広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

続・竿燈合同練習

2009-07-05 15:49:07 | 秋田の季節・風景
先日も紹介した、竿燈まつりの「合同練習」
4日間のうち、後半2日間は秋田銀行馬口労町(ばくろうまち)支店の駐車場で行われた。市役所前庭よりも狭いのであまり期待しないで行ったが、とてもおもしろかったのでご紹介します。

会場は秋田駅から南西へ直線で2キロほど、旭川沿いの旭南(きょくなん)地区。歓楽街川反の南隣になる。現在は市街地の真ん中だが、藩政時代はこの辺りが城下町の外れだったのだと思う。住居表示実施で「旭南○丁目」となった今も、馬口労町、鍛冶町などの旧町名の町内会単位で竿燈に参加する団体が多い。
そういえば、今日の会場の秋田銀行は「旭南支店」とせずに約40年も旧町名の「馬口労町支店」のままなのは何でだろう? 大町支店→茶町支店とか秋田駅前支店→根小屋町支店とか全部旧町名で統一されているのなら分かるけど。

前回も触れたように、本番では竿燈の先端に神社の御幣を取り付ける。祭り終了後に各団体の代表が集まって旭川へ流す「御幣流し」を行うが、その場所が銀行のすぐそばの「刈穂橋」。
刈穂橋付近から下流
この辺は川が蛇行し、河川敷に木や草が茂って自然な感じだが、河川敷へは降りられない。500メートルほど下流の秋田サティ裏で太平川と合流し、さらに1キロ先で秋田運河に注いで旭川が終わる。
対岸から竿燈が見える
今回も19時半で中断し、ろうそくに灯を入れていた。

通常は竿燈を倒した状態で点火し、合図で一斉に立ち上げるが、今回は、点火が済んだ竿燈を銀行の外壁に立てかけている。駐車場が狭いので、全部を寝かせておくスペースがないための措置だろう。
後ろが刈穂橋、奥が旭南小学校・新国道、右が川反
20台も停められない狭い駐車場に7本の大若が集合。

歩道がない片側1車線の狭い道いっぱいにギャラリーがいる。先日の市役所と人数的には変わらなそうだが、ご近所のお年寄りや子供もたくさんいて、さすが竿燈の地元。
月が出ていた
上の写真左端の竿燈の先端に注目。本番では御幣、市役所に来ていた町内は日の丸を付けていたが、
オロナミンCののぼり!
風向きを確認する目的があるようなので、ひらひらしていれば何でもいいんだろう。

今度は提灯に注目。本番では特定の位置の提灯に「七夕」や団体名の文字を入れるなど、決まりがあるようだが、市役所の練習で見た町内では、ありあわせの提灯を付けたのか、配置が乱れていたり、スポンサー企業が混在しているものがあった。今回も、
佐川急便のいろんなロゴや「飛脚」文字が混在

この竿燈(オロナミンCののぼりが付いているヤツ)は特ににぎやか
見ていくと(一部写っていないものも含む)、月星カラー(塗料らしい)、マルハン、けんしん(秋田県信用組合)、協和(下から2段目右端の花のマーク、鉄鋼・建材商社)、大塚製薬、ローソン、東部瓦斯(東部ガス)がある。オロナミンCの旗もスポンサー関係で提供を受けたのだろうか。
「東部ガス」は本社は東京だが、秋田が創業地で秋田市や福島、茨城で都市ガス事業を行っている。ここのすぐ近く、サティの隣に秋田支社がある。「エコウィル」「“部”(破れてる)」「炎に手足が付いたキャラクター(名前不明)」が同社の広告。
そして、最下段、左から2番目に、ローソンの提灯に挟まれて1つだけ黒い不思議なロゴの提灯がある。これは「室」という字を図案化したもの。これがこの竿燈を出している「室町(むろまち)竿燈会」の町紋。本来はこのマークの提灯だけで揃った竿燈があり、それがこの町内の正式な竿燈ということになる。場所としてはここ馬口労町の隣、旭南小学校の辺りらしい。
同会には、公式サイトがあり、それによれば「スポンサーとして、東部ガス 秋田県信用組合 ローソンが協賛しています。」とあるが、大塚製薬などは記載されていない。他の町内から調達した提灯や旗だったのだろうか。

本番では、町紋の提灯とスポンサー広告の提灯が1本の竿燈の中で混在することはないし、1社が竿燈1本全部の提灯に広告をするのが普通だと思うので、こんな風にいろんな提灯が混ざることはない(1つの町内に複数のスポンサーが付くこと自体珍しい)。でもこれはこれで楽しい。練習ならではの光景だ。

前も書いたが、提灯の企業ロゴが、看板やwebサイトのものと色やラインが寸分たがわないのがお分かりいただけると思う。提灯作りは、江戸時代からの伝統の技なのだろうが、時代や文化を超えて「LAWSON」やミルク缶の絵が曲面の提灯に描かれ、ろうそくの明かりで照らされているのは、考えてみるとすごい。
道路側は込み合っているが、脇から駐車場内に入ればまだ余裕。

旭川の対岸に渡ってみると、川面に提灯が映っている。暗めだけどいい雰囲気。

会場に戻ると、さっきより継ぎ竹を増やして、だいぶ しなっていた。
風は弱かったが、こんなに高くなると不安定になって、
倒れる!
と思ったら電線にひっかかった。

本番会場の竿燈大通りは、電線が地中化されているので、祭り期間中はロープを張って、観客に倒れにくいようにしている。でも、ロープをすり抜けて観客を直撃することもあるのでご注意を。竿燈はスリリングな祭りでもあるのです!
昔は、倒れた竿燈の提灯にろうそくの火が着いて燃えることがあったようだが、現在は提灯の構造が改良(風が内部を抜ける?)され、火が消えやすいようになっていると聞いたことがある。少なくとも僕は竿燈が燃えているのを見たことはない。
ぎゅうぎゅう
市役所では広い空間で悠々と竿燈が揺れていたが、こちらは狭くてひしめき合っている。本番は、太鼓の屋台(トラック)があったりして、もっと余裕があるから、これほど密集した竿燈も珍しい。

竿燈が「上手い」条件の1つに、いかにその場所に静止して、保持できるかがある。祭り期間中の昼に「妙技会」という技術競技会が行われるが、直径6メートルの円の中で演技することになっている。今日の会場はそれより明らかに狭い!
そんな条件下でも、あまり倒さずに演技していたが、終了間近に…
バサっ、バサっ、バサっ、バサっ
と1本がバランスを崩した拍子に、周りの3本も巻き添えにして倒れてしまった!
残ったのは3本(倒れた竿燈は灯が消えているのが分かる)
会場の半分以上の竿燈が同時に倒れるという、貴重な瞬間を見てしまった。
本番であれば、観光客から「キャー」と悲鳴が上がるはずだが、今日のギャラリーからは「おおっ!」とどことなくうれしそうな(?)どよめきが起こった。こういうハプニングも楽しむのが秋田っ子?

今日のように城下町で住民の前で披露するのが、本来の竿燈の姿だったはずだ。
そして川面に映った提灯、カラフルな提灯、ひしめき合って倒れる竿燈。どれも初めて見た光景だったけど、今まででいちばん楽しく見た竿燈だったかもしれない。

各竿燈会の皆さんは、あと1か月練習を積んで、本番でも楽しませてくれるのだろう。
コメント (8)
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