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水木しげるロード

2009-09-14 20:19:59 | 旅行記
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※この旅行記を通して見たい方は、旅行記とお土産など複数のカテゴリーに入っているため、2009年9月の記事一覧からご覧ください。
鳥取県境港市は人口3万5千、日本海側最大の水産都市だそうだが、今は漫画家 水木しげるの出身地として有名。
ところで、水木さんといえば「ゲゲゲの鬼太郎」だが、僕は原作(漫画)は読んだことがなく、アニメしか見ていない。僕は1985年から88年に放送され、戸田恵子が鬼太の声、吉幾三が主題歌を歌っていた第3シリーズの世代。それ以前の旧作の再放送や最近の作品もたまに見ていたから、キャラクター(妖怪)の名前程度はそれなりに知っているつもり。
ほかにも自伝を1991年にNHKがドラマ化した「のんのんばあとオレ」を見たし、「ゲゲゲ~」の元祖作品である「墓場鬼太郎」のアニメを旅行先で夜中に目が覚めて偶然見てしまったことがあった(フジテレビ系深夜番組だったが、秋田テレビではネットしなかった)。あとは昨年、NHKで水木さんのインタビューが放送され、戦争などで壮絶な経験をされながら、肩肘を張らない生き方をされているのを知った。
境港駅
駅を出てすぐにデスクで執筆する水木さんを鬼太郎のキャラクターが囲むブロンズ像「水木しげる先生 執筆中」。
水木先生と鬼太郎とねずみ男

離れた所から目玉おやじが注文を付けている
隣にはおなじみご当地ポスト
 鬼太親子がハガキに乗っている
向かいの境港警察署境港駅前交番は、
愛称「鬼太郎交番」。左の看板の照明が目玉おやじだ。
駅前からまっすぐ伸びる800メートルの通りが「水木しげるロード」。
駅前は飲食店が多い
一見、普通の地方都市といった風情ではあるが、分かりにくいが街灯が目玉おやじ型。歩道には妖怪のブロンズ像が並んでいて妖怪の世界に足を踏み入れていく。
水木さんの信条「なまけ者になりなさい」

少し進むと土産物屋などが増え、観光地っぽくなる
郵便局があり、建物は(瓦屋根で丸ポスト設置だったが)普通の特定郵便局だが、局名が「水木ロード郵便局」(愛称ではなく正式局名)。所在地名(境港)が入らない上に、個人名が入る(しげるは入らないけど)局名は珍しい。
周辺に「妖怪ポスト」(駅前のブロンズ像ポストではなく、漫画と同じ形のポスト)がいくつかあり、そこから投函すると絵入りの消印を押してくれるそうだ。

このロードの妖怪ブロンズ像は、最初は市が地元商店街活性化のために設置したらしく、1993年以降数を増やし、現在は120体。
年間観光客数は1993年に2万1千人だったが、2007年には100万人を突破、昨年8月には延べ1000万人(1993年起算)を突破し、鳥取砂丘をしのぐ一大観光地になっている。

数メートル間隔で両側に像が並ぶので、見落としてしまう恐れがあるから、ネットや案内所などでマップを入手した方がいい。スタンプラリーもある。
※この日は晴天だったため、建物の影や逆光により写りがよくないものもあります。
ねこ娘 ブロンズ像は思っていたより小ぶりでかわいらしい
松江駅前のギャートルズ像と同じ作家らしいが、同様によくできている。市内の企業が寄贈した像もあるようだ。
1つ1つに(おそらく妖怪名の)点字のシールが貼られており、触って楽しんでもらうことも考慮しているようだ。
こちらは本物。喫茶店の“看板黒ネコ”

ぬりかべ こなき爺

これは妖怪じゃない。作中でよく妖怪の被害に遭う人だ。「サラリーマン山田」さんだそう。
主役級キャラクターは、ポーズの異なるほぼ実物大の大きな像が複数ある。
 橋のたもとに

さらに進むとアーケード

 照明も、

時計の文字盤も妖怪の世界

ロードのいちばん奥が「本町アーケード」
このアーケードの中に2003年開館の「水木しげる記念館」があった。
 
入館料は700円だが、クラブオフ(クレジットカードや保険加入者、オリンパスユーザーなどが入れる優待サービス)会員は100円引き。他にも、周辺施設の入場券半券提示の割引制度や入場券をセットにした宿泊プランを提供するホテルがあった。

館内は水木さんの半生と妖怪に関する展示が中心。
暗い部屋で妖怪をリアルに展示した部屋に「ぬりかべ」がいたけど、なるほど、実際に出くわしたらこんな感じなんだろうなと、アニメとは違う存在感を感じた。
日本の妖怪は、人間の自然に対する畏れと「夜に出歩くと危ないよ」「掃除しないといけないよ」といった戒め的な教訓が合わさったものが多いようだ。
「ゲゲゲの鬼太郎」登場人物のプロフィールや本が読めるコーナーもあり、おもしろかった。一部アニメでのエンディング曲「カランコロンの歌」の「虫たちが鬼太郎をたたえる」という歌詞、最近のアニメ版の「目玉おやじがお茶やコーヒーの“茶碗風呂”に入る」といったのは、原作からの設定に基づいたエピソードであることが分かるなど、鬼太郎の世界は奥が深い。
僕は40分ほどかけて見たが、鬼太郎を知っている人なら見た方がいいと思うし、ここを見て妖怪の知識を仕入れてからブロンズ像を見ると違った楽しみ方ができると思う。

記念館前の公衆トイレのほか、一部店舗が“緊急用”としてトイレを開放していて、共通のピクトグラムがあった。
男性は鬼太郎、女性はねこ娘だが、よく見ると車いすは目玉おやじ、赤ちゃんはこなき爺だ。よく考えている。

水木しげるロードは、平日なのに観光客が常に歩いていて、不況だとか新型インフルエンザ流行を感じさせない。松江もそうだったが、団体客は少なく、個人のグループが多い。
ゲゲゲの鬼太郎は、11年周期でアニメがリメイクされ、今や中年から大学生まで馴染みのある国民的作品であるのが功を奏していると思うが、それにしても今時の地方都市でこれだけの人を集めているのはすごい。
地方都市の駅前商店街といえばシャッター通りなのが相場で、境港も以前はそうだったようだ。でも今は空き店舗が埋まっているそうで、実際、観光地化されて、昔ながらの商店街とは少し違うが、寂しい商店街のイメージはなかった。秋田の広小路の方が寂しい。
通りにブロンズ像を置くことで、車で来た人であっても、「必ず降りて歩かないと来た意味がない」わけで、それが人通りを増やしているのもあるだろう(駐車場は不足気味なようで、連休などは公共交通利用が無難)。やはり「車を使わず歩く町」は賑やかでいい。

鬼太郎や妖怪をモチーフにしたお菓子は、商店街の店だけで売るものもあるし、レトルトカレーやグッズは豊富にあり、駅の交流館や米子駅などに専門売店があるほど。経済効果は相当のものだろう。
2時間ほど境港に滞在して、再び「ねずみ男列車」で米子へ戻り、山陰本線で鳥取市へ向かう
コメント (2)
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