広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

広島・宮島旅行記~広島電鉄の路面電車の独特な“作法”~

2008-09-15 19:43:32 | 旅行記
※本記事の写真はE-520でなくコンパクトデジカメで撮影したものです※
広島の街を語るに欠かせない、広島電鉄(通称「ひろでん」)の路面電車について書いてみる。
その名の通り、自治体が経営する公営交通事業でなく、民間企業経営の私鉄。全国的には、富山地鉄・岡山・松山・長崎などが民営だ。
だから「市電」とは呼べない。まあ、「市内電車」の略でも「市電」だろうけれど、僕には抵抗がある。正確には広電には(それ以外の多くの街でも)「路面」でない区間も一部あるのだが、「路面電車」の呼び方が、このタイプの鉄道に対する当たり障りのない呼び方だと思うので、本ブログでもそう呼ばせてもらう。

広島の路面電車網は日本最大だという、広島市内のみならず西隣の廿日市(はつかいち)市方面ではJR山陽本線と並走し、宮島口までの路線もあるのは、先に記事にした通り
広島市内ではかなり複雑な運行系統で、枝分かれした路線、系統間の直通運転、途中電停止まりなどもあって、特に中心部の「紙屋町」辺りから電車に乗るときは戸惑う。
広島駅前でも原爆ドーム・宮島口方面と市役所・宇品方面など乗り場が分かれているから注意が必要。

運転系統が複雑なのは、街の大きさと便利さの裏返しだから、旅行者が迷うのは仕方ないが、広電の場合、乗車の“作法”がやや独特で、それが敷居を高くしてしまっているように感じた。鉄道好きの僕から見ても、一瞬迷うような場面がいくつかあった。

今まで、いくつかの街の路面電車に乗ったが、基本的には(首都圏以外の)バス感覚-つまり降車ボタンで合図して、降りる時に(均一・区間制の違いがあるにせよ)運賃箱に料金を入れればよかった。
ところが、広電でまず驚くのは、降車合図ボタンがない車両がたくさん走っているのだ。
ボタンがないのは数量の電車がつながった「連節車」と呼ばれる、ワンマン運転でなく車掌が乗っている電車だ。
バリアフリーの低床車として有名な「グリーンムーバー」もこの仲間であり、市内線の一部と宮島口方面の全便が連節車だから、結構な頻度でお目にかかる。

夜の広島駅前で発車を待つ最新の国産低床電車「Green mover max」こと5100形。ホームと車両がほぼ同じ高さで、ステップもない。
短い車両が5両つながっており、全体で30メートルになる。


連節車では、前の運転席と後ろの車両中ほどの車掌台の2か所に運賃箱があり、両方から降車できる。
そして降車ボタンがないので降りる時は、「乗客が車掌か運転士に降りる意志表示をする」ようだ。
車掌に明確に「降ります」と言っている人もいたが、立ち上がって、降車口の近くまで行けばいいようだ。運転士の場合はミラーで確認するか、後ろから車掌が見て判断しているのかもしれない。
空いている場合は、降りるのが自分だけで、うっかりしていると通過されそうで、タイミングが難しい。
ただ、広電の乗務員は、皆親切だったので、乗車時など事前に車掌に「○○で降りたい」と不慣れな乗客であることをアピールしておけば、便宜は図ってくれそう。

Green mover maxの車内。全長30メートルだけあって、路面電車とは思えない長さ。連結部も段差ができないよう工夫されている。
黄色のポールが目立つが、降車ボタンはない。肩にかばんを掛けて立っているのが車掌。


何度か、そんな光景を見ていたが、僕にもついにその時が来た。
停留所の放送が入ったので、立ち上がると、すぐに車掌が気が付いてくれた。
そして、その車掌は自分の前にある運賃箱に手を向けて「どうぞ」と言った。
これが、初めてだと戸惑う2つめの広電独特のルール、「停車前に精算をしてしまう」ことだ。
車両前方の運賃箱では、運転士が運転中だから、バスや他の電車と同様、停まるまで精算できないが、車掌側では、停留所に停車する前から、順次、精算をするのだ。電停に着いてドアが開けば、ぞろぞろと降りるだけ。
車掌は精算時に「ありがとうございます」と言うが、降りるときにも再び「ありがとうございました」と言ってくれた。
日頃後払いのバスに乗っていることもあって、何もせずにただ降りるだけという行為が、何か忘れ物をしたようで、変な感じがした。
少しでもスムーズに降りてもらうためだろうが、混雑している時など、誰が精算済みか分からなくならないだろうか。


連節車・低床車における、この2つの作法さえ知っておけば、初めて広島の路面電車に乗る人でも安心だと思う。
なお、他にも小さなことだが、気づいた点がいくつかあるので、書いておく。
広島の電車に乗車予定でお暇な方は、予備知識として一読いただくと、より安心して移動できると思う。

運賃制度は均一・区間制が共存する。
広島市内の路線は150円均一(白島線という支線は100円)。西広島~広電宮島口間を乗車する時は区間ごとに運賃が異なるので、乗車時に整理券を取る。
一日乗車券が便利。(600円。宮島への船やロープウェーに乗れるタイプもある)
駅前の電車乗り場に販売機がある。一部ホテルでも買える。日付指定不要なので、例えば前日に買っておくことも可能。
広島駅前などのターミナルは一見駅だが、あくまでバス停感覚の電停。
「きっぷをどこで買うのか」と迷っている人がいたが、車内で精算するので、きっぷはない。乗るだけでいい(ただし広電宮島口駅には券売機があるらしい)。
ホーム上に「カードリーダー」が立っていて、プリペイドカードや一日乗車券で乗車する時は、事前に通しておくことができるが、車内にもリーダーがあるのでどちらでもよい。
車掌台のカードリーダー挿入方向に注意
ホーム上や運転席側のカードリーダーは、カードの表面を上向きにして挿入する。
しかし車掌台のリーダーは垂直に設置されていて、表面を手前にして挿入する。
正しく挿入されると、別の取出口から出てくるが、逆に入れると挿入口に戻ってきてしまう。
「移動式運賃箱」がおもしろい
広島駅前、西広島など主要ターミナルの混雑時間帯などには、運賃箱を載せた台車を押している駅員の姿を見かける。
普通なら乗り物の床に固定されている運賃箱が、台車に載ってゴロゴロ移動するのが、なんとなくおかしい。
混雑解消のため、正規の降車口以外に乗務員がいない入口用のドアも開放するので、そこから降りた客の精算用である。
車内にあるのと同じタイプの銀色の運賃箱だが、自動車用のようなバッテリーも台車に載っていた。
「平面電停」に注意
広島に限らず、古くから路面電車がある街では、バリアフリー対応工事が進んでいるとはいえ、道幅が狭いため電停も狭くなってしまい、車と電車両方に注意して利用しなければならない電停が結構ある。
さらに広電では、路上に色を塗っただけで「ホーム」がない、「平面電停」というものがある。観光客はほとんど乗降しない場所であり、放送でも案内されるが、幅の狭さのみならず、車両との段差が大きくなるので注意が必要だ。

「平面電停」のある辺りなどをぶらぶらしたので、別記事でご紹介したい。
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広島・宮島旅行記~宮島初上陸・夕暮れの宮島~

2008-09-15 16:39:56 | 旅行記
※本記事の写真はE-520でなくコンパクトデジカメで撮影したものです※
厳島神社と大鳥居に向かっていたかのような航路が左にそれて、宮島連絡船はもうすぐ宮島桟橋に接岸する。

放送では「接岸の際“強く当たる”ことがあるので座っているか、どこかにつかまれ」と言っている。
昔、青函連絡船に乗ったときも、桟橋に着くまで座っていたような気がしたので、おとなしく待とうかと思ったが、地元の人と思われる乗客は、すでに立ち上がり、1階へ降りる階段の途中で並んでいるから、後に続いた。

小さな船だから操舵室から岸壁がよく見えるだろうし、岸壁にはクッションの古タイヤがついているのでそんなに心配しなくていいとその場では思ったが、帰ってから調べてみると、過去に何度か実際に“強く当たって”けが人が出たことがあったらしい。天候や体調によっては、座って待っていた方が賢明だろう。

無事に静かに接岸。船から桟橋の職員にロープが渡され、扉が開く。車両を積んでいる場合は、車を先に降ろしてから、乗客の降船となる(混雑時の事故防止策だろう)。
宮島口は桟橋の建物から船までがすぐだったが、宮島は距離がある。
宮島桟橋には改札があり、自動改札化前によく見られた、銀色の風呂桶のような改札ブースに「駅員」がいた。駅と同じ型の自動券売機、きっぷうりば(全国各地への乗車券を買えるらしい)、待合スペース、売店もあって、この部分だけ見れば、まさに「駅」だ(実際駅扱いのようだが)。秋田近郊でいえば奥羽本線の追分や八郎潟のような感じだ。

しかし、視点を移すと、待合スペースがかなり広い。混雑時期や団体客の利用を考慮したのだろう、実際次の日には修学旅行生でいっぱいだった。
そして、驚くのが、左右対称の構造で、もう1つ改札口があるのだ。これは、競合する宮島松大汽船の乗船口。宮島口側では2社別々の建物だったが、こちらでは共有している。

19時近いので待合スペースに人影はなかったが、ベンチの間になんと立派な角の鹿が立っていた。
中で粗相をされたりしては困るからだろう、JRの駅員が鹿を追い出そうと近づくと、鹿はそれに気が付いて早々に外へ出て行った。

慌てて出て行く鹿。券売機や改札口など駅のような雰囲気もお分かりいただけると思う。フレームの外、右側には松大汽船の改札がある。

桟橋内には観光案内所もあるが、閉まっている。
観光マップは出ていたので2種類もらって、桟橋を出た。

外から見た桟橋の建物は新しく、大変立派。前のスペースも広い。

桟橋を出て右前方が厳島神社。
大鳥居を右に眺めながら神社まで海沿いに続く弓なりの道があるが、途中で左折して山側に入れば、両側にもみじ饅頭屋や飲食店などが立ち並ぶ参道がある。厳島神社に参拝するにはこのどちらかを通るのが一般的。
日帰り客は既に帰っただろうし、島内の宿泊客は夕食の時間だろうか。7月なのでまだ明るい時間とはいえ、人は少ない。

所々に鹿がいるが、ほとんど人間を気にしない。逃げるわけでなく、奈良公園の鹿のように餌をねだったり、紙袋やパンフレットに噛み付くこともしない。宮島では「鹿には餌を与えたり手を出さない」というルールが徹底していて、それなりにうまく共存しているようだ。

参道に行ってみるが、見事にどの店も店じまいしている。でも昼は賑わいそう。
この通りには交番と郵便局、金融機関の支店やATMコーナーもある。


そんな中で目を引いたのが、大きなしゃもじの展示。自転車と比較してほしい。


参道からさらに1本山側は「町屋通り」と呼ばれ、趣のある家屋が並ぶ。
突き当りには五重塔が見え、鹿が3頭、悠々と歩いていた。右に曲がればまもなく厳島神社。


大鳥居を臨む海岸に出ると、曇り空ながらも夕日が美しい。
神社の参拝時間も終わっているが、これを見られただけで来た甲斐があった。
大潮の日で満潮まであと1時間半ほどなので、水位が高い。


明日以降、ゆっくり島内を見るのが楽しみになった、いい予行練習だった。
もうすぐの連絡船を逃すと次は30分待ちになるので、桟橋へ急ぐ。
神社から桟橋は10分では危険、15分だと余裕といった距離か。
早足で汗をかいたが、船上の海風が心地よかった。
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広島・宮島旅行記~宮島への交通手段~

2008-09-15 14:55:10 | 旅行記
※本記事の写真はE-520でなくコンパクトデジカメで撮影したものです※
明日の予行練習も兼ねて宮島(正式には厳島)の夕暮れを見に行く。
宮島は広島市の隣り、広島県廿日市(はつかいち)市にある(以前は宮島町として独立)。日本三景のひとつでもあるから、仙台市と松島の関係に似ている。だが、こちらは海を渡る必要がある。

【宮島口へ】
まずは、広島市内から本土側の桟橋のある廿日市市の「宮島口」へ行かねばならない。
この区間はJRの山陽本線と広島電鉄の路面電車がほぼ並走している。
運転本数は広電の方が多いが、JRでも1時間に5本程度と便はいい。所要時間はJRだと20~30分だが、広電は1時間(広島駅から)かかる。
今回はJRの周遊きっぷと広電の一日乗車券を持っているから、どちらも利用できる。
広島駅と宮島口の途中にある原爆ドームを見た後なので、広島駅まで逆戻りするのは無駄だし、時間的余裕と鉄道ファンの好奇心から広電で向かうことにした。ドーム前からは乗り換えなしだが、45分ほどかかる。

宮島口行きの路面電車は、他の路線とは違って1両の電車(単車)は使われず、「連節車」という数両で1セットの長い電車だけが走っていて、車掌が乗っている。(路面電車については別記事にします)
途中までは、道路を走る路面区間だが、途中駅から砂利が敷かれた専用軌道になり速度が上がる。といっても、停留所が多いから、それほど速くはない。

運転本数が多い路線で、車両も収容力があるのに、夕方のせいか混雑しており、なかなか座ることができなかった。
終点の「広電宮島口」(路面上のは「電停」だが、ここは専用軌道上だから「駅」になるようだ)には数分遅れて到着した。
鉄道好きの僕でも、正直、飽きてしまった。帰りや明日はJRで移動しよう。
しかし、バリアフリーの低床電車「グリーンムーバー」はかっこよくて快適だし、宮島口方面の路線は、狭い道路をすり抜けたり、下町っぽい、昔ながらの家屋が並ぶ、いい雰囲気の街もちらりと見えて楽しそうな路線ではある。JRと組み合わせて(途中6駅でJRと接続する)途中停留所から利用するのがいいかもしれない。

【宮島連絡船について】
宮島へ渡る船(フェリー)もJRと広電系列の宮島松大汽船という2社が競合する。
どちらもほぼ15分間隔で所要時間は10分。JRの方が早朝・深夜(6時から22時頃)まで運行しているようだ。
今回は、周遊きっぷがJRの船にも有効なので、松大汽船に乗る機会はなかった。(なお、広電の一日乗車券の中には、松大汽船にも有効なタイプもある。)

JRは路線名としては「宮島航路」、一般的には「宮島連絡船」と呼ばれ、鉄道のダイヤとは関係なしに運行され、対岸の宮島で鉄道に連絡するわけではないものの、現在唯一の「鉄道連絡船」だ。
航路は1.0kmの鉄道路線として運賃計算されるので、「秋田から宮島」といった乗車券を購入することも可能だし、普通列車扱いなので「青春18きっぷ」でも乗船できる。航路だけの乗車券は170円で松大汽船と同額。

ちなみに、両社の航路とも、一直線に航行するが、JRの宮島へ向かう便がいちばん南側すなわち厳島神社の近くを通ることになる。これを利用して、昼間のJRの宮島行きは、「大鳥居に大接近」と称して、少し大回りして、進行方向右側から真正面に大鳥居が見えるコースを通るサービスをしている。所要時間は変わらない。これがJR連絡船のアドバンテージだ。

追記・2008年12月4日、JR西日本は来年4月から宮島連絡船を「JR西日本宮島フェリー株式会社(仮称)」として子会社化すると発表した。来年以降、何か変化があるかもしれません。

【宮島口桟橋】
広電の宮島口駅を出ると、小さな横断歩道を渡った目の前が船乗り場(桟橋)だ。雨でも走れば濡れずに移動できそう。
一方、JRの宮島口駅は道はまっすぐだが少し遠くにあり、道路を地下道で横断しなければならず、不便だ。

宮島口の桟橋は海(つまり宮島)に向かって左が松大汽船、右がJR。
周辺にはあなご飯やもみじ饅頭の店が並び、宮島に渡る前からもう観光地だ。

宮島口桟橋。左が松大汽船、右奥がJR。なお左の横断歩道の後方がすぐ広電宮島口駅。JRの宮島口駅はずっと後ろ。

松大の桟橋内には土産屋や飲食店(もみじ饅頭の載ったソフトクリームがあるらしい)が入っているようだが、JRの方はきっぷの券売機と飲み物の自販機のある小さな待合室しかなかったと思う。
また、桟橋の船舶業務を行う係員はいるが、駅員はおらず改札口もなく、乗船待ちの客が並ぶ狭い通路があるだけだ。通路の先頭はロープが張られている。
基本的に、到着した船がすぐ折り返すようで、接岸して宮島からの乗客の降船が終わると、係員が通路のロープを外して乗船開始となるが、すでに出航の5分前くらいだ。
船の乗船といえば、船腹というのか、船の側面から乗るのが一般的だと思うが、この船は車も人も船の正面から乗る。かつての青函連絡船をご存知なら、貨車が出入していた所といえば伝わるだろうか。
さらに、その乗降口と操舵席は前後両方に付いていて、船を側面から見ると左右対称の形をしている。つまり、方向転換をしなくても、そのまま両方の桟橋に入港できる、まるで鉄道の1両で動く路面電車やディーゼルカーのような構造をしている。

船内は3層構造で、一番下が自動車積載スペース、階段を昇って2階が窓と壁で仕切られ、2人掛けのシートが並ぶ船室(確かトイレもあった)、さらに昇って3階には風を遮るものがなく、遊覧船のようにプラスチックのベンチが海を向いて並んでいる。3階には2つの操舵室と飲み物の自販機もある。
定員500人以上の船だが、18時近いので乗客は数十人くらいか。観光客はほとんどおらず、多くは宮島の住民なのだろうか、ほとんど2階の船室に入ってしまう。僕は暑くて風に当たりたいので、3階に行く。

【出航】
宮島連絡船は3隻が在籍し、古い船は国鉄末期の1987年に就航したものもあるが、この時乗ったのは、いちばん新しい2006年就航の「みやじま丸」。
発電してモーターで推進する日本初の電気推進小型旅客船で、騒音や排出ガスに考慮されているそうだが、他の船と乗り心地や音に違いは特に感じられなかった。1階にはバリアフリーの船室もある。
JRの船体には大鳥居をイメージした赤いラインが入って、水色の松大汽船と対照的(みやじま丸は他の2隻より赤いラインの本数が多い)。青いJRマークがJR西日本の鉄道連絡船を主張している。

あっさりと乗って、あっさりと出航してしまったが、海の上は気持ちいい。
白い制服の船長と作業服のようなものを着た職員の2人乗務で運行されているようで、出航前後に、客席を通って3階の前後にある操舵室を行き来している。混雑するときは乗客をかき分けて行き来しなければいけないだろうから大変そうだ。
放送は録音されたものが流れるが、英語の放送もあった。

連絡船といえば、子供の頃乗った青函連絡船を思い出す。「乗船名簿」を提出し、長い船旅を実感したこと、着岸時にタグボートが寄ってきて大きな連絡船をぐいぐい押したことも思い出の1つだが、宮島連絡船には両方ともない。
内海で短距離だから名簿は不要だろうし、両側に操舵室があるからタグボートなしに自力で接岸ができるのだ。
観光客にとっては、遊覧船のような存在だが、宮島の住民と思しきベビーカーを押したお母さんや宅配便のトラックも乗っていた。地元の人にとっては、バスや道路の役目も果たしているようだ。青函連絡船とは違った存在なのだ。

出航前から、対岸に宮島が見えていた。
弥山(みせん)という山が高くそびえ、横方向にも長くて島の終わりが見えない。
島でなく半島の一部のような錯覚がする。

船の進行右側から宮島を見る。カメラに収まりきらないほど横に長い島だ。左に小さく大鳥居が見える。

航路になっていない右手には牡蠣の養殖いかだが浮かんでいる。
宮島口の街が遠ざかるとともに、大鳥居が大きくなってくる。

いかだや大鳥居など、進行方向右側に気をとられていたが、反対側を見てみる。
この船と同時に松大汽船の宮島行きも出航していて、並走している。宮島からはJRの「みせん丸」も近づいてきて、3隻が一瞬、一列に並んだ。

みやじま丸左側から撮影。奥が松大汽船の宮島行き。手前がJRの「みせん丸」宮島口行き。3層で左右対称の構造が分かる。

間もなく、宮島桟橋に到着する。
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