夫か?と少し心配になりますが、内容の方はなかなか充実しています。全7曲、スタンダードが3曲、残りがオリジナルと言う構成です。オープニングはエリントン楽団の"I'm Just A Lucky So-And-So"でバレルが全編にわたってブルージーなギターをたっぷり披露します。2曲目”Mark One"はウィル・デイヴィスのオリジナルでこれがアップテンポの素晴らしい曲。バレルの躍動感溢れるホーンライクなギターソロにデイヴィスのスインギーなピアノも良いですね。ズバリ名曲・名演と言って良いでしょう。3曲目はスタンダードの”A Sleepin' Bee"で通常はミディアムテンポで演奏されることが多い曲をバレルはスローでややブルージーな演奏に仕立てています。

続く”Soul Call"と”Kenny's Theme"はバレルのオリジナルで、どちらもソウルフィーリングたっぷりの曲。前者はバレトのコンガが印象的な絡みをするスローブルース、後者はノリノリのファンキーチューンでのバレルのギターソロが鳥肌の立つ凄さです。その一方、バレルはバラードの名手でもあり、スタンダードの”Here's That Rainy Day"では胸に沁みるようなバラード演奏を聴かせてくれます。ラストの"Oh Henry"はボーナストラックで、夭折したアルト奏者アーニー・ヘンリーの高速バップチューンです。以上、メンバーは地味でもバレルにハズレなし!を改めて実感させてくれる1枚です。

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