広く浅く

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ひらりオープニング

2023-04-27 20:11:32 | 文字・書体
秋田市が少しだけ舞台になった、1992年のNHK連続テレビ小説「ひらり」。
2023年に再放送中で、秋田編を見た勢いで、続けて視聴している(4月からは14時台・毎日1話放送に変更)。

初回放送当時は、土曜日と冬休み中にちらりと見るくらいで熱心に見ていなかったので、登場人物は知っていても、ストーリーは初めて見るも同然。スタジオセットの収録部分が多いので、当時の街並みなどが見られるわけではないが、バブル景気と昭和両方の余韻を残す、当時の雰囲気はなんとなく感じる。

以前も触れたように、そのオープニングは、当時の連続テレビ小説としては画期的だったと、今改めて感じる。
テーマ曲が歌詞付き、空撮映像に本編のダイジェストを織り交ぜた映像、横書きで控えめに表示されるクレジットなど、ドラマの中身以上に“トレンディー”に見える。

ただし、タイトル「ひらり」だけは手書きと思われる毛筆の縦書き。その前の「連続テレビ小説」は活字(後述)の横書き。
クレジットは画面右下
クレジットは、この当時ではまだ手書き毛筆の作品もあったが、本作はすべて活字。それも、明朝体、角/丸ゴシック体ならまだしも、教科書体なのが珍しい。異例かも。
教科書体がひらりのイメージに合うのかと考えれば、合っていないような。相撲が題材のドラマだからといって、江戸文字(相撲文字=関連記事)にすると、もっとおかしくなるけれど。
「ドリームズ・カム・トゥルー」は左右で違う書体
「作」「音楽」「藪沢ひらり」といった小さい文字は、丸ゴシック体。ナールではない、硬めの丸ゴシック。
写研の石井丸ゴシックとも、モリサワの丸ゴシック(かつてのバスの行き先表示に使われていた書体など)とも、どこか違う。
(下の各画像参照)「ら」の1画目が左に戻る、「り」がつながっているのは、石井丸ゴの特徴だが、「ら」2画目の縦線は石井丸ゴほど左に膨らんでいないし、「き」はモリサワっぽい気もする。何でしょう?

教科書体のほう。
現在、モリサワからデジタル化されて発売されている(ユニバーサルデザインではない、従来からの)教科書体は「教科書ICA」シリーズ。写真植字機時代から存在し、どうもイワタの教科書体と関連があるようで、国語の光村図書の教科書の文字にも似ている。
ひらりの教科書体は、それとは異なる。

全体に柔らかい線、「石」が平べったい、「か」3画目の位置と向き、「り」が一筆書きが特徴。
写研製「石井太教科書 BT-A」と思われる。少し細い石井中太教科書 DBTというのも存在するが、1996年リリースだそうなので、違う。

昭和末の教科書や教材類では、出版社によっては石井教科書体もよく使われていた。かつての官製はがきの「郵便はがき」の文字も。だから、見覚えがあって、親しみがある文字ではある。

教科書体では、最近の一部格安フォントは別として、数字(やアルファベット)も、算数の教科書で使うような専用の形をしている。石井教科書体もそのはずだが、ひらりでは、
明朝体のようなセリフ体

写研書体がデジタル化されつつあるが、石井教科書体がそうなることはあるだろうか。石井教科書体の最後の晴れ舞台がひらりだったかもしれない。
文字については以上。



インパクトのある江戸っ子親子を演じた、花沢徳衛、石倉三郎という俳優を知ったのが、ひらりだった。
埼玉県の甲子園の常連校「花咲徳栄」の名を見ると、花沢さんを思い出す。

こんな出演者も。
「ピアノ奏者 丸山和範」
ひらりの母が、綿引勝彦と逢瀬を重ねる「バー ソワレ」のピアニストとして、時たま出演。直近では79回、90回。今のところ、演奏する後ろ姿や指先ばかりで、セリフはなく顔も見ていない。

丸山和範氏は作曲家・編曲家。
ちょうど1990年代半ば辺りから、テレビ番組などの音楽を多数担当。「古畑任三郎」のオーケストレーション(編曲)、「NHKニュースおはよう日本(1997~2008年)」テーマ曲作曲、連続テレビ小説「ちゅらさん」の音楽など。


最後に、主題歌「晴れたらいいね」について。
曲は「題名のない音楽会」で黛敏郎氏に批評されたのは、以前の記事の通り。
歌詞のほうで、当時から気になっていた2点。クレジットでは「作詩」表記だから、“歌詩”なのかな?

「サザエさん」同様、本編では表示されない歌詞が、文字放送の字幕では表示される。
その中から、「こくわ」。
キウイの仲間で日本に自生する、標準和名「サルナシ」のこと。僕はこの歌で知った。
「‘こくわ’の実」とシングルクォーテーション(字幕では左右で全角半角が違うようだけど)で囲ってあるのは、元々の詩に忠実な表記のはず。

もうひとつ。
「かなり たよれるナビゲーターになるよ」
「~ たよれるナビに ~」と歌われる部分。
これも詩の表記そのままらしい。1992年末の紅白歌合戦で歌われた(「決戦は金曜日」とのメドレー)時も、字幕はそう表記された。
年明けにクラスの女子生徒が、字幕を間違えていたとNHKに対して憤慨していたが、そうではなかったようだ。

21世紀では、「ナビゲーター/ナビゲーション」とその略「ナビ」の意味は誰もが知っている。
しかし、カーナビゲーションシステムも普及していなかった当時では、「ナビ」の語は通じなかったかもしれない。
だから、説明の意味で、詩はフル表記にしたのかもしれない。だとすれば、せめて、フリガナやカッコで「ナビ」と歌うことを伝える方法はあっただろう。
もしかしたら、「ナビ」という略語が、一般向けに広く使われた最初が、「晴れたらいいね」だったのかも。

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4 コメント

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意外に現代的 (FMEN)
2023-04-28 22:11:07
昔の朝ドラはインスト+石井明朝縦書きのイメージでしたから、これがエポックメイキング的なもんになりました。
その当時の最終回(当時は土曜)が一番怖くて、今は視聴者からの写真がこの日は主人公一家になり右下に「完」だけですが、昔は終わったあと石井明朝のデカ文字で真ん中に「完」だったのが。

そういえば主題歌決まってから8:15時代まではその最終回間近になると主題歌コーナーが最後数分を削ってやってましたよね。
ゲゲゲの女房から無くなったとのことですが、ひらりではあるんでしょうか。
本格的な主題歌がドリカムで8時がいきものがかり。
3人→2人のガールズボーカルで繋がりもあります。
そういえば東京中心の人口が100万人いない日本海側が準舞台もかさなるような。
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トレンディー (taic02)
2023-04-29 23:04:11
昭和時代からナールの作品もあったり、1989年「青春家族」では横書きだったりということはありましたが、総合的には「ひらり」が飛び抜けてトレンディーなオープニングだったと言えます。

「ひらり」の秋田編以前の回は見ていないので不明ですが、秋田以降、直近の第91回まででは最後の主題歌はありません。
1979年「マー姉ちゃん」では「イメージソング」、1986年「都の風」では「主題歌」という名目で、オープニング曲(歌詞なし)とはまったく別の、歌が作られました。岩崎宏美や西城秀樹が歌うもので、作品との関連性は、あまりないと思うのですが…
それが時折、最後に流れていました。ドラマ本編の時間が余り、その埋め合わせのために流しているような雰囲気がしなくもありません。
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ふと気になる話 (FMEN)
2023-05-11 00:30:00
4月から朝ドラの主題歌はあいみょんになっておりますが、なかいち前の電柱にあるあいみょんの巻き付き広告はいつになれば新曲になるん?とふと思い出してしまいました。
電柱ってのがまた面白い話ですが。
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電柱広告 (taic02)
2023-05-11 20:46:41
電柱広告は1年契約が基本のようなので、とりあえず6月まではそのままかもしれません。
新曲ごとに掲出内容を新しくするのかどうか、費用的にはさほどでもなさそうな気もします。
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