今回の旅行では、帰りのルート上で2つの駅弁を食べた。いずれも僕が好きな駅弁で、これが食べられるからこのルートにした、というのも実はある。
この2つはいずれもロングセラーの幕の内タイプ。新作や特産素材の駅弁もいいかな、と目移りしそうになるが、やっぱりこれを食べたくて、結局いつも同じものを買ってしまう。
【米原駅・湖北のおはなし(井筒屋)】1100円
滋賀県米原(まいばら)は、交通の要衝。「のぞみ」は通過するものの、北陸方面へ分岐する琵琶湖北岸の町。
国鉄末期(JR初期?)頃、東海道新幹線各駅で目玉になる駅弁を売り出す「新幹線グルメ」というプロジェクトがあった。現在はそんなシリーズ名は聞かなくなり、弁当自体が発売終了になったものもあるが、その米原版で現在も発売が続いているのが、この「湖北のおはなし」。「湖北地方の名産物を昔ながらの味に仕上げている、なつかしいおばあちゃんの味」というコンセプト。
数量限定(300個?)で午前10時? 発売開始らしい。でも、今まで昼前に行って買いそびれたことはない。米原駅は、新幹線ホーム、在来線ホームのそば屋、売店など、何か所も売り場があるので、探せばどこかで残っている可能性が高い。
表示欄は「幕の内弁当」と記載されているが、幕の内で片付けるにはもったいないほど手が込んでいる。包装からしてこの通り。

唐草模様の風呂敷(実際は不織布)に包まれ、紙やスチロールの箱でなく、木枠の箱をヨシのすだれでくるんだものが容器。
中味
色合いは地味だけど、なんていうか立体感があって手作りっぽく見えませんか?
まずご飯。米自体は秋田のと比べてしまうとどうしようもないが、手が込んでいる。下に桜の葉の塩漬けが敷かれたおこわで、季節により具材が違う。これは夏バージョンの枝豆。ほかに栗、黒豆、山菜と正月だけは赤飯というバリエーションがあるらしい。
そしておかず
説明書きによれば、粒コショウでローストした鴨肉が主役だとのこと。脇役もかしわの鍬焼き風、永平寺ゆかりのこんにゃく、ネギと油揚げのぬた、里芋など。卵焼きも既製品の小っちゃいやつでなく、大きくて手作り風だし、梅干しもカリカリでない高そうなもの。赤カブの漬け物も好きだ。幕の内なのに脂っこいものがなく、それでいてどれもおいしい。
ご飯の左上にサイコロがある。サイコロキャラメルではなく、口直しということで飴が1つ入っている。ニッキの味だったが、以前は醤油味だった気がする。サイコロは必ず「5」の目が見えるように入っており、「ご縁があるように」との願いが込められているそうだ。こういう細かな気遣いが素晴らしい。
【新津駅、新潟駅・鮭の焼漬弁当(三新軒)】990円
新潟駅では、神尾弁当部という業者と三新軒という業者が駅弁を販売している。
そのうち三新軒は、元々新津駅で駅弁を売っていたが、新潟と新発田(しばた)に支店を出し、後にそれぞれ独立して別の駅弁を作る別会社(新潟三新軒、新発田三新軒)となったようだ。しかし、様々な事情から、3社とも利用客が圧倒的に多い新潟駅に出店するようになり、現在は新潟駅では3つの三新軒の商品が買える。なお、新発田三新軒は現在は新発田駅では販売していないとのこと。

ここで紹介するのは、新津の三新軒の商品。包装には「本家」と書かれていた。ほかにも雪だるま型の容器の弁当が有名。

50年の歴史があるというこちらは、一見すると普通の幕の内弁当。あまり華やかでなさそうにも思えるが。
卵焼きの右にある物体がメイン
新潟の郷土食、「鮭の焼漬」といい、焼いた銀鮭を一晩秘伝のタレに漬け込んだもの。
これがとてもおいしい。ちょっとしょっぱい気もするが、ファンが多いらしく、焼漬を真空パックにしたお土産&おかず用製品も出している。(包装紙の裏面がFAX注文票になっている)
他のおかずもおいしい。卵焼きは、湖北のおはなしのとは違うが、これも大きな手作り風。枠にぴったっとジャストフィットしているのはコロッケ(公式サイトには「カニコロッケ」とあるけどそうだったっけ?)。

筋子と大豆、なぜかメンマ(竹の子の煮物)と缶詰パイン(ベビーパイン)も入っている。
そしてなんといってもご飯がおいしい! ササニシキなのかな?【2024年12月20日追記・時期によっては、掛け紙に「コシヒカリ」と大きく表示されることもあり、コシヒカリを使っているようだ。】
これほどご飯そのものがおいしい駅弁は、ほかには秋田駅の「あきたこまち弁当(関根屋)」しか知らない(多少地元ひいきかも)。さすが米所だ。
おかずがなくても食べられるほどおいしいご飯だが、焼漬や筋子がしょっぱめだから、さらに進んでしまう。
見た目の質素さや味の濃さで、好みが分かれるかもしれないが、お値段も手頃だし、個人的には大好き。新潟の食べ物といえばこの弁当と笹団子といってもいい。
包装には、“デラックス”と書かれているが、廉価版があるわけではない(530円の幕の内はあるが、ただの焼鮭)。逆に、これを高価にした、いくらと焼漬をセットにした商品などもあるようだが、焼漬を味わうにはこれで充分。【2024年12月20日追記・2017年から「デラックス」表記がなくなったが、中身は変わっていないとのこと。】
僕が行った時は、新潟駅の新幹線改札口前の売店にはなく、在来線中央改札口前の売店で購入した。また、大宮駅と東京駅にある、各地から駅弁を輸送して売る「旨囲門」でも扱っている(入荷時刻は遅いはず)。さらに、秋田発着の特急「いなほ」の車内販売でも扱っているのを見たことがある。
奇抜な新製品もいいけれど、安心して食べられ、おいしい駅弁が末長く残ってほしい。
この2つはいずれもロングセラーの幕の内タイプ。新作や特産素材の駅弁もいいかな、と目移りしそうになるが、やっぱりこれを食べたくて、結局いつも同じものを買ってしまう。
【米原駅・湖北のおはなし(井筒屋)】1100円
滋賀県米原(まいばら)は、交通の要衝。「のぞみ」は通過するものの、北陸方面へ分岐する琵琶湖北岸の町。
国鉄末期(JR初期?)頃、東海道新幹線各駅で目玉になる駅弁を売り出す「新幹線グルメ」というプロジェクトがあった。現在はそんなシリーズ名は聞かなくなり、弁当自体が発売終了になったものもあるが、その米原版で現在も発売が続いているのが、この「湖北のおはなし」。「湖北地方の名産物を昔ながらの味に仕上げている、なつかしいおばあちゃんの味」というコンセプト。
数量限定(300個?)で午前10時? 発売開始らしい。でも、今まで昼前に行って買いそびれたことはない。米原駅は、新幹線ホーム、在来線ホームのそば屋、売店など、何か所も売り場があるので、探せばどこかで残っている可能性が高い。
表示欄は「幕の内弁当」と記載されているが、幕の内で片付けるにはもったいないほど手が込んでいる。包装からしてこの通り。


唐草模様の風呂敷(実際は不織布)に包まれ、紙やスチロールの箱でなく、木枠の箱をヨシのすだれでくるんだものが容器。

色合いは地味だけど、なんていうか立体感があって手作りっぽく見えませんか?
まずご飯。米自体は秋田のと比べてしまうとどうしようもないが、手が込んでいる。下に桜の葉の塩漬けが敷かれたおこわで、季節により具材が違う。これは夏バージョンの枝豆。ほかに栗、黒豆、山菜と正月だけは赤飯というバリエーションがあるらしい。

説明書きによれば、粒コショウでローストした鴨肉が主役だとのこと。脇役もかしわの鍬焼き風、永平寺ゆかりのこんにゃく、ネギと油揚げのぬた、里芋など。卵焼きも既製品の小っちゃいやつでなく、大きくて手作り風だし、梅干しもカリカリでない高そうなもの。赤カブの漬け物も好きだ。幕の内なのに脂っこいものがなく、それでいてどれもおいしい。
ご飯の左上にサイコロがある。サイコロキャラメルではなく、口直しということで飴が1つ入っている。ニッキの味だったが、以前は醤油味だった気がする。サイコロは必ず「5」の目が見えるように入っており、「ご縁があるように」との願いが込められているそうだ。こういう細かな気遣いが素晴らしい。
【新津駅、新潟駅・鮭の焼漬弁当(三新軒)】990円
新潟駅では、神尾弁当部という業者と三新軒という業者が駅弁を販売している。
そのうち三新軒は、元々新津駅で駅弁を売っていたが、新潟と新発田(しばた)に支店を出し、後にそれぞれ独立して別の駅弁を作る別会社(新潟三新軒、新発田三新軒)となったようだ。しかし、様々な事情から、3社とも利用客が圧倒的に多い新潟駅に出店するようになり、現在は新潟駅では3つの三新軒の商品が買える。なお、新発田三新軒は現在は新発田駅では販売していないとのこと。

ここで紹介するのは、新津の三新軒の商品。包装には「本家」と書かれていた。ほかにも雪だるま型の容器の弁当が有名。

50年の歴史があるというこちらは、一見すると普通の幕の内弁当。あまり華やかでなさそうにも思えるが。

新潟の郷土食、「鮭の焼漬」といい、焼いた銀鮭を一晩秘伝のタレに漬け込んだもの。
これがとてもおいしい。ちょっとしょっぱい気もするが、ファンが多いらしく、焼漬を真空パックにしたお土産&おかず用製品も出している。(包装紙の裏面がFAX注文票になっている)
他のおかずもおいしい。卵焼きは、湖北のおはなしのとは違うが、これも大きな手作り風。枠にぴったっとジャストフィットしているのはコロッケ(公式サイトには「カニコロッケ」とあるけどそうだったっけ?)。


筋子と大豆、なぜかメンマ(竹の子の煮物)と缶詰パイン(ベビーパイン)も入っている。
そしてなんといってもご飯がおいしい! ササニシキなのかな?【2024年12月20日追記・時期によっては、掛け紙に「コシヒカリ」と大きく表示されることもあり、コシヒカリを使っているようだ。】
これほどご飯そのものがおいしい駅弁は、ほかには秋田駅の「あきたこまち弁当(関根屋)」しか知らない(多少地元ひいきかも)。さすが米所だ。
おかずがなくても食べられるほどおいしいご飯だが、焼漬や筋子がしょっぱめだから、さらに進んでしまう。
見た目の質素さや味の濃さで、好みが分かれるかもしれないが、お値段も手頃だし、個人的には大好き。新潟の食べ物といえばこの弁当と笹団子といってもいい。
包装には、“デラックス”と書かれているが、廉価版があるわけではない(530円の幕の内はあるが、ただの焼鮭)。逆に、これを高価にした、いくらと焼漬をセットにした商品などもあるようだが、焼漬を味わうにはこれで充分。【2024年12月20日追記・2017年から「デラックス」表記がなくなったが、中身は変わっていないとのこと。】
僕が行った時は、新潟駅の新幹線改札口前の売店にはなく、在来線中央改札口前の売店で購入した。また、大宮駅と東京駅にある、各地から駅弁を輸送して売る「旨囲門」でも扱っている(入荷時刻は遅いはず)。さらに、秋田発着の特急「いなほ」の車内販売でも扱っているのを見たことがある。
奇抜な新製品もいいけれど、安心して食べられ、おいしい駅弁が末長く残ってほしい。