本日はハンク・モブレーのプレスティッジ第2作目、その名もずばり「モブレーズ・セカンド・メッセージ」です。前作が「モブレーズ・メッセージ」でそれに続く作品ということなのでしょうが、本作に限らずこの頃のモブレーの作品は本当に安直なタイトルばかりですね。ジャケットの手抜き加減もなかなかのもので、緑の背景に082467935と数字が書いてあるだけ。082はおそらくレコード番号(プレスティッジ7082番)でしょうが、その下の467935は一体何なんだ?
とまあタイトルとジャケットのセンスには思わず苦言を呈したくなりますが、中身に関してはこの頃のモブレーらしい純正ハードバップで一聴の価値アリです。前作「モブレーズ・メッセージ」から1週間後の1956年7月27日の録音で、ベースのダグ・ワトキンスとドラムのアート・テイラーは本作でも引き続き起用されていますが、トランペットはドナルド・バードからケニー・ドーハムに、ピアノはバリー・ハリスからウォルター・ビショップ・ジュニアに代わっています。モブレーとドーハムは前年に初代ジャズメッセンジャーズの「カフェ・ボヘミア」セッションで共演していますので、旧知の仲ですね。
全6曲。モブレーのオリジナルとスタンダードが3曲ずつと言う構成です。通常は私はオリジナルの方に注目して聴くのですが、本作に関してはスタンダードの方が良いですね。オープニングトラックはハロルド・バーロウと言う人が書いた”These Are The Things I Love"。マイナーな歌モノですがミディアムテンポで小粋にまとめられています。5曲目”I Should Care"は10分超に及ぶ長尺のバラード演奏で、この曲はドーハムが主役と言って良く、彼のくすんだ音色のトランペットが大きくフィーチャーされます。続くビショップの端正なピアノ、モブレーの温かみのあるテナーもいいです。ラストトラックの”Crazeology"はビバップ期のトランぺッター、ベニー・ハリスの曲でチャーリー・パーカーも演奏した典型的バップナンバーです。アート・テイラーの素晴らしいドラミングに乗せられて、モブレー→ドーハ厶→ビショップが軽快にソロをリレーします
一方、モブレーのペンによる3曲は出だしがラテン調の”Message From The Border"、マイナーキーの”Xlento"、ドライブ感たっぷりの"The Latest"の3曲。どれもこの頃のモブレーらしい王道ハードバップですが、名曲とまではいかないかな。全体的なクオリティでは「モブレーズ・メッセージ」に一段劣るような気がしますが、それでもモブレー好きorハードバップ好きなら聴いて損はない1枚と思います。