ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

コンテ・カンドリ/ウェスト・コースト・ウェイラーズ

2024-05-21 20:54:17 | ジャズ(ウェストコースト)

西海岸の白人トランぺッターと言えば一にも二にもチェット・ベイカーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?逆に言えば一般的に知名度が高いのはチェットぐらいしかいないかもしれません。ただ、他にもショーティ・ロジャース、ステュ・ウィリアムソン、ジャック・シェルドン、ドン・ファガーキストら隠れた名手はたくさんいますし、何より忘れてはいけないのが今日取り上げるコンテ・カンドリです(以前にも当ブログではクラウン盤を取り上げました)。もともとはインディアナ出身ですが、西海岸を拠点とするスタン・ケントン楽団に加入し、以降はウェストコーストのジャズシーンで活躍しました。お兄さんのピートもトランぺッターですが、こちらは主にビッグバンド要員で、ソロキャリアでは弟の方が名を上げたようです(一応、兄弟で組んだカンドリ・ブラザーズ名義のレコードも何枚かあるようですが、CD化はされていません)。本作「ウェスト・コースト・ウェイラーズ」はピアニストのルー・レヴィとの共同名義で1955年8月にアトランティックに吹き込まれたコンテの代表作です。メンバーはコンテ、レヴィに加え、ビル・ホルマン(テナー)、リロイ・ヴィネガー(ベース)、ローレンス・マラブル(ドラム)という顔ぶれです。ちなみにジャケットは左がレヴィで右がコンテです。

アルバムはスタンダードの”Lover, Come Back To Me"で始まります。多くのジャズミュージシャンによってカバーされた定番曲ですが、本作のバージョンは代表的名演と言ってよいでしょう。冒頭の1分はレヴィのソロピアノで始まる静かな出だしですが、そこからコンテのパワフルなトランペットで一気にテンポアップし、ホルマン→コンテ→レヴィの順で目の覚めるようなソロをリレーしていきます。西海岸の白人ジャズと言えばついアレンジ重視という印象がありますが、ストレートで力強いハードバップ風の演奏はそのイメージを覆してくれます。コンテのハードバップ志向は前年にブラウン=ローチ・クインテットが名演を残したデューク・ジョーダンの”Jordu”を取り上げていることからもわかります。他ではラストトラックのコンテの自作曲”Marcia Lee"もなかなかの名曲・名演です。一方、兄ピート作の”Pete’s Alibi"やビル・ホルマンのオリジナル”Cheremoya”はいかにもウェストコーストと言った軽快な演奏。スタンダードのバラードも”Lover Man””Flamingo”と2曲あり、ドラマチックなアレンジの施された後者がおススメです。以上、ハードバップとウェストコーストの良さがうまく融合した名盤だと思います。


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