広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

松江市2

2009-09-09 19:50:53 | 旅行記
※この旅行記の1つ前の記事はこちら
※この旅行記を通して見たい方は、旅行記とお土産など複数のカテゴリーに入っているため、2009年9月の記事一覧からご覧ください。
話が戻るけれど、松江に着いて最初に見たものからご紹介。駅前のバス乗り場にこんな旗が揺れていた。
お殿様!
松江城築城と城下町整備が行われた5年間から400年経つのを記念した「松江開府400年祭」のキャラクター“あっぱれくん”だそうだ。公式サイトのプロフィールhttp://www.matsue400.jp/?appare
旗は英語版しかなかったようだが、ネットでおなじみの「domain(ドメイン)」って「領地、領域」という意味があるのか。ここでは「藩」かな。
あっぱれくんはほかでは見かけなかったが、
400年祭のラッピングバス(松江市営バス)もあった
ドアのある反対側は夜景の青っぽいデザインだったが、運転席側は青空の松江城と宍道湖の夕日という松江らしいデザイン。
*           *           *
松江駅北口を出てすぐ、駅の隣といっていい一等地に「松江テルサ(勤労者総合福祉センター)」があった。秋田テルサは市街地から遠く離れた御所野地区にあるが、全国的には中心部にあることが多いようだ。松江テルサは7階建ての大きなビルで、超大画面テレビがあってバス待ちなどに休憩できるロビーがあったり、バスのプリペイドカード券売機(カードもバス車体と同じような開府400年デザインだった)があったり、市民に親しまれているようだった。
左後ろが駅舎
テルサの玄関前に何やらある?
漫画「ギャートルズ」のゴン少年!

イノシシに乗ったものとマンモスを追うものがある

 
小さなブロンズ像(高さ25~40センチ)だが、精巧。水木しげるロード(後で紹介します)の妖怪像も手がけた作家の作品で、今年5月に地元ライオンズクラブが設置したそうだ。

なぜ松江にギャートルズかといえば、作者の園山俊二氏(1935-1993)が松江市出身だから。
「ギャートルズ」(一部作品では「はじめ人間ゴン」「はじめ人間ギャートルズ」)は1965年から連載された作品で、1975年前後には民放のテレビアニメにもなったそうだが、僕はまったく知らない。10年ほど前にNHKで放送されたアニメ「はじめ人間ゴン」で初めて内容を知った次第。わりと好きだった。
*           *           *
話を戻して、宍道湖の夕日を見に行く。松江市には「ぐるっと松江レイクライン」という観光地循環バス(1乗車200円均一、1日券は500円)があり、夕方の数本は一部コースを変えて宍道湖岸の「夕日スポット」を運行し、夕日見物の便を図ってくれている。

松江のバスは、市内を細かく運行する公営事業者(松江市交通局)、郊外路線の民間事業者(一畑バス)、中距離路線の民間事業者(日ノ丸バス)の3本立てで、かつての秋田市(秋田市交通局-秋田中央交通-羽後交通)に酷似している。
秋田市を始め公営交通事業を廃止・縮小する都市が多い中、市営バスを存続している松江市には興味があっていろいろ見たので、別の記事でも紹介したい。

ぐるっと松江レイクラインは、松江市交通局が専用車両で運行している。
派手!
日野自動車製の中型バスを改造した、レトロ調(?)車両。僕はこの手のデザインのバスは苦手。乗るのが恥ずかしくて…
平日の夕方とはいえ、ちゃんと観光客が乗り降りしている。僕は今からでは元を取れないので現金払いだが、他の皆さんは一日乗車券を使っていた。
後部がデッキ風になっている(窓ガラスはある)
※いすゞ製でデッキがない車両もあるようです。
液晶ディスプレイに中国語と韓国語でも案内が表示され、「まもなく右手に…」などと絶妙のタイミングで詳しい観光案内が音声合成の自動放送で流れる。「ワンマン運転の観光バス」といった感じ。
でもこの放送のアナウンサー、JR東日本秋田支社のワンマン電車の放送と同じ人(制作会社が同じなのだろう。旅行しているとたまに経験する)。「まもなく土崎です」とか言われそうな錯覚がした。

バスは市街地をぐるりと周り、大橋川を渡って、車線数の多く夕方のラッシュの宍道湖岸の国道9号線を走る。この辺りの県立美術館から嫁ヶ島辺りが夕日スポット。
9号線は「出雲往来」と呼ばれているようだ、東北では「男鹿街道」「酒田街道」とか「○○街道」と呼ぶことはあるが、「○○往来」は初耳。地域差だろうか。
夕日のアクセントになる嫁ヶ島(車窓から撮影)
肝心の夕日は、山際に雲があって、沈む前に見えなくなってしまった。下車しようかと思ったが、やめて、(このバスは方向転換して松江駅まで行くので)このまま駅へ戻ろう。
方向転換後の方が、湖沿いの車線なのでよく見える。
見物客が多い
途中、「ホテル宍道湖」という9号線沿いの地方公務員共済のホテルを通った。楽天トラベルで予約できて安かったので泊まろうかと思ったが、市街地から離れていそうなのでやめたのだった。でもこの距離(バス代200円)だし、夕日がすぐ見られるし、建物もきれいだったから泊まってもよかったな。

この「レイクライン」、大きな国道経由でダイナミックな運転だったためか、特別装備の改造車両のためか、僕が後部に座ったためか、珍しく酔いそうになってしまった。

また時間が飛びますが、実は翌日も松江市に宿泊し、この日も天気が良かったので、また夕日を見に行った。
昨日のレイクラインの乗り心地と遠回りで時間がかかったのを踏まえ、松江の地理も多少把握したので、一般路線バスで行ってみる。
松江市交通局の一般路線は初乗り150円で距離に応じて上がっていくが、「循環線」という路線は200円均一。観光客向けのレイクラインに対して、市民向けの循環バスというところだろうか。駅を中心に北側と南側に2路線あり、それぞれ内回りと外回りがある。
なお、駅から県庁や松江城に行く場合は、一般路線では200円以下の区間なので、循環バスよりも数十円安くつく。

「南循環内回り」に乗る。段差のないノンステップの新しい大型車という秋田では見られない都会的なバス。乗るのが恥ずかしい特別車よりこっちが好き。
でもお客さんは昨日のレイクラインの方が多く、こちらは4人ほど。
この路線は、湖岸の国道でなく、1本内陸の道(旧国道?)を通るので、降りるバス停がよく分からないが、見当をつけて「袖師町西」というバス停で降車。地元民ぶってバスカード(1000円で1100円分乗れる)で支払う。
松江市営バスの運転士さんは総じて感じがいい。乗車、発進、バス停通過の確認など、マイクで丁寧に案内していて気持ちがよかった。僕が降りる時も「ありがとうございました。お気を付けて」と送り出してくれた。
矢印はお日様?
湖岸に渡れる横断歩道にすぐ出たが、嫁ヶ島との位置関係ではもう少し手前で降りてもよかったかも。それ以前に、既に日が沈んだ直後だったようだ。水平線、地平線に沈むのでなく、山があるから、思ったより早く沈んでしまった。残念。
だけど暮れていく空も美しい
今日も観光客が多い。松江は「観光文化都市」というだけのことはあるようだ。
 
湖岸をのんびり歩いて、国交省の“とるぱ”こと「写真を撮るパーキング」に指定されている場所を過ぎて、県立美術館まで来た。美術館の宍道湖岸は芝生になっていて景色を眺められるほか、日の入りに合わせて閉館時間をずらしている。レイクラインも玄関まで乗り入れる。
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昨日のレイクラインのアナウンスで存在を教えてくれたのだが、夕暮れの宍道湖にたたずむのは…

こちらも園山俊二作品のキャラクター。朝日新聞連載の4コマ漫画「ペエスケ」の息子・平野平太と飼い犬ガタピシ。僕にはギャートルズよりも馴染みがある。
 
こちらは大きな石像で、「平太とガタピシのなが~い一日」というタイトル。
意図やシチュエーションは不明だが、釣りの格好の2人が宍道湖を眺めている。

像は駅前と湖岸だけだが、ほかにも園山氏のイラストは何か所かで見ることができた。秋田でいう矢口高雄、倉田よしみ両氏のような存在だ。
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ところで像の後ろの建物は、日テレ系列「日本海テレビ」の松江支社。同局の本社は鳥取市にある。
3大都市圏では都府県をまたぐ広域放送が行われるが、他地域ではその道県内だけの県域放送が通常。しかし、島根・鳥取両県の民放テレビ局はすべて、2県にまたがって放送している。他にはTBS系列山陰放送が鳥取県米子市、フジ系列山陰中央テレビが松江に本社を置く。当然ながら3局とも県名を使わない放送局名になっている。
経済基盤や地形などの要素からこうなったのだろうが、秋田と青森のTBS系とフジ系でもやればいいのに…(簡単にはいかないだろうけど)

つまり、この地域にはテレ朝系列局がない。でもケーブルテレビに加入すれば、大阪の朝日放送や岡山のテレ東系列テレビせとうちなどを視聴でき(区域外再送信)、ホテルの部屋もそうだった。
ホテルで視聴できるチャンネル
ただし、秋田ケーブルテレビのTBS系列局同様、区域外再送信チャンネルのデジタル化の予定は立っていないようだった。秋田では交渉中だというがどうなるんだろう? 地デジってめんどくさい。
右端が山陰合同銀行本店
草むらではスズムシが鳴いている。山陰も秋の気配だ。
あれ? 秋田では8月上旬から秋の虫が鳴いていたが、コオロギやウマオイばかりで、スズムシの声はしなかった(旅行から帰ったらスズムシも加わっていた)。一方、山陰はスズムシだけの独唱だ。
昼間も秋田市街に多いアブラゼミでなく、松江市街ではミンミンゼミだった。
お店、交通、テレビ、生き物、いろんな面から地域差を感じるのも旅行の楽しみ。

松江はいい街で気に入ったが、朝の風景もまたよかった。
コメント (4)
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