広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

松江を見習え

2009-09-15 23:08:08 | 秋田のいろいろ
旅行記を中断して(関連はありますが)、秋田のバスの話題です。
秋田県の公式サイト「美の国あきたネット」を見ていたら、10月と11月に1日ずつ、秋田市の渋滞緩和を目指した「ノーマイカーデー社会実験」を行うという。当日は公共交通での通勤を推進するため、一部路線のバスを増便するそうだが、その社会実験自体は今回は関係ないお話。【16日追記】社会実験を実施するのは県ではなく、国土交通省秋田河川国道事務所だった。

そのホームページ内に、(郊外からのバス通勤者のためと思われるが)お得な乗車券の紹介として、「1日乗り放題券(900円)もあります」とあった。
あれ? 900円? 一日乗りほうだい券って820円だったはず
バス会社による7月の運賃改定関連の告知文書類では、西部地区の「豊浜ふれあい号」で乗りほうだい券が使えなくなる旨の掲示はあったが、それ以外には乗りほうだい券に関する記述はなく、すなわち乗りほうだい券は値段据え置きととらえていたけれど…

バス会社の公式サイトにアクセスする。分かりにくい場所に乗りほうだい券の案内があるが、
大人900円
やっぱり値上げしたか!

値上げ自体はやむを得ないので、これを否定するつもりはまったくない。だが、たかが80円の値上げとはいえ、このバス会社は周知・告知をしない(できない?)のはなぜなのだろう。
今回の場合、通常運賃値上げの告知をバスターミナルや全車内に掲示したのだから、それに一文を加えれば済む話。公式サイトだって、トップページのトピックスに一行追加すればいい。

まあ、大手メーカーのヨーグルトの減量(=実質的値上げ)だってあまり大きく告知はされず、僕のように知らずに買った人もいるから、地方企業の、ましてこのバス会社は毎度のことなので仕方ない気もするが、本当に案内がヘタクソなバス会社だ。
時刻表検索の新屋支所関連の名称変更もまだ反映されていない(ドンキホーテ開店が変更のチャンスだが…)。
【24日追記】同社公式サイトがダイヤ改正予告など若干更新されており、乗りほうだい券の値段が「820円」になぜか戻っていた。おそらく更新時の作業ミスと思われるが、10月1日にダイヤ改正もあることだし、しばらく様子を見てみる。
【10月5日追記】10月1日時点では「820円」のままだったが、5日には「900円」に修正されていた。


ところで、先日旅行した島根県松江市は、かつての秋田市のように、中心部などを公営バス(松江市交通局)が、郊外路線を民間バス(一畑=いちばたバス)が担当しており、松江駅周辺など市街地では2者が競合する。
かつての秋田市の牛島・新国道・八橋~山王のような状態だ。秋田では回数券が相互で共通利用できたり、バス停のポールが1本に集約されたりはしたが、バス接近表示は市営バスだけだったし、ポールは共同でも貼られる時刻表は別々だった(別事業者なのだからそれで当然のことだと僕は思っていた)。

秋田のバス接近表示は、
秋田市営バスの接近表示(2002年、大町二丁目)
2つ前の停留所を通過するとオレンジのランプが点灯、最終便通過後(30分間?)は緑のランプが点灯していた。無線を利用したこのようなバスロケーションシステムは、秋田市交通局が世界ではじめて実用化したそうだが、交通局の廃止・民間移管時は引き継がれず、今はただの照明付き(照明すら切れている場所もある)バス停に成り下がってしまった。

松江では、
バス接近表示付き停留所(県民会館前)
このバス停は一方通行の関係で、両方向のバスが同じ停留所を通るらしい。各方向に5行ずつのLED文字表示枠があり、バスが3つ前の停留所を通過した時点から、矢印の点灯と、路線名と行き先のスクロール表示で知らせてくれる。

昼間は暗くてやや見にくいし、装置がかなり大型でお値段が高そう。市営バスだけかな? と思ったが、なんと市営、一畑両者が対応していた! そのため、路線名とともに事業者名(市営/一畑)も表示されていた。これなら次にどのバスがくるか非常に分かりやすい。※他の停留所で一畑バスが接近しても表示が出なかったような気もするので、バス停・車両・路線などによっては対応していないものがあるのかもしれません。

もっとびっくりしたのが時刻表。
ここは1枚がタテ1メートルほどあり、14ポイントくらいの文字のカラー印刷
大きさはさておき(A4くらいの普通サイズの停留所もあったので)、その内容。
方面別に表が分けられ、表の中で青文字と赤文字がある
表の見出しにバス会社名が書いておらず、欄が多くて何だかゴチャゴチャ見にくいなと思ったが、よく見たら感動した!!
1行につきバス1本です
市営バスと一畑バスという競合会社どうしが1つの時刻表に収まって、来る順番に並んでいる!!!
青文字が市営、赤文字が一畑。例えば松江駅に行きたい人は、「松江駅方面」の時刻表1枚を見るだけで、すべてのバスダイヤが分かってしまう。接近表示もあるし、バスカード(回数券に相当)も共通だから、2つのバス事業者が競合していることをほとんど意識せずに、あたかも1つのバス会社のように利用できる。
すごい。とても便利だ。各社としては自社を利用してほしいのがホンネだろうし、作成や維持にお金や労力はかかっているだろうけれど、これこそ「乗客の立場に立った案内」であり、こういうことをできるのが真の「公共交通事業者」だろう。

秋田のバス会社は1社しかないのに、営業所や車両運用別に時刻表を分けて作っており、一部バス停では、同じ経路で秋田駅に行くバスを調べるのに、4枚もの時刻表を見比べなければ次の時刻が分からないのを記事にしたのだけど、この松江の素晴らしい時刻表を見てしまうと、秋田の時刻表が腹立たしくなる。松江を見習ってほしい。

松江市内に銀行の店舗移転により名前が変わったバス停があった。ここは市営と民間2社の3者共同バス停(秋田市でいえば羽後交通や秋北バスが停まるバス停みたいなもの)。
変更の告知が、3者連名になっている。
秋田では、1社単独なのに、バス停に告知すら貼らなかった(一部車内に掲示しただけ)。松江を見習ってほしい。

松江には全路線対象のフリー乗車券の制度はないのだが、もし、それがあって秋田のように値上げする状況になったとしたら、充分に告知をしてくれることだろう。
※後日談はこちら
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする