「弘前城菊と紅葉まつり」に続いて、11月3日の弘前公園とその周辺。
菊まつり会場の植物園を後に、公園内を散策。
目立った催しは行われておらず、石垣や市民会館の工事が行われていて通れない箇所が一部ある。
それでも観光客が多く、欧米系外国人も何人も見かけた。県内の三沢から来た人もいるのかもしれないが、やっぱり国際的観光地だ。
そして、弘前公園はやっぱり広い。感覚としては秋田市の千秋公園より少し広いかも。ただし、高さは千秋公園のほうがあって、どっちの公園にしても園内全部を回ると、それなりの体力と時間を要する。
※以下、実際に回った順序とは異なる順で紹介します。定番撮影地点ではあえて撮影しなかった箇所もあります。
園内は紅葉の盛り。弘前公園といえば桜。
西濠の桜のトンネルも紅葉
上の写真は撮影スポットでもある春陽橋。長さ30メートルで公園内で最長の橋とのこと。
桜の紅葉といえば、上の写真のように赤~オレンジ色に紅葉するソメイヨシノを連想する人が多いかと思う。
弘前公園内には、シダレザクラも多数ある。この紅葉(黄葉)がとても美しかった。シダレザクラがこんな風に黄葉するとは知らなかった。
紅葉でなく黄葉ですね
イチョウよりは濃い(あるいは若干赤色が入る?)黄色。葉っぱがソメイヨシノより少し大きいし、枝垂れているからボリューム感があって、見事。園内の至る所で見られた。
2011年末の大雪で折れてしまった「二の丸大枝垂れ」は、だいぶ小さくなったものの元気そう。
黄葉はまだしていなかった
無料入場券を活用して、本丸へ。天守閣にも入ることができる。
天守閣は昔、本丸が無料だった時代から有料だったが、月に1回だか無料開放される日があって入ったことがあった。その時以来、2度目。
全国的に昔から残るお城に入る時は、靴を脱いでスリッパに履き替える所が多いが、弘前城は床面にマットが敷かれていて、土足で入れる。階段が急で天井が低いのはよそと同じ。
3階建てのてっぺんには、たまたま誰もおらず、独占した気分。
天守閣からの眺め
紅葉した木々の向こう、正面に岩木山がかすかに見えた。園内の木々に隠れて、街並みはさほど見えない。
本丸西端の蓮池越しに岩木山を望める崖の上
※対岸左側の1本イチョウを覚えておいてください
蓮池は「蓮池濠」とも呼ばれるそうだが、一面に枯れたハスが。秋田の千秋公園外堀のハスも近年特に繁茂しているが、ここも昔はこれほどではなかったような…
北の郭へ移動。内堀と下乗橋(橋の上が天守閣の撮影スポット)、それに天守閣が見える隠れた撮影スポット「館神跡」。
こちらの水面を覆うのはスイレンかな
有料区域を出て、西濠と蓮池の間に挟まれた「西の郭」。ここも公園内ではマイナーな場所だろう。
蓮池のほとり。対岸の上がさっきいた本丸
本丸を見上げる斜面というか崖には、モミジが多いようだ。
本丸から見えた、1本の高いイチョウがあった。冒頭の西濠の写真左側にも写っている。これが西の郭に生えている。
この木
推定樹齢300年以上、幹周り6メートルの雄木。樹高は現地の表示では約32メートル、弘前市みどりの協会ホームページでは15.7メートルと大きく異なる。
※なお、公園内二の丸東門にあるイチョウは樹齢400年、幹周り7メートル超で、弘前市内でいちばん太いイチョウとのこと。
根元は、
根っこ?
この木は元々は土塁に生えていたが、その土塁が壊された時に根が露出してそのままになっているそうだ。イチョウでたまに見られる「気根」とは違い、本当に「根」なわけか。下のほうはまだ黄葉していなかったようだ。
【2014年11月8日追記】陸奥新報によれば、この木は「根上がりイチョウ」と呼ぶのだそうだ。
弘前公園の南西側(市民会館側入口)の斜め向かいにある「藤田記念庭園」へ。初めて入ったけど、生け花の展示会が行われていてやや混んでいたのと、あまり時間もなくてざっと。
弘前出身の実業家で日本商工会議所初代会頭だった藤田謙一という人が、大正時代に作った別荘。庭園や洋館、和館など登録有形文化財が多数残る。2つの町にまたがって高低差を活かした設計になっている。
低い所の日本庭園
高いほうを見る
低いほうを見下ろす
うっすらと岩木山が見えたので、天気が良ければ、素晴らしい眺めなんでしょう。
さて、菊まつりに合わせて、弘前公園周辺では、ひっそりとある催しが行われていた。
弘前市内には、歴史を感じさせる古い建物が多く存在し、現役で使われているものも珍しくない。(新しもの好きの県民性のためか、古い建物をすぐにぶっ壊してしまう秋田とは対照的)
そこで弘前市では、「趣のある建物」指定制度というのを設け、文化財には指定されていないものも含めて、弘前の風情を醸し出している古い建物を紹介する取り組みを行っていて、41件が指定されている。(弘大外国人教師館も指定)
そのうち、弘前公園近隣にあって弘前市が管理し、普段は内部非公開の建物2つが、菊まつり期間中に無料公開された。(さくらまつりの時にも行われたようだ)
1つは、弘前市役所敷地内にある「旧第八師団長官舎」。国登録有形文化財で大正6年築。
少し前まで市役所の裏側にあって、なんとなく目に入った記憶しかなかった建物だけど、いつの間にかお堀沿いのバス通りに面した位置(本庁舎の西隣。間の通路を無料循環バスが通った)に移築されていた。外構工事が行われていて、ちょっと入りづらい。
警備員が配置されていて、靴を脱いで上がる。
この建物、ずっと下白銀町に建っているのだが、その中で場所が3度変わっている。用途も時代とともに変遷している。
元々は今の市役所敷地の北東角、すなわち市役所正面玄関、交差点、循環バス停留所がある広場風の辺りに建てられ、旧陸軍第八師団長官舎として使われた。終戦後5年間は進駐軍の軍政官官舎。
その後、弘前市に払い下げられて、市長公舎に転用。昭和33(1958)年の市役所新庁舎建設に伴い、3分の2を解体した上で、市役所中庭に移築。(いつまで市長公舎だったのかは不明)
そして昨年度、老朽化が激しかったため保存修理を行い、多くの人の目に触れる道路沿いに再移転されたとのこと。
往時の3分の1とはいえ、役目が変わっても建物が残ったのは、弘前の人たちの心意気によるものだろうか。
内部は、当初とは異なり(減築されたのだから当然だけど)、応接室、会議室、8畳の和室×2など。流しやトイレは、おそらく現代のものが使用できる状態で整備されているようだ。
会議室と和室の縁側
それでも、ちょっと豪華な会議室やサザエさん家みたいな縁側には、充分に歴史を感じさせられる。
※2015年春から、この建物にスターバックスコーヒーが入ることになった。この記事中ほどにて。
もう1つの建物は、弘前公園の北西角・西濠の桜のトンネルの北端。(冒頭の写真を撮影した付近)
何年も前、ここにモダンで味があるけれどボロっちい洋風っぽい建物があるのに気づいた。火の見櫓があるので消防関係の建物のようだが、使われていないよう。いずれ解体される運命なんだろうなと思っていた。
ところが、さすが弘前。その建物が趣のある建物に指定され、見事によみがえった!
今回の公開の資料(財産管理課作成)では「旧紺屋町消防屯所」という名称だが、趣のある建物は「旧弘前市消防団西地区団第四分団消防屯所」で指定(都市政策課管轄)されている。
高さ14.3メートルの火の見櫓付きで昭和8年頃築。地元の名士が寄贈したという。
当時は警察も市の管轄だったため、消防署(消防機械置場)と警察署(派出所)を兼ねた建物で、作家・寺山修司の父も勤務したとか。
左が派出所、右が消防機械置場
派出所としては1982年まで使われ、消防屯所としてはいちおう2004年までは使われて、2008年に町会から市へ寄贈、2011年に補修整備された。
昔の姿を思えば、こんなにきれいになったのがうれしいような、ちょっとよそよそしく思えてしまうような。【18日追記】改修前は屋根はくすんだ小豆色みたいな色だった。それが鮮やかな赤になったのが、外見上のいちばんの相違。
内部は奥のほうに6畳と12畳半(集会室)の和室。
和室の窓からは、桜並木がよく見える
消防機械置場から。奥が集会室
手前に見えるはしごで火の見櫓へ上がる(上は非公開)。
半鐘は警察のものだったらしい
桜のトンネル側からは、建物裏側=和室の窓が見えるわけだが、洋風な表側と違って、
ぐっと和風
こちらに詰めていた警備会社の方からは、いろいろと説明していただけ、なかなか勉強になった。
だけど、ここでも見学者は僕1人だけ。公園の端っこに背中向きの立地ということはあるにせよ、せっかくの期間限定公開がもったいない。もっと宣伝すれば、もっと人が来てくれるはず。
市役所内で担当課が違うとはいえ、わざわざ期間を合わせてあるのだから菊まつりのパンフや入場券に案内を入れるとか。
※盛岡市の紺屋町にも消防詰め所が残っている。
なお、弘前市財産管理課の今回の公開についてのホームページでは、師団長官舎のほうは「特別公開」、消防屯所のほうは「一般公開」になっている。公開時間帯の開始と終了が30分ほど前後するのと、受託した警備会社くらいしか違いがなさそうだが、何か意味があっての名称の違いでしょうか?
今回の弘前訪問では、トランジットモール(の無料バス)、大鰐線利用者の特典、そして建物の公開と、おトクで貴重な体験ができた。事前に情報を集めたかいがあったと自画自賛しようとしていたら、ショッキングな情報が。
この日(2日から4日)、重要文化財「弘前城二の丸辰巳櫓」(前回の記事で、菊まつり会場からお堀越しに見えていたもの)の公開も行われていたそうだ!
期間が短いから、これこそ行くべきだったかもしれない。ネット上にはいちおう出てはいたが見落としていたし、公園内に看板がなかったのか、あっても見落としてしまったのだろうか。悔しい。
それにしても、弘前市に限らず秋田市など多くの自治体共通なのだけど、ネット上において市単位の観光情報が、市のホームページ、市関連の観光団体(観光コンベンション協会等)のページ、さらに観光に特化したサイト(弘前感交劇場や秋田市のアキタッチ等)、おまけにツイッターにフェイスブック等々、散逸していて、それらの間で情報が異なる(出ているサイトと出ていないサイトがある)のが困る。一本化するとか、せめて情報を共通化するとかするべきだと思う。
前回書き忘れたけれど、「弘前城菊と紅葉まつり」ってちょっと変なネーミング。
弘前市では、弘前城址のことは「弘前公園」と呼んでいて、公園(城跡)全体を指して「弘前城」とは呼ばないはず。例外的なのが「弘前城植物園」と「弘前城菊と紅葉まつり」だと思う。
そして、「弘前城菊と紅葉まつり」では、公園全体が会場なのかとか、天守閣の周りにも菊が飾られているのかと誤解されるおそれもある。500円の共通入場券を買わないでしまった場合、植物園と天守閣ではそれぞれ300円の入場料がかかってしまう。
あと、以前、どこかのテレビ局のアナウンサーが「ひろさきじょうぎくと~」つまり「弘前城菊」というものがあるかのように読んでしまった(すぐに読みなおしたけど)ことがあった。区切りが分かりづらく、長ったらしい。
弘前市では、弘前城址のことは「弘前公園」と呼んでいて、公園(城跡)全体を指して「弘前城」とは呼ばないはず。例外的なのが「弘前城植物園」と「弘前城菊と紅葉まつり」だと思う。
そして、「弘前城菊と紅葉まつり」では、公園全体が会場なのかとか、天守閣の周りにも菊が飾られているのかと誤解されるおそれもある。500円の共通入場券を買わないでしまった場合、植物園と天守閣ではそれぞれ300円の入場料がかかってしまう。
あと、以前、どこかのテレビ局のアナウンサーが「ひろさきじょうぎくと~」つまり「弘前城菊」というものがあるかのように読んでしまった(すぐに読みなおしたけど)ことがあった。区切りが分かりづらく、長ったらしい。
菊まつり会場の植物園を後に、公園内を散策。
目立った催しは行われておらず、石垣や市民会館の工事が行われていて通れない箇所が一部ある。
それでも観光客が多く、欧米系外国人も何人も見かけた。県内の三沢から来た人もいるのかもしれないが、やっぱり国際的観光地だ。
そして、弘前公園はやっぱり広い。感覚としては秋田市の千秋公園より少し広いかも。ただし、高さは千秋公園のほうがあって、どっちの公園にしても園内全部を回ると、それなりの体力と時間を要する。
※以下、実際に回った順序とは異なる順で紹介します。定番撮影地点ではあえて撮影しなかった箇所もあります。
園内は紅葉の盛り。弘前公園といえば桜。
西濠の桜のトンネルも紅葉
上の写真は撮影スポットでもある春陽橋。長さ30メートルで公園内で最長の橋とのこと。
桜の紅葉といえば、上の写真のように赤~オレンジ色に紅葉するソメイヨシノを連想する人が多いかと思う。
弘前公園内には、シダレザクラも多数ある。この紅葉(黄葉)がとても美しかった。シダレザクラがこんな風に黄葉するとは知らなかった。
紅葉でなく黄葉ですね
イチョウよりは濃い(あるいは若干赤色が入る?)黄色。葉っぱがソメイヨシノより少し大きいし、枝垂れているからボリューム感があって、見事。園内の至る所で見られた。
2011年末の大雪で折れてしまった「二の丸大枝垂れ」は、だいぶ小さくなったものの元気そう。
黄葉はまだしていなかった
無料入場券を活用して、本丸へ。天守閣にも入ることができる。
天守閣は昔、本丸が無料だった時代から有料だったが、月に1回だか無料開放される日があって入ったことがあった。その時以来、2度目。
全国的に昔から残るお城に入る時は、靴を脱いでスリッパに履き替える所が多いが、弘前城は床面にマットが敷かれていて、土足で入れる。階段が急で天井が低いのはよそと同じ。
3階建てのてっぺんには、たまたま誰もおらず、独占した気分。
天守閣からの眺め
紅葉した木々の向こう、正面に岩木山がかすかに見えた。園内の木々に隠れて、街並みはさほど見えない。
本丸西端の蓮池越しに岩木山を望める崖の上
※対岸左側の1本イチョウを覚えておいてください
蓮池は「蓮池濠」とも呼ばれるそうだが、一面に枯れたハスが。秋田の千秋公園外堀のハスも近年特に繁茂しているが、ここも昔はこれほどではなかったような…
北の郭へ移動。内堀と下乗橋(橋の上が天守閣の撮影スポット)、それに天守閣が見える隠れた撮影スポット「館神跡」。
こちらの水面を覆うのはスイレンかな
有料区域を出て、西濠と蓮池の間に挟まれた「西の郭」。ここも公園内ではマイナーな場所だろう。
蓮池のほとり。対岸の上がさっきいた本丸
本丸を見上げる斜面というか崖には、モミジが多いようだ。
本丸から見えた、1本の高いイチョウがあった。冒頭の西濠の写真左側にも写っている。これが西の郭に生えている。
この木
推定樹齢300年以上、幹周り6メートルの雄木。樹高は現地の表示では約32メートル、弘前市みどりの協会ホームページでは15.7メートルと大きく異なる。
※なお、公園内二の丸東門にあるイチョウは樹齢400年、幹周り7メートル超で、弘前市内でいちばん太いイチョウとのこと。
根元は、
根っこ?
この木は元々は土塁に生えていたが、その土塁が壊された時に根が露出してそのままになっているそうだ。イチョウでたまに見られる「気根」とは違い、本当に「根」なわけか。下のほうはまだ黄葉していなかったようだ。
【2014年11月8日追記】陸奥新報によれば、この木は「根上がりイチョウ」と呼ぶのだそうだ。
弘前公園の南西側(市民会館側入口)の斜め向かいにある「藤田記念庭園」へ。初めて入ったけど、生け花の展示会が行われていてやや混んでいたのと、あまり時間もなくてざっと。
弘前出身の実業家で日本商工会議所初代会頭だった藤田謙一という人が、大正時代に作った別荘。庭園や洋館、和館など登録有形文化財が多数残る。2つの町にまたがって高低差を活かした設計になっている。
低い所の日本庭園
高いほうを見る
低いほうを見下ろす
うっすらと岩木山が見えたので、天気が良ければ、素晴らしい眺めなんでしょう。
さて、菊まつりに合わせて、弘前公園周辺では、ひっそりとある催しが行われていた。
弘前市内には、歴史を感じさせる古い建物が多く存在し、現役で使われているものも珍しくない。(新しもの好きの県民性のためか、古い建物をすぐにぶっ壊してしまう秋田とは対照的)
そこで弘前市では、「趣のある建物」指定制度というのを設け、文化財には指定されていないものも含めて、弘前の風情を醸し出している古い建物を紹介する取り組みを行っていて、41件が指定されている。(弘大外国人教師館も指定)
そのうち、弘前公園近隣にあって弘前市が管理し、普段は内部非公開の建物2つが、菊まつり期間中に無料公開された。(さくらまつりの時にも行われたようだ)
1つは、弘前市役所敷地内にある「旧第八師団長官舎」。国登録有形文化財で大正6年築。
少し前まで市役所の裏側にあって、なんとなく目に入った記憶しかなかった建物だけど、いつの間にかお堀沿いのバス通りに面した位置(本庁舎の西隣。間の通路を無料循環バスが通った)に移築されていた。外構工事が行われていて、ちょっと入りづらい。
警備員が配置されていて、靴を脱いで上がる。
この建物、ずっと下白銀町に建っているのだが、その中で場所が3度変わっている。用途も時代とともに変遷している。
元々は今の市役所敷地の北東角、すなわち市役所正面玄関、交差点、循環バス停留所がある広場風の辺りに建てられ、旧陸軍第八師団長官舎として使われた。終戦後5年間は進駐軍の軍政官官舎。
その後、弘前市に払い下げられて、市長公舎に転用。昭和33(1958)年の市役所新庁舎建設に伴い、3分の2を解体した上で、市役所中庭に移築。(いつまで市長公舎だったのかは不明)
そして昨年度、老朽化が激しかったため保存修理を行い、多くの人の目に触れる道路沿いに再移転されたとのこと。
往時の3分の1とはいえ、役目が変わっても建物が残ったのは、弘前の人たちの心意気によるものだろうか。
内部は、当初とは異なり(減築されたのだから当然だけど)、応接室、会議室、8畳の和室×2など。流しやトイレは、おそらく現代のものが使用できる状態で整備されているようだ。
会議室と和室の縁側
それでも、ちょっと豪華な会議室やサザエさん家みたいな縁側には、充分に歴史を感じさせられる。
※2015年春から、この建物にスターバックスコーヒーが入ることになった。この記事中ほどにて。
もう1つの建物は、弘前公園の北西角・西濠の桜のトンネルの北端。(冒頭の写真を撮影した付近)
何年も前、ここにモダンで味があるけれどボロっちい洋風っぽい建物があるのに気づいた。火の見櫓があるので消防関係の建物のようだが、使われていないよう。いずれ解体される運命なんだろうなと思っていた。
ところが、さすが弘前。その建物が趣のある建物に指定され、見事によみがえった!
今回の公開の資料(財産管理課作成)では「旧紺屋町消防屯所」という名称だが、趣のある建物は「旧弘前市消防団西地区団第四分団消防屯所」で指定(都市政策課管轄)されている。
高さ14.3メートルの火の見櫓付きで昭和8年頃築。地元の名士が寄贈したという。
当時は警察も市の管轄だったため、消防署(消防機械置場)と警察署(派出所)を兼ねた建物で、作家・寺山修司の父も勤務したとか。
左が派出所、右が消防機械置場
派出所としては1982年まで使われ、消防屯所としてはいちおう2004年までは使われて、2008年に町会から市へ寄贈、2011年に補修整備された。
昔の姿を思えば、こんなにきれいになったのがうれしいような、ちょっとよそよそしく思えてしまうような。【18日追記】改修前は屋根はくすんだ小豆色みたいな色だった。それが鮮やかな赤になったのが、外見上のいちばんの相違。
内部は奥のほうに6畳と12畳半(集会室)の和室。
和室の窓からは、桜並木がよく見える
消防機械置場から。奥が集会室
手前に見えるはしごで火の見櫓へ上がる(上は非公開)。
半鐘は警察のものだったらしい
桜のトンネル側からは、建物裏側=和室の窓が見えるわけだが、洋風な表側と違って、
ぐっと和風
こちらに詰めていた警備会社の方からは、いろいろと説明していただけ、なかなか勉強になった。
だけど、ここでも見学者は僕1人だけ。公園の端っこに背中向きの立地ということはあるにせよ、せっかくの期間限定公開がもったいない。もっと宣伝すれば、もっと人が来てくれるはず。
市役所内で担当課が違うとはいえ、わざわざ期間を合わせてあるのだから菊まつりのパンフや入場券に案内を入れるとか。
※盛岡市の紺屋町にも消防詰め所が残っている。
なお、弘前市財産管理課の今回の公開についてのホームページでは、師団長官舎のほうは「特別公開」、消防屯所のほうは「一般公開」になっている。公開時間帯の開始と終了が30分ほど前後するのと、受託した警備会社くらいしか違いがなさそうだが、何か意味があっての名称の違いでしょうか?
今回の弘前訪問では、トランジットモール(の無料バス)、大鰐線利用者の特典、そして建物の公開と、おトクで貴重な体験ができた。事前に情報を集めたかいがあったと自画自賛しようとしていたら、ショッキングな情報が。
この日(2日から4日)、重要文化財「弘前城二の丸辰巳櫓」(前回の記事で、菊まつり会場からお堀越しに見えていたもの)の公開も行われていたそうだ!
期間が短いから、これこそ行くべきだったかもしれない。ネット上にはいちおう出てはいたが見落としていたし、公園内に看板がなかったのか、あっても見落としてしまったのだろうか。悔しい。
それにしても、弘前市に限らず秋田市など多くの自治体共通なのだけど、ネット上において市単位の観光情報が、市のホームページ、市関連の観光団体(観光コンベンション協会等)のページ、さらに観光に特化したサイト(弘前感交劇場や秋田市のアキタッチ等)、おまけにツイッターにフェイスブック等々、散逸していて、それらの間で情報が異なる(出ているサイトと出ていないサイトがある)のが困る。一本化するとか、せめて情報を共通化するとかするべきだと思う。